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12.やったね!ヒロイン転生!
しおりを挟むエリアナ視点
『恋爛漫!プリティキューティー学園』の世界に転生したと分かった時には飛び上がって喜んだ!
「すごく可愛いっ!さすがヒロイン!」
ピンク色の髪に庇護欲をそそるクリクリの目。ふわふわの大きなお胸。真っ白い肌にプルツヤ唇。これは間違いなくヒロイン顔だわ!
「学園入学までは三年もあるのね。将来は王太子妃になるって決まっているし、それまではのんびり過ごせば良いわよね。」
私は第1王子のオースティン狙い。
少し影のあるところが堪らなく好き!
彼は幼い頃、暗殺により母親を亡くし暗い性格になってしまった影のあるキャラクター。
確か天使のように明るくて素直な少年だったのに、母親の死以降心から笑えなくなってしまったという設定だ。
そのオースティンは学園でエリアナに出逢い、その天真爛漫な性格にかつての自分を重ねて惹かれていくってストーリー。
「このゲームは低年齢向けだし、楽勝よね!」
私はシンデレラストーリーを夢見て、学園への入学を心待ちにしていた。
☆
入学式で見た、悪役令嬢のヴァネッサとオースティン様は他人行儀な感じで、愛称呼びも無かった。
「よし!オースティン様と悪役令嬢は仲も悪そうだし、これは攻略簡単そうね。」
万が一、二人が仲睦まじい様子だったら狙いを変えようかと思ってたけど、変更の必要なさそう。
私を見るオースティン様の笑顔も素敵!
もっと天真爛漫を装わなくちゃ!
図書室でオースティン様に勉強を教えてもらっていたら、ヴァネッサが駆けつけてきた。
うわ~怖い顔。
そんな顔でオースティン様を睨んだら嫌われちゃうのに……。
二人きりにさせて欲しいって言われたから図書室を出て廊下に隠れ、様子を窺っていた。そしたら、ヴァネッサがハンカチで顔を覆って早足で図書室を出ていくのをバッチリ目撃しちゃった。
目に涙も浮かべてたみたい。
「これは……別れ話ね。とうとう婚約破棄を匂わされたのかしら?」
ゲームでもヴァネッサが一方的にオースティン様を慕っていただけで、オースティン様は彼女を疎ましく思っていた。
これで完璧にオースティンルートに、入ったはず。
私は未来の王太子妃になれることを確信し、お父様に高価な化粧品を買って欲しいとおねだりした。
「お父様、貴族令嬢に人気の化粧品を一式揃えて欲しいの。あと、在宅エステも来てもらいたいわ。」
「な、何だ、急に。我が家にそんな余裕が無いことはよく知っているだろう?」
「少しでも良い縁談を探すためよ。」
実際に見たヴァネッサは予想以上に綺麗だった。さすがは公爵令嬢ね。
やっぱり使っている化粧品も違う。それに公爵家ともなれば、侍女たちによるマッサージを受けているはずだもの。
「お願い、お父様!」
「う、うむ。仕方ないな。」
我が家の財政が厳しいのは、ゲームと同じ。だからお金にはあまり余裕が無い。
ドレスや宝石はオースティン様から贈られる予定。だから、私は肌と髪のお手入れを頑張らなくちゃ!!
☆
「次のイベントは……確か学園の裏庭だったはず。薔薇のお世話の仕方を覚えなくちゃ。」
次のオースティンルートのイベントは『裏庭の薔薇』。
ヒロインが裏庭でひっそりと薔薇の手入れをしていると、オースティン殿下が来て自分の死んだ母も薔薇が好きだったと思い出話をするイベント。
このイベントをクリアすると、卒業パーティーの前日、自宅に大きな薔薇の花束が届くのだ。
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