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3.
しおりを挟む『答えられる範囲しか答えられないけど、質問って何?』
コーヒーをマグに足しながら惣一郎は私に聞いてきた。
なんて聞いたらいいんだろう?彼は怒らないかな?
聞きたいことは山ほどあるのに…
「うーんとね、何から聞いたらいいのかわかんないんだけど、なんで私なのかなとかあの掲示板?見たのかなとか…この前聞いた時の記憶がちょっと飛び飛びでさ…何度もごめんなさい。」
『大丈夫だよ。気になるよね。僕もあんな時に畳み掛けるように話したからさ。冷静になるとわかんなくなるよね。』
そう。この前聞いた時はプレイ中の時と変わりなく、何回も気絶してたので記憶が飛び飛びだったのだ。
契約書等にサインしたのはもちろん覚えてる。
惣一郎はこの前話したんだけどね、と初めから話してくれた。
『僕達の出会い…というか僕が君を初めて見た日の話は覚えてる??』
「うん。映画の話だよね?」
『そう。その話だよ。うーん。どこからどこまで覚えてるのか真綾に先に聞いた方が早いかもな。教えてくれる?』
自分がどこを覚えてるのかをちゃんと話し、惣一郎の考えも聞いた。
出会いから1回目の痴漢、2回目の自分が募集した掲示板の話も、なんで自分が惣一郎にだけ襲われたのかも惣一郎は全て話してくれた。全部話を聞いてもやっぱり実感が沸かず、この人で良かったとも思ってしまう。もっと変な人だったら……と考えるだけ背筋がゾワゾワする。
「ねぇ、やっぱり気になるの。あの契約書の事。普通の生活と何も変わらないでしょ??」
『そう…かもしれないね?でも真綾が思ってるほど僕は優しくないよ。この家を案内しよう。そしたら僕がどれだけ君を愛してるのかがわかると思うんだ。』
「あ、愛してる?!?だ、だってそんな…え?」
『そうだよ?今更気がついたの?』
何となくわかってはいたけど言葉にされると照れてしまうし反応してしまう。
赤くなったとわかるくらい顔が熱い。
『照れてるのも可愛いよ。』
「あ、ありがとう…?あ、そうだ。仕事は続けてもいいんだよね??」
『なんで…?続けたいの?真綾は派遣社員だったよね?僕には真綾を養って何不自由なく暮らされるくらい出来るよ?真綾が仕事をしなくても困らない。』
「そう、、。そうだろうけど、それは…」
『まぁとりあえず家を見て?それから決めよう。』
「う、うん…。」
2人はリビングをでてキッチン横にあるドアから出た。
キッチン横のドアから出るとトイレ。
トイレの奥のドアを開けると脱衣所と洗濯乾燥機、お風呂場がある。
『ここはわかるよね、何回か使ってるし、ここが水場になるのかな?』
脱衣所から出ると短い廊下を歩き左側にリビングのドア、その奥に広い玄関があった。
『ここが玄関だよ。真綾はちゃんと見た事なかったね。セキュリティも指紋、声帯でカードキーがないと玄関があかないようになってるから安全だと思うよ。』
「すごいね…。こんなにセキュリティがしっかりしてる家なんて初めて見た……。」
『仕事柄ね、家でする仕事だし、作品を守る為にも僕自身の安全のためにもね。』
なるほど……仕事上盗作やプライバシー保護等のためか、と納得もした。
(売れっ子先生は大変なんだなー。)
そんな感想が頭によぎったが言っていいのか分からなかったため真綾は頷くしか出来なかった。
玄関から上に上がるための階段があり、それを惣一郎が先に登っていく。
『真綾、次は上を案内するよ』
真綾は後ろからついて行くがこの家はなんて広いんだろうと。こんなに広い一軒家が家の近くに確かにあったなと思い出した。
2階は3部屋かあるようで、奥の部屋から案内された。
奥の部屋は書斎兼仕事部屋になってるようだった。
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