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真なる我に目覚めた俺氏
アウラの血は処女の血……熟成の味
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体にかつてないほど、活力が満ちている。俺氏、今なら魔法も使えそうな気がします。何でだろう? キスをされてから、体が火照り恍惚とした何かで心が満たされている。俺氏けっしてロリコンではないのだが。幼女にキスをされて喜んでいるのだろうか?
まてまて、これは何か死後の世界的な何かで俺が夢こがれていた処女の血を吸うことができる天国というやつではなかろうか? だから、極端に幼女という存在が現れた? 幼女は処女、鉄板だろう。
「ユフィ様、先ずはお食事を。あぁ、この爺めはユフィ様のお目覚め嬉しく思います。その大きく見開かれた紅い瞳。さらに、透き通るような白い肌に白銀の滑らかな頭髪。すごく愛らしいお姿に爺めは出会ったあの日から――」
豪華な食卓。卓上には様々な料理が並んでいる。さらに、今は夜なのか燭台の蝋燭に火が灯りシャンデリアの明かりも相まって貴族にでもなった気分だ。さっきから、誉め散らかしてくる自分を爺と言っている彼はしかしイケメンの利発そうな美少年である。名前はセバス。家令らしい。
食事に手をつけようにも、綺麗な女性が給仕服――つまりメイド――を着てぞろりと並んで見つめてくる為に食べようにも気まずい。
しかし、食べなくては。テーブルマナーが何故かわかる。俺はそんなの知らないはずだが……。まぁ、夢だからな。
ひとくちひとくち、味わいながら食べる。うーん? なんか、上品な味わいというか。食べなれない感じの味だけど美味しいな。
「あぁ、かつてはこの世界に轟いたユフィ様のお力、そして愛らしいそのお姿に世の女性たちは虜でありました。しかし! しかしですよ。今ではこの暗黒大陸の一部の者しかユフィ様の偉大さを知る者はいません。その力の一端を私めは見た瞬間から今まで忘れずに――」
長いよ、セバス。上手く纏めようよ。短く簡潔に! 右の耳から左耳に流れていき頭に入らないよ。ユフレインの情報を聞き出そうとセバスに頼んだのはいいけど、なんも頭に届かないよ! もぐもぐと、食事は進むけどね。だけど、転生ですか。なんか、凄いね。っていうよりアウラの偏愛ぶりにも困る。盲目的に俺氏……いやユフレインを愛しているらしい。愛されているような違う誰かを愛しているかのようなそんな複雑な感じ。
でもアウラの血の味がまだ忘れられない。あの熟成された高級ワインのように洗練され深みの味。
――――――――――
「ユフレイン様……いえ、お父様。私の血を吸ってください。何か思い出す、きっかけになれば……」
俺はその誘惑に勝てそうになかった。幼女だけど、すごく色気のある娼婦のような男を魅了する何かを感じる。それは表情か、仕草か甘い吐息か。耳もとで囁かれて、俺はもう理性なんか吹き飛び首筋に噛みついた。
「あっ……お父様は、偉大な、始祖ヴァンパイア。私はお父様以外に私の何もかもを与えるつもりもありませんでした。……お会いしたかったです」
深く、牙を突き立て噛みつく力が強まる。美味しい……。しかし、吸いすぎはアウラを死なせてしまうかもしれない。……葛藤を制して俺はそっと突き立てた牙を緩めた。
「俺は……ユフレインなのか? 二橋健人。それは俺の夢だったのか?」
恍惚としたアウラの顔から、一瞬表情が抜け落ちた。しかし、一瞬だったから気のせいかと俺は流したのだった。
――――――――――
セバスの演説も、佳境をむかえたのかヒートアップしていたのが嘘のように悲嘆の声を滲ませた。
「しかし、千年の時は長すぎました。かつてはユフィ様の眷属も多く仕えていましたが今ではアウラ様、ただお一人。アウラ様の愛は衰えることなく翳りさえみられなかったのです。ユフィ様が一番大切に思っていらっしゃいましたのもアウラ様ただお一人。アウラ様の今の心痛は私めにもわかりかねます。ですからどうか、アウラ様を――」
セバスも、アウラを大切に思っているのがひしひしと伝わる。愛のこもった演説だった。そうか、ユフレインは俺なのかもしれない。ただ、今はきっと前世の記憶に引っ張られているだけなのかもしれないのだから。アウラは……、今の俺をどう思っているのだろうか。ユフレインとしての俺を今の俺を見て失望してはいないだろうか? 俺は記憶が戻るまで、アウラにどう接すればいいのだろうか。セバスの話どおりなら偉大な力を持ちながら、たくさんの人に慕われるような可愛らしい一面もあったらしい。でも、アウラといるときは父のような振る舞いをしていたようだ。俺はアウラの父になれるだろうか……。
「では、片付けは給仕にお任せして私どもは久しぶりに裸の付き合いといたしましょう。湯の準備は滞りなくすませてありますれば。さて、まいりましょうかユフィ様」
裸の付き合い? あぁ、風呂か。どんな風呂なんだろうか。
まてまて、これは何か死後の世界的な何かで俺が夢こがれていた処女の血を吸うことができる天国というやつではなかろうか? だから、極端に幼女という存在が現れた? 幼女は処女、鉄板だろう。
「ユフィ様、先ずはお食事を。あぁ、この爺めはユフィ様のお目覚め嬉しく思います。その大きく見開かれた紅い瞳。さらに、透き通るような白い肌に白銀の滑らかな頭髪。すごく愛らしいお姿に爺めは出会ったあの日から――」
豪華な食卓。卓上には様々な料理が並んでいる。さらに、今は夜なのか燭台の蝋燭に火が灯りシャンデリアの明かりも相まって貴族にでもなった気分だ。さっきから、誉め散らかしてくる自分を爺と言っている彼はしかしイケメンの利発そうな美少年である。名前はセバス。家令らしい。
食事に手をつけようにも、綺麗な女性が給仕服――つまりメイド――を着てぞろりと並んで見つめてくる為に食べようにも気まずい。
しかし、食べなくては。テーブルマナーが何故かわかる。俺はそんなの知らないはずだが……。まぁ、夢だからな。
ひとくちひとくち、味わいながら食べる。うーん? なんか、上品な味わいというか。食べなれない感じの味だけど美味しいな。
「あぁ、かつてはこの世界に轟いたユフィ様のお力、そして愛らしいそのお姿に世の女性たちは虜でありました。しかし! しかしですよ。今ではこの暗黒大陸の一部の者しかユフィ様の偉大さを知る者はいません。その力の一端を私めは見た瞬間から今まで忘れずに――」
長いよ、セバス。上手く纏めようよ。短く簡潔に! 右の耳から左耳に流れていき頭に入らないよ。ユフレインの情報を聞き出そうとセバスに頼んだのはいいけど、なんも頭に届かないよ! もぐもぐと、食事は進むけどね。だけど、転生ですか。なんか、凄いね。っていうよりアウラの偏愛ぶりにも困る。盲目的に俺氏……いやユフレインを愛しているらしい。愛されているような違う誰かを愛しているかのようなそんな複雑な感じ。
でもアウラの血の味がまだ忘れられない。あの熟成された高級ワインのように洗練され深みの味。
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「ユフレイン様……いえ、お父様。私の血を吸ってください。何か思い出す、きっかけになれば……」
俺はその誘惑に勝てそうになかった。幼女だけど、すごく色気のある娼婦のような男を魅了する何かを感じる。それは表情か、仕草か甘い吐息か。耳もとで囁かれて、俺はもう理性なんか吹き飛び首筋に噛みついた。
「あっ……お父様は、偉大な、始祖ヴァンパイア。私はお父様以外に私の何もかもを与えるつもりもありませんでした。……お会いしたかったです」
深く、牙を突き立て噛みつく力が強まる。美味しい……。しかし、吸いすぎはアウラを死なせてしまうかもしれない。……葛藤を制して俺はそっと突き立てた牙を緩めた。
「俺は……ユフレインなのか? 二橋健人。それは俺の夢だったのか?」
恍惚としたアウラの顔から、一瞬表情が抜け落ちた。しかし、一瞬だったから気のせいかと俺は流したのだった。
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セバスの演説も、佳境をむかえたのかヒートアップしていたのが嘘のように悲嘆の声を滲ませた。
「しかし、千年の時は長すぎました。かつてはユフィ様の眷属も多く仕えていましたが今ではアウラ様、ただお一人。アウラ様の愛は衰えることなく翳りさえみられなかったのです。ユフィ様が一番大切に思っていらっしゃいましたのもアウラ様ただお一人。アウラ様の今の心痛は私めにもわかりかねます。ですからどうか、アウラ様を――」
セバスも、アウラを大切に思っているのがひしひしと伝わる。愛のこもった演説だった。そうか、ユフレインは俺なのかもしれない。ただ、今はきっと前世の記憶に引っ張られているだけなのかもしれないのだから。アウラは……、今の俺をどう思っているのだろうか。ユフレインとしての俺を今の俺を見て失望してはいないだろうか? 俺は記憶が戻るまで、アウラにどう接すればいいのだろうか。セバスの話どおりなら偉大な力を持ちながら、たくさんの人に慕われるような可愛らしい一面もあったらしい。でも、アウラといるときは父のような振る舞いをしていたようだ。俺はアウラの父になれるだろうか……。
「では、片付けは給仕にお任せして私どもは久しぶりに裸の付き合いといたしましょう。湯の準備は滞りなくすませてありますれば。さて、まいりましょうかユフィ様」
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