28 / 36
第28話 代金相殺
しおりを挟む
支払いを拒否したうえに賠償金を求めてきた街は、4つ。同じく支払う意思を持った街が4つ。
賠償金を支払う意思を持った街は、その場に残っていたが、何かを考えている街のギルドもいた。
「さて、ここに残った皆さまは、賠償金を支払う意思があると見ていいですか?」
塩山の街からの移民が多かった湖の街のギルドは、彼に何かを言おうとしていたが、それを遮るように…
「ああ、湖の街さんには塩山からの移民が多く引き受けてもらえましたので、ペナルティーに係る費用は結構です。むしろ、こちらから損害補填をしないといけないくらいですから。ただし、賠償金請求の街には、金貨100枚を支払ったと言ってください。これは、ここに残っている街に共通のことです」
そういうと、残りの3つの街もほっと息をついた。ペナルティーの金額が下がると思ったからだ。
「それでは、他の3街には、さきほどの通り、金貨100枚を頂けますか?」
「そこをなんとか軽減できないか?」
そう言ったのは、緑の街のギルドマスター。
「資金繰りが厳しくてね。ここで減額できないと、塩などの購入費用が捻出できないんだ」
「それは、今から離す内容で、4街に共通でお願いすることがあります」
緑の街のギルドマスターが、何だろうといぶかし気に彼を見た。
「支払ったペナルティー金は、本来の塩の購入や水の使用料に充当され、結果的に自らの街に還っていくことになります。いわば購入代金と相殺ということです」
これには、4街のギルドマスターは、びっくりした表情になった。
「それでは、そちらのペナルティー代金がなくなってしまうが、それでもいいのかい?」
「ええ、構いません。そもそも、このペナルティーは、依頼者が依頼受領後に、依頼完了しなかったことにより決められるものです。そこを賠償金で逆に巻き上げようとしたのですから、規程違反。どうなるか、見ものですね」
その言葉に、気が付いた。
ギルドマスターは、伊達ではない。ギルドが決めた規則は、街だけで決めたものではない。近隣の国々やギルド自体の連携の中で決められたもので、勝手な解釈で変えられるものではないのだ。
それから逸脱するということは、何が起きるのか、その辺が分かっているのは、ここに残った4つの街だけということになる。
そして、ペナルティー代金と塩や水との相殺とするのも、依頼主が指定すれば可能であることを。
そういったことで、賠償金要求の街は、規則違反に加えて、相殺できずに大問題が発生するのであった。
賠償金を支払う意思を持った街は、その場に残っていたが、何かを考えている街のギルドもいた。
「さて、ここに残った皆さまは、賠償金を支払う意思があると見ていいですか?」
塩山の街からの移民が多かった湖の街のギルドは、彼に何かを言おうとしていたが、それを遮るように…
「ああ、湖の街さんには塩山からの移民が多く引き受けてもらえましたので、ペナルティーに係る費用は結構です。むしろ、こちらから損害補填をしないといけないくらいですから。ただし、賠償金請求の街には、金貨100枚を支払ったと言ってください。これは、ここに残っている街に共通のことです」
そういうと、残りの3つの街もほっと息をついた。ペナルティーの金額が下がると思ったからだ。
「それでは、他の3街には、さきほどの通り、金貨100枚を頂けますか?」
「そこをなんとか軽減できないか?」
そう言ったのは、緑の街のギルドマスター。
「資金繰りが厳しくてね。ここで減額できないと、塩などの購入費用が捻出できないんだ」
「それは、今から離す内容で、4街に共通でお願いすることがあります」
緑の街のギルドマスターが、何だろうといぶかし気に彼を見た。
「支払ったペナルティー金は、本来の塩の購入や水の使用料に充当され、結果的に自らの街に還っていくことになります。いわば購入代金と相殺ということです」
これには、4街のギルドマスターは、びっくりした表情になった。
「それでは、そちらのペナルティー代金がなくなってしまうが、それでもいいのかい?」
「ええ、構いません。そもそも、このペナルティーは、依頼者が依頼受領後に、依頼完了しなかったことにより決められるものです。そこを賠償金で逆に巻き上げようとしたのですから、規程違反。どうなるか、見ものですね」
その言葉に、気が付いた。
ギルドマスターは、伊達ではない。ギルドが決めた規則は、街だけで決めたものではない。近隣の国々やギルド自体の連携の中で決められたもので、勝手な解釈で変えられるものではないのだ。
それから逸脱するということは、何が起きるのか、その辺が分かっているのは、ここに残った4つの街だけということになる。
そして、ペナルティー代金と塩や水との相殺とするのも、依頼主が指定すれば可能であることを。
そういったことで、賠償金要求の街は、規則違反に加えて、相殺できずに大問題が発生するのであった。
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
王が気づいたのはあれから十年後
基本二度寝
恋愛
王太子は妃の肩を抱き、反対の手には息子の手を握る。
妃はまだ小さい娘を抱えて、夫に寄り添っていた。
仲睦まじいその王族家族の姿は、国民にも評判がよかった。
側室を取ることもなく、子に恵まれた王家。
王太子は妃を優しく見つめ、妃も王太子を愛しく見つめ返す。
王太子は今日、父から王の座を譲り受けた。
新たな国王の誕生だった。
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
婚約者に消えろと言われたので湖に飛び込んだら、気づけば三年が経っていました。
束原ミヤコ
恋愛
公爵令嬢シャロンは、王太子オリバーの婚約者に選ばれてから、厳しい王妃教育に耐えていた。
だが、十六歳になり貴族学園に入学すると、オリバーはすでに子爵令嬢エミリアと浮気をしていた。
そしてある冬のこと。オリバーに「私の為に消えろ」というような意味のことを告げられる。
全てを諦めたシャロンは、精霊の湖と呼ばれている学園の裏庭にある湖に飛び込んだ。
気づくと、見知らぬ場所に寝かされていた。
そこにはかつて、病弱で体の小さかった辺境伯家の息子アダムがいた。
すっかり立派になったアダムは「あれから三年、君は目覚めなかった」と言った――。
淫らなお姫様とイケメン騎士達のエロスな夜伽物語
瀬能なつ
恋愛
17才になった皇女サーシャは、国のしきたりに従い、6人の騎士たちを従えて、遥か彼方の霊峰へと旅立ちます。
長い道中、姫を警護する騎士たちの体力を回復する方法は、ズバリ、キスとH!
途中、魔物に襲われたり、姫の寵愛を競い合う騎士たちの様々な恋の駆け引きもあったりと、お姫様の旅はなかなか困難なのです?!
懐妊を告げずに家を出ます。最愛のあなた、どうかお幸せに。
梅雨の人
恋愛
最愛の夫、ブラッド。
あなたと共に、人生が終わるその時まで互いに慈しみ、愛情に溢れる時を過ごしていけると信じていた。
その時までは。
どうか、幸せになってね。
愛しい人。
さようなら。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる