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16.殿下の秘密
しおりを挟む※すみません。下品です。
※純情な方は全くの意味不明だと思います。
ルーファスから事の成り行きを聞いたお義父様は大変な怒りようだった。
「何てことをティアちゃんに言うのよ!あのボンクラっ!!」
お義父様大丈夫かしら?かなり不敬なことを仰ってると思う……。
「許せないな。直ぐに抗議にいこう。安心してティアちゃん。ティアちゃんを家の弱点になんてさせないから。」
女装したお義父様と男装したお義母様はその勢いのまま、皇宮に乗り込んだ。
お義父様達、変装姿のまま、皇帝陛下に会っても構わないんだ……。
スカートの裾を持ち上げてドスドス歩く後ろ姿はもう男性だか、女性だか……。
☆
幸い皇帝陛下は侯爵家の意向を汲んで下さった。皇太子殿下には陛下から、かなりのお叱りがあったらしい。
私を少し脅すために兵士を用意していたそうだが、結果的に大騒ぎになってしまった。
「大丈夫よ。あのボンクラの後ろ楯は私達なんだから。皇位継承が出来なくなるって散々脅してやったからっ!!」
そう言ってお義父様が見せてくれたのは皇太子殿下についての極秘ファイル。
中には殿下の秘密の数々……。
「うわぁ~、殿下ってこんな表情なさるんですね?意外です。」
流石は皇太子殿下ともなると、媚薬を盛られたりしたこともあるらしい。写っているのは、トロンとした目でにへらと笑う殿下のお顔。
うん。可愛いかも……。
「そうなのよ。ティアちゃん嫌な思いしたでしょ?全部見せてあげる。」
他にも豚さんの真似をして裸で四つん這いになっている姿もある。
あれ?尻尾はどうしているんだろう?何かでくっつけてるのかしらん?
「殿下って動物がお好きなんですね。」
動物好きに悪い人はいないかも……。
豚さんになりきるために金具を入れてお鼻を引っ張りあげている。
かなり痛そう……。
そこまでして豚さんになりきるなんて……。
ファイルを捲っていくと、ウサギさんになった殿下も発見した。
「これは色っぽいわ。殿下の脚線美……凄いわねー。私負けてるかも……。あれ?ウサギさんの服、尻尾だけ不自然な形。」
楽しくなって次々ページを捲る。
あっ!!
これは……。
オムツを着けている殿下もいる。
大人になるまでオムツが外れなかったんだわ。これは恥ずかしいかも……。
そっか……。乳離れも遅かったのね。
皇后様大変だっただろうな……。
よだれ掛けを着けているところを見ると、涎が多い性質なのかも……。そう言えばさっきのにへらとした笑顔の時も涎が垂れてた。
ファイルを見ると色んな殿下の姿が分かって少し親近感が湧いたみたい。殿下への恐怖心も無くなった。
ファイルをじっくりと眺めていたらルーファスが飛んできて私からファイルを取り上げた。
「オヤジっ!!なんてもの見せてるんだよっ!ティアの目が汚れるっ!!」
「大丈夫よう。ティアちゃんもスタンリー侯爵家の一員なんだから。」
目が汚れるなんて……。ルーファスは何を怒っているのだろう?
私はルーファスを宥めるようにニッコリと微笑んだ。
「大丈夫よ、ルーファス。殿下が動物好きで意外に子供っぽい人だって分かったわ!きっと根はいい人なのね。」
「え?」
ルーファスはキョトンとしている。彼は殿下の影の努力を知らないのかもしれない。
「だって鞭で拷問されてる姿もあったもの。きっと罪人の気持ちを身をもって体験しようと言う高い志をお持ちなんだわ。そうじゃなきゃ、鞭で打たれてあんなに嬉しそうなお顔なんてしないと思うのっっ。」
皇家を理解することも臣下の務め。殿下のお気持ちに寄り添うことも必要かもしれない。
「そ、そうか……。」
それからも皇太子殿下と会う機会は何度もあったが、私はあのファイルを思い出して少し笑っちゃう。
特に哺乳瓶を咥えてる殿下の顔を思い出しちゃうのだ。
『大丈夫です。殿下のことはちゃんと理解しています。』そんな思いを込めて殿下を見て微笑みかける。
そして、皇太子殿下は何故か私から目を反らすようになった。
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