この国の王族に嫁ぐのは断固拒否します

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1章

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私はサロンでライラとリリーとお茶を飲んでいた。二人に先日の中庭での出来事を報告する。

「大変だったのねー。」
「シアったらシオン殿下に夢中で噂もあまり気にしてないんでしょう?」
二人がアルバート殿下を巡る状況を教えてくれた。
「えっ。今までのマリアさんへの嫌がらせ、私がしたことになってるの?」
目を丸くする。初耳だ。
ロザンナ様が私の名前を色んなところで使っていたようだ。
冗談じゃないっっ。
何もしてないのに、断罪されたらどうしてくれるのっ!

「どうしよう。ライラ、リリー、力を貸してー。」
「まったく、シアは相変わらずね。」
「任せて。リリーと計画は立ててあるの。上手く行くかはわかんないけど。」
ライラがため息をついた後真剣な顔をする。
「シアは気付いてないでしょうけど、シアはどこ行っても注目されてるのよ。」
「公爵令嬢なんだよー。」
「しかも抜群の美人。」
「無自覚な行動は控えてね。」
「ごめんなさい。」シュンとしてしまう。今までも、いっぱい迷惑を掛けたのかもしれない。
「いいよ。そんなシアが大好きだし。」
この二人はいつも私を許して助けてくれる。
ありがたい。

ライラとリリーの計画はこうだ。
来月の私の誕生日に合わせて、学園内のタウンハウスを借りて誕生会を開催する。
そこへアルバート殿下の婚約者候補と嫌がらせを命じられた令嬢、マリアさんを招待する。そこへは私のエスコートにシオン様とマリアさんのエスコートでアルバート殿下に参加してもらい、四人の関係を周知する、というもの。

この学園の敷地内にはタウンハウスがいくつもあり、シオン殿下もその一つに護衛や従者と一緒に住んでいる。

タウンハウスには小規模なパーティーが出来るサロンを有する物があり、誕生日パーティーやサークルの親睦会などに利用されていた。

問題は目的の令嬢が出席してくれるかどうか。

公爵家主催で招待するパーティーとは違い学園内でする私的なものでは参加率も下がるかもしれない。

「あまり交流のない方も来てくれるのかしら?それに、誰が私の名前を使って嫌がらせしたかも分からないし。」
うーん、と頭を捻っていると、
「僕も強力させてよ。」
とシオン様が私の隣の椅子に座ってきた。

「僕がアルバート殿下から聞いてみるよ。レティはマリア嬢への接触は控えてねー。」
「え?」
「マリア嬢が何を考えているのか判らないから、僕心配なんだー。」
シオン様はいつもの笑顔だが、目には不安の色が宿る。
もちろん勝手な行動は控えてシオン様におまかせすることにした。


ライラとリリーと別れた後、はっと気付いた。
「シオン様は誕生日はいつですか?」
「僕はねー11月10日。」
「もうすぐじゃないですか?」
シオン様は、私の方を見てちょっと意地悪な笑顔を見せる。
「ねぇ。レティ。僕、期待してもいいかな?」
「は、はい。楽しみにしていてください。」

(やだ、期待持たせるようなこと言っちゃった。どうしよう。)
「んー。じゃあ楽しみにしてるね。」
「は。はい!」
(帰ってライラと作戦会議だわ。)
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