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13.彼女の本音
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アリー視点
「アリー、どーしましょう!」
陛下の部屋に呼び出されていたエヴェリーナ様は目に涙を浮かべて戻ってきた。
あのポンコツ陛下!
今度は何を仕出かしたんだ?
「どうしたんですか?」
「へ、陛下と……その……キスを……。」
「まあっ!あいつ、とうとうエヴェリーナ様にも手を出したんですか?」
「そんな……あいつなんて……。陛下は私を大切にすると仰ってくださったわ。でも私、『もうたくさんですっ!!』って陛下を突き飛ばしてしまったの。きっと嫌われたわ!」
お可哀想に……。
両手で顔を覆い泣きじゃくるエヴェリーナ様を見て、大嫌いな陛下に話をしようと決めた。
結婚当初からエヴェリーナ様を冷遇してきた愚王。
けれど仕方ない。
エヴェリーナ様がこんなにも好きなのだから……。
私は陛下に謁見を申し込んだ。
直ぐに許可が出て、私は陛下にエヴェリーナ様の悩みについて話をした。
エヴェリーナ様は緊張すると無表情になること。特に恥ずかしくなると、逃げたい気持ちのあまり、嫌そうな顔になることを陛下に説明した。
「婚姻してもう三年になるが、未だに俺と話すのに緊張するのか?」
「はい。エヴェリーナ様は、陛下の事が……その……好意といいますか……ですので……その……未だに恥ずかしいのだと思います。…これ以上……私の口からエヴェリーナ様のお気持ちを話す事は出来ませんので……。」
くそっ!
こんなこと陛下に言いたく無かった!
陛下は驚いたように目を丸くしている。
まさか、まだ気付いていなかったのか?
やはり、今日ここに来て正解だった。
このままでは、お二人の仲は進展しなかっただろう。
「陛下、エヴェリーナ様を口説く時には少し強引にお願いします。そうしないと逃げますよ。」
「あ、ああ。ありがとう。そうさせて貰うよ。」
私がこうして陛下に話をしたことで、お二人のが理解し合えると良いが……。
~~~~~
オースティン視点
俺を蛇蠍のように嫌っていたアリーが、わざわざ俺の執務室に来てエヴェリーナに強引に迫るよう発破をかけてきた。
部屋を出るとき小さな舌打ちが聞こえた。
はぁー。
アリーは俺の事をまだ許せないみたい。
それでもエヴェリーナのために嫌いな俺の所に来てくれたんだ!
俺は、アリーのアドバイスに従って、二人きりで話をする時間を設けた。
少し強引にせまるように言われたもんね!
俺たちの間の溝を埋めるんだ。
~~~~~
部屋に入ってきたエヴェリーナは最強の魔王みたいな覇気を纏っていた。
こ、怖い……。
でも、これは緊張しているから……なんだよね?
「そ、その……、先日、く、口づけをしてごめんなさい。」
「い、いえ。」
「さ、最後の『もうたくさんですっ!!』って、どういう意味かな?俺とのキスなんてもう嫌ってこと?」
「いいえ、いいえ、わたくし、あの時恥ずかしくて……。」
「じゃあ、嫌じゃない?」
「は、はい。嬉しかった………です。」
うつ向いて最後の方は聞き取れないほど震えた声。
「俺はエヴェリーナのことが好きだよ。エヴェリーナはどう?」
俺が近づくと、エヴェリーナの瞳が鋭く光った。
怯むな!
強引にいくぞ!
彼女の白い頬に手を当ててじっと瞳を覗き込んだ。
「エヴェリーナ、俺の前ではもう緊張しないでいいよ。俺はどんなエヴェリーナでも必ず受け止めるから。失敗したっていいよ。だから、ありのままのエヴェリーナを見せて?」
「は、はい。」
俺を睨んでいた目が少し柔らかい色を帯びる。
俺が微笑みかけると、エヴェリーナはボンッと音がしそうなほど真っ赤に染まった。小刻みに震えて目の潤んだ彼女は理性の糸が焼き切れそうなほど愛らしい。
か、可愛いっ!!
俺はこんなにも可愛い彼女の顔を今まで見逃してきたのか……。
過ぎた時間に後悔が募る。
エヴェリーナの頬を挟み込むように当てた両手に力を入れると、彼女の艶やかな唇がぷくっと前に飛び出した。
美味しいそうっ!!
潤んだ瞳で睨まれても、もう怖くない。
俺はその甘そうな唇に自分の唇を合わせた。
柔らかくて温かくて気持ち良くて……。
はぁー、幸せ!
俺がその唇を堪能していると、彼女は俺の胸をぐっと押して身体を離した。
「こ、こんな顔……は、恥ずかしい……ですわ……。」
徐々に小さくなる声。
恥ずかしさが限界を超えたみたい。
彼女が恥ずかしくないように、俺の気持ちをもっと伝えるんだ!
「俺はエヴェリーナがどんな顔をしていても可愛いく見えるよ。俺の前で、色んな顔を見せて?」
彼女の瞳をじっと見つめ、甘やかな声で言葉を紡ぐ。
俺を鋭く睨んでいた瞳はおろおろと視線を泳がせ、顔は湯気が上がりそうなほど真っ赤。
「どんなエヴェリーナでも、繰り返し好きになる。だから…。」
『もう一度キスしていい?』そう小声で囁くと、彼女はさらに落ち着きが無くなってアワアワと何を言っているのか分からない。
そんな彼女が可愛くて、可愛いくて……。
もう!
たまんない!
彼女の顔をじっと覗き込む。
「射殺すような鋭い視線も、嫌そうに歪んだ唇も、時々ドンッと俺の胸を押す嫌がる素振りも…。全てが愛しい。全て受け止める。だから……安心して甘えて……ね?」
彼女が恥ずかしくなっちゃうのは、俺の事が好きだから。
そう思ったらどんな表情でもいとおしい。
「だって、俺だけに見せてくれる表情でしょ?」
彼女の耳元で囁くとそのまま頬に口づけた。
エヴェリーナが崩れ落ちてしまうのを抱き止めて、そのまま膝の上に乗せてソファーに腰掛けた。
そして、思う存分、エヴェリーナの恥ずかしがる様子を堪能したんだ!
「アリー、どーしましょう!」
陛下の部屋に呼び出されていたエヴェリーナ様は目に涙を浮かべて戻ってきた。
あのポンコツ陛下!
今度は何を仕出かしたんだ?
「どうしたんですか?」
「へ、陛下と……その……キスを……。」
「まあっ!あいつ、とうとうエヴェリーナ様にも手を出したんですか?」
「そんな……あいつなんて……。陛下は私を大切にすると仰ってくださったわ。でも私、『もうたくさんですっ!!』って陛下を突き飛ばしてしまったの。きっと嫌われたわ!」
お可哀想に……。
両手で顔を覆い泣きじゃくるエヴェリーナ様を見て、大嫌いな陛下に話をしようと決めた。
結婚当初からエヴェリーナ様を冷遇してきた愚王。
けれど仕方ない。
エヴェリーナ様がこんなにも好きなのだから……。
私は陛下に謁見を申し込んだ。
直ぐに許可が出て、私は陛下にエヴェリーナ様の悩みについて話をした。
エヴェリーナ様は緊張すると無表情になること。特に恥ずかしくなると、逃げたい気持ちのあまり、嫌そうな顔になることを陛下に説明した。
「婚姻してもう三年になるが、未だに俺と話すのに緊張するのか?」
「はい。エヴェリーナ様は、陛下の事が……その……好意といいますか……ですので……その……未だに恥ずかしいのだと思います。…これ以上……私の口からエヴェリーナ様のお気持ちを話す事は出来ませんので……。」
くそっ!
こんなこと陛下に言いたく無かった!
陛下は驚いたように目を丸くしている。
まさか、まだ気付いていなかったのか?
やはり、今日ここに来て正解だった。
このままでは、お二人の仲は進展しなかっただろう。
「陛下、エヴェリーナ様を口説く時には少し強引にお願いします。そうしないと逃げますよ。」
「あ、ああ。ありがとう。そうさせて貰うよ。」
私がこうして陛下に話をしたことで、お二人のが理解し合えると良いが……。
~~~~~
オースティン視点
俺を蛇蠍のように嫌っていたアリーが、わざわざ俺の執務室に来てエヴェリーナに強引に迫るよう発破をかけてきた。
部屋を出るとき小さな舌打ちが聞こえた。
はぁー。
アリーは俺の事をまだ許せないみたい。
それでもエヴェリーナのために嫌いな俺の所に来てくれたんだ!
俺は、アリーのアドバイスに従って、二人きりで話をする時間を設けた。
少し強引にせまるように言われたもんね!
俺たちの間の溝を埋めるんだ。
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部屋に入ってきたエヴェリーナは最強の魔王みたいな覇気を纏っていた。
こ、怖い……。
でも、これは緊張しているから……なんだよね?
「そ、その……、先日、く、口づけをしてごめんなさい。」
「い、いえ。」
「さ、最後の『もうたくさんですっ!!』って、どういう意味かな?俺とのキスなんてもう嫌ってこと?」
「いいえ、いいえ、わたくし、あの時恥ずかしくて……。」
「じゃあ、嫌じゃない?」
「は、はい。嬉しかった………です。」
うつ向いて最後の方は聞き取れないほど震えた声。
「俺はエヴェリーナのことが好きだよ。エヴェリーナはどう?」
俺が近づくと、エヴェリーナの瞳が鋭く光った。
怯むな!
強引にいくぞ!
彼女の白い頬に手を当ててじっと瞳を覗き込んだ。
「エヴェリーナ、俺の前ではもう緊張しないでいいよ。俺はどんなエヴェリーナでも必ず受け止めるから。失敗したっていいよ。だから、ありのままのエヴェリーナを見せて?」
「は、はい。」
俺を睨んでいた目が少し柔らかい色を帯びる。
俺が微笑みかけると、エヴェリーナはボンッと音がしそうなほど真っ赤に染まった。小刻みに震えて目の潤んだ彼女は理性の糸が焼き切れそうなほど愛らしい。
か、可愛いっ!!
俺はこんなにも可愛い彼女の顔を今まで見逃してきたのか……。
過ぎた時間に後悔が募る。
エヴェリーナの頬を挟み込むように当てた両手に力を入れると、彼女の艶やかな唇がぷくっと前に飛び出した。
美味しいそうっ!!
潤んだ瞳で睨まれても、もう怖くない。
俺はその甘そうな唇に自分の唇を合わせた。
柔らかくて温かくて気持ち良くて……。
はぁー、幸せ!
俺がその唇を堪能していると、彼女は俺の胸をぐっと押して身体を離した。
「こ、こんな顔……は、恥ずかしい……ですわ……。」
徐々に小さくなる声。
恥ずかしさが限界を超えたみたい。
彼女が恥ずかしくないように、俺の気持ちをもっと伝えるんだ!
「俺はエヴェリーナがどんな顔をしていても可愛いく見えるよ。俺の前で、色んな顔を見せて?」
彼女の瞳をじっと見つめ、甘やかな声で言葉を紡ぐ。
俺を鋭く睨んでいた瞳はおろおろと視線を泳がせ、顔は湯気が上がりそうなほど真っ赤。
「どんなエヴェリーナでも、繰り返し好きになる。だから…。」
『もう一度キスしていい?』そう小声で囁くと、彼女はさらに落ち着きが無くなってアワアワと何を言っているのか分からない。
そんな彼女が可愛くて、可愛いくて……。
もう!
たまんない!
彼女の顔をじっと覗き込む。
「射殺すような鋭い視線も、嫌そうに歪んだ唇も、時々ドンッと俺の胸を押す嫌がる素振りも…。全てが愛しい。全て受け止める。だから……安心して甘えて……ね?」
彼女が恥ずかしくなっちゃうのは、俺の事が好きだから。
そう思ったらどんな表情でもいとおしい。
「だって、俺だけに見せてくれる表情でしょ?」
彼女の耳元で囁くとそのまま頬に口づけた。
エヴェリーナが崩れ落ちてしまうのを抱き止めて、そのまま膝の上に乗せてソファーに腰掛けた。
そして、思う存分、エヴェリーナの恥ずかしがる様子を堪能したんだ!
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