この国の王族に嫁ぐのは断固拒否します

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3章

7.

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第2学年終了時には、私もシオン様も魔道具の開発を何とか形にして、研究成果を提出した。
実際の使用にはまだ改良が必要だが、学園在籍中に開発したものとしてはまずまずだと思う。

私とシオン様は課題を提出し、長期休暇の間、リュート王国に行くことになった。

馬車での移動中は再びシオン様に抱き抱えられ、羞恥に耐えている。

シオン様、近い、見過ぎです。
話題を真面目な方向に持っていく。

「シオン様、私はリュート王国に行ったらまず何をすれば良いんですか?」
リュート王国滞在中の具体的なスケジュールは聞いていない。
「ん?まず建設中の家を見て、希望を出して欲しいなー。」
マイホーム。ちょっと前世とは規模が違うけど、きちんと考えたい。私専用の小さいキッチンが欲しいとか子供部屋とか考えていると、自然と頬が緩む。
そんな私を見て、シオン様が頬や耳を触ってくる。
もうっ!くすぐったい。
シオン様を睨むと、とんでもなく艶やかに微笑まれた。
シオン様って普段は可愛いのに、こういう時は意地悪で色っぽい。
「真剣に考えているのに・・・。」
「僕はレティが可愛くて仕方無いんだよ。」
そう言うと、腰に回された手がサワサワと不埒な動きをする。

シオン様に触られるとどこでも心地よくて身を任せてしまいそうだ。

馬車で移動していると、初めてくる場所に連れてこられた。
何だかシオン様から緊張感が漂っている。
「レティに見せたい場所があるんだ。」
そう言うと、私の手を握り、護衛も付けずに歩き出す。
シオン様に連れてこられた場所には色とりどりの花が咲いていた。小さなパステルカラーの花が一面に咲き誇り、カラフルで幻想的だ。
シオン様が私の前に立ち真面目な表情をみせる。いつもと違う雰囲気に戸惑っていると、シオン様は私の前に跪いて私の手を取る。
「レティ、どうか僕と結婚してください。一生あなたを愛すると誓います。」
そのプロポーズはシオン様らしくなくて、ちょっと余裕が無くて。
でも、だからこそ心が伝わる。
「レティ・・・」
返事が遅れた私を、シオン様が心配そうに見ている。
私は嬉しくて、身体全体で喜びを表したくてシオン様に飛びつく。
「はい。喜んで。一生よろしくお願いします。」

シオン様は心得たように私を抱き留めてくれて、啄むように何回も触れるだけのキスをしてくれた。

何回も繰り返される触れるだけの軽いキスが嬉しい。


「僕の国にもここでプロポーズすると幸せになるっていうスポットはあるんだ。でも、僕は自分達だけの場所がいいと思って。」
気に入ってくれた?と尋ねるようにあざとく首を傾げる。
「シオン様、大好き。」
シオン様の顔をじっと見つめる。
腹黒で秘密主義、人懐っこい笑顔、柔らかそうな髪、私を見つめる優しい瞳、好きな所を挙げたらキリがない。
「レティ。これを。」
シオン様が左手の薬指に赤い宝石をあしらった可愛い指輪を嵌めてくれた。
「もっと絢爛な指輪の方が似合うかとも思ったんだけど、レティは可愛い方が好みでしょう?」
こんなにも私の事を知ろうとしてくれる、考えてくれる。

新しく公爵家を興しハードな土地を任されるのだ。
もちろん苦労は沢山するだろう。その責任は重い。
でも、こんなに大好きな人と出逢えた私は幸せだ。
この世界で私はこの先もずっとシオン様の隣で笑ったり泣いたりしながら日々を過ごしていくのだろう。

ー第3章ー完ー



今日はもう一話投稿します。
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