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15 脳筋者→将軍の息子編① 断罪の日。

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公爵令嬢は、悪役令嬢だった。

これを聞いたとき、そうだったんだと思ったものだ。


母にそっくりな属性を持っていたと見えず、男爵令嬢にはそれがあった。

ぜひ、俺の母になってほしいと思った。


が、よく言われるのが、


「おい、マザコン」

「ミルクはここにはないですよ」


というありがたい言葉だ。


ただし、王太子は


「からかわれただけだ。気にするなよ」


と言ってくれる。


しかし、私は気にしている。

なんて素敵な言葉なんだろうと。


王太子と他の者に、その事を言うと全員が右上の方に視線が言ってしまうのは何故だ。

分からん。


断罪の時、処刑の時、そして今。

処刑のあとの動乱は、想像を超えていた。


だが、父と約束した、母を守るというのは完遂できそうだ。

大好きな母だが、俺の属性とぴったりと言うのは、何度も聞いた。


「おい、いたぞ。こっちだ」


少し気を緩めたら、見つかってしまった。


「回り込め、一斉にヤリでそこを突くんだ」


気がつけば、全方位からヤリが突き出され、それに身体を刺された俺は死んでしまったようだ。

同じく、身体を刺された母の胸の中で…。


ああ、死んでいくのに幸せだ。


しかし、これはおかしいのではないだろうか。


死んだはずなのに、幼少期…いや生まれた直後になっている。

しかも、ローブを深く被った正体不明な者に横向きに抱きかかえられている。

いわゆる、お姫さま抱っこということだ。


でも、周囲の人はこの得体の知れない者に気がつかないらしい。

愛する母も同様で、宙に浮いているのを見て、


「まぁ、生まれつき風の属性を持っているのね」


と、別な方向?の理解が生まれてしまったらしい。


そうして、俺はほぼ四六時中、浮いている状況になった。

実際は、得体の知れない者に抱きかかえられているのだが。
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