【R18】伯爵に買われた奴隷でしたが、暗殺者に助けられました

文字の大きさ
上 下
2 / 9

2.

しおりを挟む


※R18
※胸糞注意









 ご主人様は暫くの間、ザラに夢中になった。

 最初、彼女も媚薬の効果に満足して喜んでいた。

「あの媚薬は最高よ。スゴく気持ちいいんだから。ご主人様も私の反応に満足してくれたわ。今日も飲ませて貰おうっと!」

「ザラ、あなたあの薬がどんなものか分からないの?自我を失くしてしまうのよ?」

「何よ、うるさいわね。私がこの屋敷の女主人になるんだから指図しないで!もうこんな掃除なんてやってられないわ!!」

 ベテランのメイドの忠告も聞かず、そう吐き捨てると、彼女はますます仕事をしなくなった。

「締まりが違う。良い性奴隷になった」とご主人様は満足げ。

 そしてご主人様の様子も少し変わっていった。
 屋敷中どこでもザラを犯す姿を見かける。以前はさすがに使用人の前で行為をすることは無かったが、今ではお互いの局部が人目に晒されようと気にしない。
 屋敷のあちらこちらでザラが矯声を上げご主人様に突かれている。そしてご主人様もまた以前のようには仕事をしなくなったように感じていた。

「媚薬の成分が体液を通じてご主人様の体内にも入っているのかも……」

 メイドの誰かが言った。そうかもしれない。

 けれど、そんな日々は長くは続かなかった。

 連日媚薬を飲んだザラの精神は壊れていく。屋敷内を裸同然の姿で歩き、ご主人様が居ないと男性使用人を誘惑した。
 上気した頬。トロリと蕩けた目。発情しているのが一目で分かる。

 「こいつはもうダメだな。ユルすぎて使い物にならん!」

 そう言ってご主人様は目が虚ろになった彼女を床に放り投げた。
 
 彼女はにへらと嗤ったまま、どこかへ連れて行かれてしまった。それ以降、彼女の姿を見ることは無かった。

 私より若かったザラがあんな風になってしまった事に心が痛む。


 あんな強力な媚薬は恐ろしい。けれど、彼女がご主人様から飽きられたことで、誰かが代わりに媚薬を使われるだろう。
 そしてそれは自分ではないかと思っていた。以前からご主人様は私を壊してみたいと言っていたから……。そして私に拒否権は無い。


 けれど、媚薬はなかなか手に入らないらしく、意外な事にメイドが夜伽を命じられる事も無く、数日が過ぎた。

 男爵家がずっと力を入れてきた事業で巨額の損失が出たらしい。詳しい事は分からないが、ご主人様は仕事が忙しそうだった。

 そしてーー

「セレサ、寝室に来いっ!!」

「はい。ご主人様。」

 帰宅するなりご主人様は険しい声で私を呼びつけると、強い力で腕を引っ張っるようにして寝室に連れ込んだ。

 かなり荒れている様子のご主人様を見て身体が強張る。

 きっと酷い目に合わされる。


 仕事が上手くいかなかった日には暴力的になる。以前は鞭で打たれたり、失神するまで首を絞められた日もあった。涙と汗とよだれでぐちゃぐちゃになった私を見下ろして満足そうに笑う。
 その笑顔は心の底から人に恐怖を植え付けるような不気味さで、私はこの人にいつか殺されるのだと思った。


「……ご、ご主人様……お許しください。」

「赦すも赦さないもない。お前は私のモノなのだから、どうしようと私の勝手だろう!」

 これは相当機嫌が悪い。ベッドに横たわった私は身を硬くしてギュッと目を閉じた。

 ご主人様は乱暴に上着を脱ぐと、少し愉悦の交じる笑顔を浮かべたまま、私に覆い被さってきた。

 今からされる行為を思い浮かべぎゅっと目を閉じた。


 その瞬間ーー

「ぐあああっーーーーーーっ!!」

 大きな叫び声に驚いて目を開けると苦悶の表情を浮かべ、大きく仰け反ったご主人様が!

「きゃあーーーっ!!」

 いつの間にかご主人様の向こうに大きな身体の男性が……。
 その男性は剣を持ったまま近づいてきてご主人様をベッドから蹴り落とした。そして、痛みに悶え苦しむご主人様の肩を蹴って仰向けに転がした後、その心臓めがけて剣を深く突き刺した。

「ぅぐ……っ」

 ご主人様は目を見開いたまま、ピクピクと2、3度痙攣すると、そのまま動かなくなった。
 
 あまりの出来事に声が出ない。恐怖で口元を押さえ、ご主人様が息絶える様子を黙ったまま見ていた。

そしてーー

「……声を出さないで……」

 ご主人様を刺した男は私の方を向いて、人差し指を立てて唇に当てた。
 優しい声だった。

 だけど彼は人殺し。
 怖くて怖くて……。逃げないといけない……。このままじゃ殺されちゃう。
 
 男性から距離を取ろうと、後退りしたいのに……力が入らない……。

「ちょっとごめんね。」

 震える私に、男は布に染み込ませた薬品を嗅がせた。

 毒薬……?
 私、……死んじゃうの……。

 まあ、それもいいか……このまま生きていたって仕方がない。

「眠るだけの薬だよ。セレサ、おやすみ。」

 私は暗闇に引きずり込まれるように、そのまま意識を失った。




しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~

恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん) は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。 しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!? (もしかして、私、転生してる!!?) そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!! そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

【R18】深層のご令嬢は、婚約破棄して愛しのお兄様に花弁を散らされる

奏音 美都
恋愛
バトワール財閥の令嬢であるクリスティーナは血の繋がらない兄、ウィンストンを密かに慕っていた。だが、貴族院議員であり、ノルウェールズ侯爵家の三男であるコンラッドとの婚姻話が持ち上がり、バトワール財閥、ひいては会社の経営に携わる兄のために、お見合いを受ける覚悟をする。 だが、今目の前では兄のウィンストンに迫られていた。 「ノルウェールズ侯爵の御曹司とのお見合いが決まったって聞いたんだが、本当なのか?」」  どう尋ねる兄の真意は……

巨乳令嬢は男装して騎士団に入隊するけど、何故か騎士団長に目をつけられた

狭山雪菜
恋愛
ラクマ王国は昔から貴族以上の18歳から20歳までの子息に騎士団に短期入団する事を義務付けている いつしか時の流れが次第に短期入団を終わらせれば、成人とみなされる事に変わっていった そんなことで、我がサハラ男爵家も例外ではなく長男のマルキ・サハラも騎士団に入団する日が近づきみんな浮き立っていた しかし、入団前日になり置き手紙ひとつ残し姿を消した長男に男爵家当主は苦悩の末、苦肉の策を家族に伝え他言無用で使用人にも箝口令を敷いた 当日入団したのは、男装した年子の妹、ハルキ・サハラだった この作品は「小説家になろう」にも掲載しております。

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。 そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。 だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。 そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

淫らな蜜に狂わされ

歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。 全体的に性的表現・性行為あり。 他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。 全3話完結済みです。

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される

奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。 けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。 そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。 2人の出会いを描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630 2人の誓約の儀を描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

ヤンデレエリートの執愛婚で懐妊させられます

沖田弥子
恋愛
職場の後輩に恋人を略奪された澪。終業後に堪えきれず泣いていたところを、営業部のエリート社員、天王寺明夜に見つかってしまう。彼に優しく慰められながら居酒屋で事の顛末を話していたが、なぜか明夜と一夜を過ごすことに――!? 明夜は傷心した自分を慰めてくれただけだ、と考える澪だったが、翌朝「責任をとってほしい」と明夜に迫られ、婚姻届にサインしてしまった。突如始まった新婚生活。明夜は澪の心と身体を幸せで満たしてくれていたが、徐々に明夜のヤンデレな一面が見えてきて――執着強めな旦那様との極上溺愛ラブストーリー!

処理中です...