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22.攻略失敗?
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※時間が少し遡ります。
エリアナ視点
次はいよいよ最後のダンスイベント。
ダンスの練習中に、ドレスを贈ってもらう約束をしなくちゃ。
私は何回もオースティン様へダンスパートナーを申し込んだ。とにかく悪役令嬢よりたくさん踊るのが目標。
そしてダンスの間に、いかに男爵家が貧乏かをオースティン様に伝えなきゃ。
「オースティン様ぁ、私ーー、卒業パーティー楽しみにしてるんですけど、ドレスを買うお金がなくてぇーー。」
「男爵家はそんなに困窮しているのかい?」
「そうなんですっ」
オースティン様は困ったように微笑んでいたが、何度も何度も同じ話を繰り返したら、後日『パーティーまでに家にドレスが届くよう手配する』って約束してくれた!
ダンスレッスンでは一番多くオースティン様と踊ることが出来た。これでオースティンルート確定だと思う。
私とオースティン様の好感度が上がったせいか、ヴァネッサはダンスレッスン中に体調を崩して学園には姿を見せなくなった。
よしっ!
悪役令嬢も退場したし、卒業パーティーのイベントは確実ね。
☆
「これで王太子妃は確定。王子様との結婚ってどんなに豪華なのかしら?宝石とかスゴいんだろうなぁーー。」
学園の卒業パーティーまであと少し。パーティーでの婚約破棄イベントや結婚式に思いを馳せ私がウキウキしていたら、お父様が縁談を持ちかけてきた。
「エリアナ、お前にラシック子爵から縁談が来ている。」
目の前に豪華絢爛な王宮生活が待っているのに子爵令息なんて……。
「断って。」
確か学園のモブ生徒から「卒業パーティーにエスコートしたい」って言われたけどお断りした。きっとそのモブの事だと思う。子爵なんて下位貴族に興味は無い。
「いいのか?とても良い縁談なのだが……。彼はとても真面目だし。」
「他に親しくしている方がいるの。」
「そうか……。」
「エリアナちゃん、イイ人居るのね。それなら卒業パーティーではお洒落しなくちゃ。ドレスはどうするの?あまり、高価な物は買えないけど、新しい物を仕立てましょうか?」
男爵家で買えるドレスなんてたかが知れてる。王子様の方が何倍も高価なドレスを買えるわ。
学園の裏庭で『薔薇好き』もアピールしたし、ダンスの練習でもオースティン様と踊ってドレスを贈ってもらう約束までした。
イベントの回収は順調。
だから卒業パーティーまでに薔薇の花束と卒業パーティー用の宝石やドレスが家に届くはず。
「いらないわ。親しくなった方から頂く予定なの。」
「そうか。」
「すごいわね、エリアナちゃん。ドレスを贈ってくださる方がいるの?誰なの?」
「えへへ。高貴な人だから、内緒。」
お父様もお母様も、オースティン様からドレスが届いたらきっとびっくりするわ。泣いて喜ぶわね。それともおそれ多いって慌てるかも。
両親の驚いた顔を想像しながら、私は指折り数えて卒業パーティーの日を待っていた。
☆
「エリアナちゃん、ドレス届いたわよ。」
我が家にドレスが届いた。差出人は不明だけど、王国内でも高位貴族しか相手にしない有名デザイナーのドレスだった。
「すごいわね。生地も最高級品よ。」
お母様は喜んでいるけど、私はちょっと複雑。
ドレスは確かにすごく豪華だけど、赤い色のドレスは悪役令嬢みたいだった。デザインも大人っぽくて、私の可愛いイメージとは違うと思う。
「これ……きっと似合わないわ。」
「でも、これしかドレスは無いでしょ?」
「うん、そうだけど……。」
確かゲームでは悪役令嬢が赤のドレスを着ていた。ヒロインの私は攻略対象者によってドレスの色が違ったけど、全部淡い色彩の可愛らしいドレスだった。
他に着ていくドレスも無くて仕方なくそのドレスを着ることにした。
薔薇の花束も届かなかったし、何かおかしい気がする。
☆
「どーして迎えが来ないの?」
卒業パーティー当日だというのに、オースティン様が迎えに来なくて、会場に着くのが時間ギリギリになってしまった。
やっぱり赤色のドレスはあまり似合わないと思う。会場には婚約者にエスコートされた令嬢たちが幸せそうに微笑んでいた。
私はだけがポツンと一人。結局、誰もエスコートしてくれる人がいなかった。
もうっ!腹が立つ!
私がその気になれば、攻略対象者はみんな私のことを好きになったんだからねっ!!
パーティー会場に入ってオースティン様を探した。
そしてーー
オースティン様を見つけて愕然とした。
「どーしてあんな所にいるのぉ??」
オースティン様は壇上で学園長の隣に座っていた。教師たちと談笑していて、ダンスパーティーに参加する雰囲気じゃない。
そして、オースティン様は卒業生の代表として挨拶を行っただけで、ダンスホールには下りて来なかった。
「まさか?攻略失敗っ!?」
途中まで上手くいっていたのに、どこで間違ったのかなぁ?
やり直しね。面倒くさいわ。
「……。」
あれ?
どうやってやり直しするの?
「リセット、リセット、リセット……。」
いくら繰り返してみても現実は変わらなくて……。
楽団が演奏を奏で、周囲にいた令嬢がパートナーと踊り出した。
私は……オースティン様どころか、誰も 攻略出来ていない。
キョロキョロ辺りを見回しても、誰も私を助けてくれる人なんていなかった。
「私これからどうすればいいのぉっ!」
パーティー会場の真ん中で、私は途方に暮れて膝から崩れ落ちた。
それはまるでゲームの悪役令嬢の姿だった。
エリアナ視点
次はいよいよ最後のダンスイベント。
ダンスの練習中に、ドレスを贈ってもらう約束をしなくちゃ。
私は何回もオースティン様へダンスパートナーを申し込んだ。とにかく悪役令嬢よりたくさん踊るのが目標。
そしてダンスの間に、いかに男爵家が貧乏かをオースティン様に伝えなきゃ。
「オースティン様ぁ、私ーー、卒業パーティー楽しみにしてるんですけど、ドレスを買うお金がなくてぇーー。」
「男爵家はそんなに困窮しているのかい?」
「そうなんですっ」
オースティン様は困ったように微笑んでいたが、何度も何度も同じ話を繰り返したら、後日『パーティーまでに家にドレスが届くよう手配する』って約束してくれた!
ダンスレッスンでは一番多くオースティン様と踊ることが出来た。これでオースティンルート確定だと思う。
私とオースティン様の好感度が上がったせいか、ヴァネッサはダンスレッスン中に体調を崩して学園には姿を見せなくなった。
よしっ!
悪役令嬢も退場したし、卒業パーティーのイベントは確実ね。
☆
「これで王太子妃は確定。王子様との結婚ってどんなに豪華なのかしら?宝石とかスゴいんだろうなぁーー。」
学園の卒業パーティーまであと少し。パーティーでの婚約破棄イベントや結婚式に思いを馳せ私がウキウキしていたら、お父様が縁談を持ちかけてきた。
「エリアナ、お前にラシック子爵から縁談が来ている。」
目の前に豪華絢爛な王宮生活が待っているのに子爵令息なんて……。
「断って。」
確か学園のモブ生徒から「卒業パーティーにエスコートしたい」って言われたけどお断りした。きっとそのモブの事だと思う。子爵なんて下位貴族に興味は無い。
「いいのか?とても良い縁談なのだが……。彼はとても真面目だし。」
「他に親しくしている方がいるの。」
「そうか……。」
「エリアナちゃん、イイ人居るのね。それなら卒業パーティーではお洒落しなくちゃ。ドレスはどうするの?あまり、高価な物は買えないけど、新しい物を仕立てましょうか?」
男爵家で買えるドレスなんてたかが知れてる。王子様の方が何倍も高価なドレスを買えるわ。
学園の裏庭で『薔薇好き』もアピールしたし、ダンスの練習でもオースティン様と踊ってドレスを贈ってもらう約束までした。
イベントの回収は順調。
だから卒業パーティーまでに薔薇の花束と卒業パーティー用の宝石やドレスが家に届くはず。
「いらないわ。親しくなった方から頂く予定なの。」
「そうか。」
「すごいわね、エリアナちゃん。ドレスを贈ってくださる方がいるの?誰なの?」
「えへへ。高貴な人だから、内緒。」
お父様もお母様も、オースティン様からドレスが届いたらきっとびっくりするわ。泣いて喜ぶわね。それともおそれ多いって慌てるかも。
両親の驚いた顔を想像しながら、私は指折り数えて卒業パーティーの日を待っていた。
☆
「エリアナちゃん、ドレス届いたわよ。」
我が家にドレスが届いた。差出人は不明だけど、王国内でも高位貴族しか相手にしない有名デザイナーのドレスだった。
「すごいわね。生地も最高級品よ。」
お母様は喜んでいるけど、私はちょっと複雑。
ドレスは確かにすごく豪華だけど、赤い色のドレスは悪役令嬢みたいだった。デザインも大人っぽくて、私の可愛いイメージとは違うと思う。
「これ……きっと似合わないわ。」
「でも、これしかドレスは無いでしょ?」
「うん、そうだけど……。」
確かゲームでは悪役令嬢が赤のドレスを着ていた。ヒロインの私は攻略対象者によってドレスの色が違ったけど、全部淡い色彩の可愛らしいドレスだった。
他に着ていくドレスも無くて仕方なくそのドレスを着ることにした。
薔薇の花束も届かなかったし、何かおかしい気がする。
☆
「どーして迎えが来ないの?」
卒業パーティー当日だというのに、オースティン様が迎えに来なくて、会場に着くのが時間ギリギリになってしまった。
やっぱり赤色のドレスはあまり似合わないと思う。会場には婚約者にエスコートされた令嬢たちが幸せそうに微笑んでいた。
私はだけがポツンと一人。結局、誰もエスコートしてくれる人がいなかった。
もうっ!腹が立つ!
私がその気になれば、攻略対象者はみんな私のことを好きになったんだからねっ!!
パーティー会場に入ってオースティン様を探した。
そしてーー
オースティン様を見つけて愕然とした。
「どーしてあんな所にいるのぉ??」
オースティン様は壇上で学園長の隣に座っていた。教師たちと談笑していて、ダンスパーティーに参加する雰囲気じゃない。
そして、オースティン様は卒業生の代表として挨拶を行っただけで、ダンスホールには下りて来なかった。
「まさか?攻略失敗っ!?」
途中まで上手くいっていたのに、どこで間違ったのかなぁ?
やり直しね。面倒くさいわ。
「……。」
あれ?
どうやってやり直しするの?
「リセット、リセット、リセット……。」
いくら繰り返してみても現実は変わらなくて……。
楽団が演奏を奏で、周囲にいた令嬢がパートナーと踊り出した。
私は……オースティン様どころか、誰も 攻略出来ていない。
キョロキョロ辺りを見回しても、誰も私を助けてくれる人なんていなかった。
「私これからどうすればいいのぉっ!」
パーティー会場の真ん中で、私は途方に暮れて膝から崩れ落ちた。
それはまるでゲームの悪役令嬢の姿だった。
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