【R18】伯爵に買われた奴隷でしたが、暗殺者に助けられました

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※R18です。


 二人でオプス王国に移住してようやく生活が落ち着いた。夫婦として愛し合ってはいるけれど、私はまだフィンと身体を重ねていない。
 
「フィン……今日一緒に寝たいの。いい?」
「う、うん。だけど……大丈夫?」
「ええ」

 私は恐くても身も心も全てを彼に捧げようと決めていた。

 けれど、ベッドで仰向けになり彼を待っているとあの恐怖が甦るだろう。彼との夜にあんな忌まわしい記憶はいらない。

「フィンがベッドに寝て。私がフィンを抱くの。そうしたらきっと怖くないわ」

「いいの?……無理しないで……」

「ううん。わたしがそうしたいの。させて?」

 大きな体躯に覆い被されるのはまだ怖い。

 それでもフィンと身体を重ねたいと思う。心の中に湧き上がるこの気持ちを大切にしよう。

 戸惑いながらもフィンはベッドで仰向けに横たわった。

「こう?」

「ええ、ありがとう。あと恥ずかしいから目を閉じててね」

「うん」

 私は下着姿になり、彼の腰の辺りを跨いで上に乗った。これなら自由に動けるし、怖くない。
 身体を前に倒してじっくり彼の顔を見る。

 近くで見ると意外に長い睫毛。肌は女性みたいにツルツルで、薄い唇は緊張でぎゅっと引き結ばれていた。

 この感情を何て言うんだろう。好き?愛?……庇護欲や性欲とも違う。

 でも、心が彼を求めるみたい。肌で、舌で、匂いで、声で、彼を感じたい、彼を身の内に閉じ込めてしまいたいような衝動。

「ごめんね、フィン。私に貴方を感じさせて欲しいの。擽ったいかもしれないけど、じっとしてて」

「……うん」

 彼の唇に自分の唇を重ねる。彼は本当に全くの無抵抗。だから安心して彼の唇の柔らかさを味わった。
 愛おしいと湧き上がる感情のまま、彼の身体に口づけを落とし、舌を這わせる。私を何度も助けてくれた腕の筋肉のラインをなぞり、私を包んでくれた大きな胸に頬をくっつけてその拍動を聴く。

 身体中にあるたくさんの傷痕。これは彼がひたむきに生き延びてきた証。

 私の愛撫に彼は少し擽ったそうに反応する。それが可愛く思えてしまう。

「フィン、ごめんね?擽ったい?」
「……大丈夫」

 あれほど嫌いだった挿入という行為。けれど自然に彼と繋がりたいという気持ちになって、私の身体の奥が潤んできた。

 彼の陰茎がもう準備万端とばかりにそそり立っていて、先端に透明な雫がまあるくついていた。そこに口づけると少ししょっぱい味がする。頭を押さえつけられ吐きそうなりながらした行為とは違い、そこに嫌悪感はない。ただ、彼への愛しさだけだった。

「フィン、挿れるね」

 私は彼に跨がり、その先端を膣口に当て身重でズブズブと中に沈めた。
 
「はぁーー、セレサ……」

 彼が気持ち良さそうに眉を寄せる。

「フィン……愛してるわ」

 彼の体温を自分のナカで感じることが嬉しい。快感よりも喜びが心を満たす。

「動くわね」
「はぁー、……セレサ」

 フィンから気持ちよさそうなため息が漏れる。彼の反応を確かめながら、腰を揺らす。その表情や声が快楽に喘ぐ度、お腹の奥がキュンと疼く。

「フィン、こうすると気持ちいいの?」

 いきり立った彼の怒張が奥に当たると、膣襞が締まるみたいで彼が耐えるように顔を歪める。
 何回も同じ場所を擦ると、下腹部に熱が溜まっていくみたいで気持ちいい。

「セレサ、起きていい?」

 彼は身体を起こして足を開くと、自分の太腿に私を乗せた。向かい合って抱き合うような形。

 大好きなフィンの顔が目の前にあるからちょっと照れちゃう。

「これなら怖くない?」

「……うん」
 
 フィンは腰を突き上げるみたいに動かすから自然に腰が揺れる。私はしがみつくようにフィンの肩に手を回した。

 こうやって抱き合うのは安心感がある。
 ゆっくりと動きながらキスをして、見つめ合って、少し照れて……また、キスをして……。

 フィンは最後に数回腰を動かすと、私のナカで奔流を放った。大好きな人の体温と匂いに包まれることに喜びを感じる。
 
「今までで一番フィンを近くに感じるわ」
「うん」
「幸せよ。ありがとう」

 私たちはその夜はずっと絡み付くように抱き合いながら眠った。







    

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