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道中記・ケンディの街
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殿下から手紙が届いた。
ケンディの街に着いたらしい。
小説通りに物語が進んでいく。
ここでは孤児院に立ち寄って、優しく子供達の相手をするライルに殿下が関心して興味を持つのよね。そして宿で旅の安全を祈願しながら皆でお酒を酌み交わすの。今考えると護衛が全員酒を飲むなんて危ないわね。
そして殿下はこの国の子供達の未来を憂うライルの優しい心に胸を打たれるのよ。でもこの時点ではライルの事は男だと思っているはず。
今頃殿下はライルと仲良くなって、一緒に世間話でもしているのだろうか?
物語は着実に進行している。私も婚約解消に向けてまずは人脈作り。
私は王宮で始めたサークル活動の準備を始めた。まずは今学んでいるヒュンダ国出身の人を探した。
ヒュンダ国は我が国と交流が盛んで、王宮の図書館に勤める史書がヒュンダ国出身だと分かり、サークルに招待する。
王妃様がサークルの参加者を募ってくれたけど、当初の目的の堅物既婚文官では無くて、独身貴族令息が集まってしまった。家庭教師の依頼先が……。
目論見が外れ、計画は修正を余儀なくされた。
殿下視点
ケンディの街に着いた。この街は大きいが貧富の差が激しく孤児も多い。そのため近年は孤児院の建設と子供の教育に力を入れてきた。今日はその孤児院の視察だ。
補助金の収支もきちんと管理されており、衛生的にも問題無さそうだ。
視察を終えると、護衛騎士のライルが子供を集めて遊んでいる。
あんなに目立って…視察がお忍びだと理解しているのか?
私が見ている事に気付いたライルは首を傾げると華々しい笑顔を見せた。その笑い方に違和感がある。こいつ本当に男か?
その後宿泊した宿で酒を酌み交わす。しかし、やたらとライルが私に触ってくる。撓垂れ掛かるように触れてくるその様は鍛えているようには思えない。
私はブルトにライルの正体を探るよう命じた。
私は無性にティシアリュルに会いたくなり、早めに切り上げて部屋で手紙を書くことを思い付いた。
幼少の頃の私の態度のせいだろうが、ティシアリュルは私に対して硬い態度を崩していない。それでも嫌われてはいないと思う。
昔は好意を向けられる事を当然のように思っていたが、ティシアリュルの態度が変化してからは、私も随分と臆病になってしまった。
昔の私なら強引に口説くこともあり得ただろうが……。
それでも、私が誠実であれば彼女の心は離れていかないだろう。
手紙には勉強熱心なティシアリュルの為に街の様子を細かく書き連ねる。
ライルの様子が怪しい事は伝えないでおこう。余計な心配をかけたくない。
ティシアリュルの事を想いながら眠りに付く。これはもう何年も前からの習慣だ。
いつかあの小さな身体を抱く日が来るのだろうか?儚くて消えてしまいそうな彼女を閉じ込めてしまいたい。
彼女が再び私を想ってくれる日を願って眠りについた。
ケンディの街に着いたらしい。
小説通りに物語が進んでいく。
ここでは孤児院に立ち寄って、優しく子供達の相手をするライルに殿下が関心して興味を持つのよね。そして宿で旅の安全を祈願しながら皆でお酒を酌み交わすの。今考えると護衛が全員酒を飲むなんて危ないわね。
そして殿下はこの国の子供達の未来を憂うライルの優しい心に胸を打たれるのよ。でもこの時点ではライルの事は男だと思っているはず。
今頃殿下はライルと仲良くなって、一緒に世間話でもしているのだろうか?
物語は着実に進行している。私も婚約解消に向けてまずは人脈作り。
私は王宮で始めたサークル活動の準備を始めた。まずは今学んでいるヒュンダ国出身の人を探した。
ヒュンダ国は我が国と交流が盛んで、王宮の図書館に勤める史書がヒュンダ国出身だと分かり、サークルに招待する。
王妃様がサークルの参加者を募ってくれたけど、当初の目的の堅物既婚文官では無くて、独身貴族令息が集まってしまった。家庭教師の依頼先が……。
目論見が外れ、計画は修正を余儀なくされた。
殿下視点
ケンディの街に着いた。この街は大きいが貧富の差が激しく孤児も多い。そのため近年は孤児院の建設と子供の教育に力を入れてきた。今日はその孤児院の視察だ。
補助金の収支もきちんと管理されており、衛生的にも問題無さそうだ。
視察を終えると、護衛騎士のライルが子供を集めて遊んでいる。
あんなに目立って…視察がお忍びだと理解しているのか?
私が見ている事に気付いたライルは首を傾げると華々しい笑顔を見せた。その笑い方に違和感がある。こいつ本当に男か?
その後宿泊した宿で酒を酌み交わす。しかし、やたらとライルが私に触ってくる。撓垂れ掛かるように触れてくるその様は鍛えているようには思えない。
私はブルトにライルの正体を探るよう命じた。
私は無性にティシアリュルに会いたくなり、早めに切り上げて部屋で手紙を書くことを思い付いた。
幼少の頃の私の態度のせいだろうが、ティシアリュルは私に対して硬い態度を崩していない。それでも嫌われてはいないと思う。
昔は好意を向けられる事を当然のように思っていたが、ティシアリュルの態度が変化してからは、私も随分と臆病になってしまった。
昔の私なら強引に口説くこともあり得ただろうが……。
それでも、私が誠実であれば彼女の心は離れていかないだろう。
手紙には勉強熱心なティシアリュルの為に街の様子を細かく書き連ねる。
ライルの様子が怪しい事は伝えないでおこう。余計な心配をかけたくない。
ティシアリュルの事を想いながら眠りに付く。これはもう何年も前からの習慣だ。
いつかあの小さな身体を抱く日が来るのだろうか?儚くて消えてしまいそうな彼女を閉じ込めてしまいたい。
彼女が再び私を想ってくれる日を願って眠りについた。
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