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第36話 襲撃
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「召喚って、こんなところに?」
「状況的に、非衛生区画に召喚したのだろうけれど、そこを掘ってしまったから、その分だけ落ちたのだろうな」
2人して、何かが起きていると感じさせる事態となったので、迷宮作りをいったん中止して、ご機嫌だった大地の精霊に対して、迷宮内の魔力変動がないか、確認してもらった。
すると…
「いやはや、これは凄いね」
大地の精霊が変動値を伝えてきた内容は、第3層で少し前に連続して転移門があったことを示す内容となっていた。
重力変動を起こす、大量の太陽を設置していたため、その下の層で起きていたことが分からなかった。
「ここは、出口だな。入口は、青い海の街の郊外らしい」
「どういうことなのかしら」
「単純に考えれば、襲撃だろうな」
「それって、“私たちへの”よね」
「会議の腹いせというか、警告かもしれない」
「それはそれは、反撃されることを分からないのかしら」
「分かっていないと思うな。何しろ、こっちの戦力が分かっていない者が増えたからな」
「私が自由にしてもいいなら、色々試したいことがあるけれど」
「また、研究所か?」
「精霊湖を利用した実験的なものだけど?」
「…まぁ、お手並み拝見と言うことで」
「ありがと」
***
場所を迷宮から、外の精霊湖へ移動して、準備。
今回使用するのは、精霊湖と繋がる地下水脈及び大気の操作。
要は、水系の精霊魔法。
「どこまでやるつもりだ?」
「とことんするつもり。まぁ、カラカラに乾かしてあげるつもり」
準備が出来たようだ。
「乾け!」
彼女の意思に沿って、周囲の精霊が動き始める。
精霊湖から流れ出る地下水のうち、青い海の街へ向かう地下水脈が涸れる。
地下水脈から供給されている海の海岸線が後退する。
大気から水分が失われ、乾燥した空気が街を襲う。
街の中にあった水がいつの間にかになくなる。
水ではない、果汁や牛乳、ワインなどは、失われずに残る。
地下水脈ではない、陸上を流れる水路にも水が流れなくなる。
一瞬にして、その街では、“水”を飲むことができなくなる。
彼女と俺は、精霊魔術師としては異常で、長い呪文や魔方陣を使わなくても、ある程度の魔法を使うことができる。
彼女の教えを受けるだけで、精霊魔法の加護という名の祝福を掛けることが可能。
過去にも、同じく祝福をあげたものが結構いる。
対する俺は、そういうことは苦手。
できない訳ではないが、全部彼女におまかせ。
でも、精霊達の懐き具合は、異常なのが分からないところだ。
「状況的に、非衛生区画に召喚したのだろうけれど、そこを掘ってしまったから、その分だけ落ちたのだろうな」
2人して、何かが起きていると感じさせる事態となったので、迷宮作りをいったん中止して、ご機嫌だった大地の精霊に対して、迷宮内の魔力変動がないか、確認してもらった。
すると…
「いやはや、これは凄いね」
大地の精霊が変動値を伝えてきた内容は、第3層で少し前に連続して転移門があったことを示す内容となっていた。
重力変動を起こす、大量の太陽を設置していたため、その下の層で起きていたことが分からなかった。
「ここは、出口だな。入口は、青い海の街の郊外らしい」
「どういうことなのかしら」
「単純に考えれば、襲撃だろうな」
「それって、“私たちへの”よね」
「会議の腹いせというか、警告かもしれない」
「それはそれは、反撃されることを分からないのかしら」
「分かっていないと思うな。何しろ、こっちの戦力が分かっていない者が増えたからな」
「私が自由にしてもいいなら、色々試したいことがあるけれど」
「また、研究所か?」
「精霊湖を利用した実験的なものだけど?」
「…まぁ、お手並み拝見と言うことで」
「ありがと」
***
場所を迷宮から、外の精霊湖へ移動して、準備。
今回使用するのは、精霊湖と繋がる地下水脈及び大気の操作。
要は、水系の精霊魔法。
「どこまでやるつもりだ?」
「とことんするつもり。まぁ、カラカラに乾かしてあげるつもり」
準備が出来たようだ。
「乾け!」
彼女の意思に沿って、周囲の精霊が動き始める。
精霊湖から流れ出る地下水のうち、青い海の街へ向かう地下水脈が涸れる。
地下水脈から供給されている海の海岸線が後退する。
大気から水分が失われ、乾燥した空気が街を襲う。
街の中にあった水がいつの間にかになくなる。
水ではない、果汁や牛乳、ワインなどは、失われずに残る。
地下水脈ではない、陸上を流れる水路にも水が流れなくなる。
一瞬にして、その街では、“水”を飲むことができなくなる。
彼女と俺は、精霊魔術師としては異常で、長い呪文や魔方陣を使わなくても、ある程度の魔法を使うことができる。
彼女の教えを受けるだけで、精霊魔法の加護という名の祝福を掛けることが可能。
過去にも、同じく祝福をあげたものが結構いる。
対する俺は、そういうことは苦手。
できない訳ではないが、全部彼女におまかせ。
でも、精霊達の懐き具合は、異常なのが分からないところだ。
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