魔人狂想曲

山波斬破

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物語が好きな少年

薄紅の季節に

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 薄紅の花弁がヒラヒラと舞う公園で、ベンチに腰かけた少年が、本を開いて読みふけっている。微かな、桜の薫りに包まれた空気を鼻いっぱいに吸い込んで少年は、はにかむような柔らかい笑みを浮かべてそっと、本を閉じた。

「よし、この【魔物の生態】は駄作だ。でも、文の言い回しが独特で嫌いにはなれないんだよな。さすが、フロンス先生の書かれた本だ。物語なのに魔物の生態というタイトルはいかに? ……おっと、つい独り言が」

 肩にかけたバッグに本を大事そうにしまい少年は、腰に薙いだ剣の鞘を軽く叩くと頷き、歩き出した。

 公園は、稼ぎ時の火日かじつだというのに賑わいを見せている。家族で楽しそうにお弁当を広げている人、手を繋いだり、女性が腕を絡ませたりしている恋人たちがいる。もちろん屋台を開いている者も居ないではないが。

 月日つきじつ火日かじつ水日すいじつ木日もくじつ金日きんじつは、稼ぎ時なことが多い。神日しんじつ星日せいじつは、みんながみんなではないが家や神殿で祈りを捧げている事が多く、あまり稼ぐには向かない日だ。


 爽やかな風が、清涼感を運んでくる。夏の前の少し涼しくも暖かい気候を感じさせるような空気だ。少年は鼻唄まじりに、ご機嫌な様子で自分の世界に入り込んでいた。時折、少年を微笑ましく年嵩のいった女性が見ているのがわかった。
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