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しおりを挟む※R18
※胸糞注意
ご主人様は暫くの間、ザラに夢中になった。
最初、彼女も媚薬の効果に満足して喜んでいた。
「あの媚薬は最高よ。スゴく気持ちいいんだから。ご主人様も私の反応に満足してくれたわ。今日も飲ませて貰おうっと!」
「ザラ、あなたあの薬がどんなものか分からないの?自我を失くしてしまうのよ?」
「何よ、うるさいわね。私がこの屋敷の女主人になるんだから指図しないで!もうこんな掃除なんてやってられないわ!!」
ベテランのメイドの忠告も聞かず、そう吐き捨てると、彼女はますます仕事をしなくなった。
「締まりが違う。良い性奴隷になった」とご主人様は満足げ。
そしてご主人様の様子も少し変わっていった。
屋敷中どこでもザラを犯す姿を見かける。以前はさすがに使用人の前で行為をすることは無かったが、今ではお互いの局部が人目に晒されようと気にしない。
屋敷のあちらこちらでザラが矯声を上げご主人様に突かれている。そしてご主人様もまた以前のようには仕事をしなくなったように感じていた。
「媚薬の成分が体液を通じてご主人様の体内にも入っているのかも……」
メイドの誰かが言った。そうかもしれない。
けれど、そんな日々は長くは続かなかった。
連日媚薬を飲んだザラの精神は壊れていく。屋敷内を裸同然の姿で歩き、ご主人様が居ないと男性使用人を誘惑した。
上気した頬。トロリと蕩けた目。発情しているのが一目で分かる。
「こいつはもうダメだな。ユルすぎて使い物にならん!」
そう言ってご主人様は目が虚ろになった彼女を床に放り投げた。
彼女はにへらと嗤ったまま、どこかへ連れて行かれてしまった。それ以降、彼女の姿を見ることは無かった。
私より若かったザラがあんな風になってしまった事に心が痛む。
あんな強力な媚薬は恐ろしい。けれど、彼女がご主人様から飽きられたことで、誰かが代わりに媚薬を使われるだろう。
そしてそれは自分ではないかと思っていた。以前からご主人様は私を壊してみたいと言っていたから……。そして私に拒否権は無い。
けれど、媚薬はなかなか手に入らないらしく、意外な事にメイドが夜伽を命じられる事も無く、数日が過ぎた。
男爵家がずっと力を入れてきた事業で巨額の損失が出たらしい。詳しい事は分からないが、ご主人様は仕事が忙しそうだった。
そしてーー
「セレサ、寝室に来いっ!!」
「はい。ご主人様。」
帰宅するなりご主人様は険しい声で私を呼びつけると、強い力で腕を引っ張っるようにして寝室に連れ込んだ。
かなり荒れている様子のご主人様を見て身体が強張る。
きっと酷い目に合わされる。
仕事が上手くいかなかった日には暴力的になる。以前は鞭で打たれたり、失神するまで首を絞められた日もあった。涙と汗とよだれでぐちゃぐちゃになった私を見下ろして満足そうに笑う。
その笑顔は心の底から人に恐怖を植え付けるような不気味さで、私はこの人にいつか殺されるのだと思った。
「……ご、ご主人様……お許しください。」
「赦すも赦さないもない。お前は私のモノなのだから、どうしようと私の勝手だろう!」
これは相当機嫌が悪い。ベッドに横たわった私は身を硬くしてギュッと目を閉じた。
ご主人様は乱暴に上着を脱ぐと、少し愉悦の交じる笑顔を浮かべたまま、私に覆い被さってきた。
今からされる行為を思い浮かべぎゅっと目を閉じた。
その瞬間ーー
「ぐあああっーーーーーーっ!!」
大きな叫び声に驚いて目を開けると苦悶の表情を浮かべ、大きく仰け反ったご主人様が!
「きゃあーーーっ!!」
いつの間にかご主人様の向こうに大きな身体の男性が……。
その男性は剣を持ったまま近づいてきてご主人様をベッドから蹴り落とした。そして、痛みに悶え苦しむご主人様の肩を蹴って仰向けに転がした後、その心臓めがけて剣を深く突き刺した。
「ぅぐ……っ」
ご主人様は目を見開いたまま、ピクピクと2、3度痙攣すると、そのまま動かなくなった。
あまりの出来事に声が出ない。恐怖で口元を押さえ、ご主人様が息絶える様子を黙ったまま見ていた。
そしてーー
「……声を出さないで……」
ご主人様を刺した男は私の方を向いて、人差し指を立てて唇に当てた。
優しい声だった。
だけど彼は人殺し。
怖くて怖くて……。逃げないといけない……。このままじゃ殺されちゃう。
男性から距離を取ろうと、後退りしたいのに……力が入らない……。
「ちょっとごめんね。」
震える私に、男は布に染み込ませた薬品を嗅がせた。
毒薬……?
私、……死んじゃうの……。
まあ、それもいいか……このまま生きていたって仕方がない。
「眠るだけの薬だよ。セレサ、おやすみ。」
私は暗闇に引きずり込まれるように、そのまま意識を失った。
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