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26 最も愚かなる者→王太子編③ 巻き戻し。

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王太子は、その状況に戸惑っていた。



なぜなら、案内したはずの男爵令嬢はいつの間にかにいなくなり、周囲が薄暗いこともあり、そこへ居合わせた自らの妹…王女の姿を見てしまったからだ。



この時代のお風呂では、男女ともに素っ裸で入ることはしない。

必ず、湯着を着用することが常識で、この時も王女はそれを着ていた。



幸い(?)に、そこへは湯着が濡れていない状況で来たので、透けて見える状態ではなかったが、王太子であろうとも、その場にいること自体が問題。



悲鳴を上げるよりも早く、女性近衛隊が王太子を取り押さえたのは、職務に忠実というより自らの格好も同じで、羞恥よりも怒りが早かったのかもしれない。



かくして、王太子は、“男性進入禁止エリア”に入った罪で、女性だけが参加する断罪にかけられることになった。



もちろん、有罪。



罰は、王城内の一番奥の塔へ幽閉となった。



「男爵令嬢に案内されていたんだ。俺は悪くない」



そんなことを言っていたが、男爵令嬢はその日、初めてエリア内に入った。

監視装置にも何も写っていない。



もっとも、それはたいした問題ではない。



問題なのは、その場に居続けた、王女の姿を見てしまった。

その点に問題があった…



が、



周囲が真っ暗になってしまった。



周囲を取り囲むようにいた女性たちも見えなくなり、一人暗闇の中に取り残されたような感じになった。



“巻き戻します”



そんな声が聞え、王太子の意識は闇に囚われるかのように、途切れた。
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