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僕の相談相手は??
しおりを挟むデーヴィット殿下視点
「王妃様、私にイヤミばっかり言うの。どうにかならないの?」
アイティラと婚約解消した後、マリアーナは僕の婚約者として、お妃教育を受けることになった。
いつも僕ちゃん……僕のために一生懸命になってくれるママンは、マリアーナを立派な王太子妃にすると張り切っている。なのに、そんな事を言うなんて……。
「イヤミなんて……気のせいだよ」
「そんな事無いわ!身に着けるもの全てに文句を言うのよ。私の父親の事も『貧乏貴族だから娘に安物のドレスしか用意出来ない』って貶すのよ」
マリアーナにはママンみたいな完璧な淑女になって欲しい。僕はそう願っている。そのためには、マリアーナの婚約者としてちゃんと彼女を支えなければ。
もしかしてマリアーナは、ママンの事を誤解しているのかな?
ここは、僕がママンとマリアーナを仲を取り持たないと、ね。
「確かにお妃教育は厳しいかもしれない。だけど、母上は、マリアーナのためを思って言ってるんだよ」
「ならどうすればいいか、全部書いてよ。その通りにするから。王妃様のお話って自慢5割、私や家族の悪口4割。王妃になるために必要なアドバイスなんてせいぜい1割よ?自慢や悪口を延々と聞いているのは苦痛だわ。大切で伝えたい事だけ、全部文章にしてください!」
「母上は君に直接言いたいんだ。仲良くしたいんだよ。分かって欲しい」
「もう私には無理よ。王妃様の言う通りになんて出来ないわ」
マリアーナは怒ったようにそう言うと、わんわん泣き出してしまった。
僕が慰めても首を振るばかりでどうすれば良いか分からない。
はぁーーー。
お妃教育を始めてからマリアーナが変わってしまった。可愛くて素直だと思っていたのに、意外と頑固な所がある。ママンとは性格が合わないみたいだ。
うーん。
マリアーナはもう僕の話を聞いてくれない。
どうしよう……。
どうしよう……。
そうだ!
アイティラなら母上とも上手くやっていたし、マリアーナとママンの仲をとりもってくれるかも!
アイティラとは婚約解消したけれど、彼女とママンの関係は良好。婚約解消した時、アイティラは何かいっぱい喋ってたけど、早口で聞き取れなかった。
でも、ずっと笑顔だったから怒って無かったよね?
まあ、あの穏やかなアイティラが怒るわけないし!
よーし!
早速アイティラに相談だ!
☆
僕はアイティラに相談するために、急いでスターリー公爵邸に向かった。
彼女なら、母上のこともよく知ってるし、僕の話を聞いてくれるはずだ。
だけどーー
あれ?
アイティラが何故か余所余所しい……。婚約解消したからといって、僕の相談にも乗ってくれない。
いつもニコニコ僕の話を聞いてくれてたのに……。
別に仲違いしたわけじゃないのに、どうしてそんなにコロッと態度を変えるんだ?
アイティラだってママンには恩義を感じているはずだと思ってた。ママンは一生懸命アイティラにお妃教育をしてきたのだし……。
だけど、アイティラは僕の依頼を断った。
アイティラもマリアーナと同じように、ママンに泣かされたそうだ。
ママンの愛情は伝わりにくいのかもしれない。これは本当にどうにかしないと……。
アイティラは別の男の手をずっと握っていたなー。新しい恋だとも言っていたっけ。もしかして、あの男は新しい婚約者??
そうか……。僕がアイティラとの婚約を解消してマリアーナと婚約したように、彼女も次の婚約相手を探さないといけない。苦労しているんだな。
だからあんなにイライラして怒っていたのか……。
とにかく、マリアーナもアイティラもママンの言葉で傷ついていた。これは事実!
ママンは誤解されちゃってるんだ!
僕ちゃんがママンをフォローしなくては!
ママンの説得のため、王宮に戻り王妃専用のサロンに行った。
「母上!話があります!」
「あら、デーヴィット、私もちょうど話があったのよ」
ママンはいつものように目配せして侍女たちを下がらせた。
「ママンの話って何?」
「あのね、ディ君、マリアーナさんは王太子妃としては相応しくないわ。お妃教育にも反抗的な態度なのよ」
「マリアーナが?」
「それでね、私、思ったんだけどアイティラさんに戻ってきて貰ったらどう?」
「え?」
「アイティラさんを正妃、マリアーナさんを側妃になさいな」
「そんな事出来るのですか?」
「ええ。何代も前から側妃を娶る王族は居なかったけれど、制度としては残っているわ」
「アイティラは、同意してくれるでしょうか?」
「アイティラさんだって急に新しい結婚相手を探すのも大変でしょうし、きっと喜ぶわよ」
そうか!さすがママンだ!
マリアーナは可愛いけど、相談相手にはならない。
アイティラが正妃ならこれまで通り彼女に自分を支えてもらえる。
そうだよな、やっぱりそれが一番だよな。
よし、アイティラがあの男と婚約する前にこのことを話しに行こう!
あー、良かった!
これで万事解決だ!
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