ワンコイン

夜空のかけら

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第28話 代金相殺

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 支払いを拒否したうえに賠償金を求めてきた街は、4つ。同じく支払う意思を持った街が4つ。
 賠償金を支払う意思を持った街は、その場に残っていたが、何かを考えている街のギルドもいた。

 「さて、ここに残った皆さまは、賠償金を支払う意思があると見ていいですか?」

 塩山の街からの移民が多かった湖の街のギルドは、彼に何かを言おうとしていたが、それを遮るように…

「ああ、湖の街さんには塩山からの移民が多く引き受けてもらえましたので、ペナルティーに係る費用は結構です。むしろ、こちらから損害補填をしないといけないくらいですから。ただし、賠償金請求の街には、金貨100枚を支払ったと言ってください。これは、ここに残っている街に共通のことです」

そういうと、残りの3つの街もほっと息をついた。ペナルティーの金額が下がると思ったからだ。

 「それでは、他の3街には、さきほどの通り、金貨100枚を頂けますか?」
 「そこをなんとか軽減できないか?」

 そう言ったのは、緑の街のギルドマスター。

 「資金繰りが厳しくてね。ここで減額できないと、塩などの購入費用が捻出できないんだ」
 「それは、今から離す内容で、4街に共通でお願いすることがあります」
 
 緑の街のギルドマスターが、何だろうといぶかし気に彼を見た。

 「支払ったペナルティー金は、本来の塩の購入や水の使用料に充当され、結果的に自らの街に還っていくことになります。いわば購入代金と相殺ということです」

 これには、4街のギルドマスターは、びっくりした表情になった。

 「それでは、そちらのペナルティー代金がなくなってしまうが、それでもいいのかい?」
 「ええ、構いません。そもそも、このペナルティーは、依頼者が依頼受領後に、依頼完了しなかったことにより決められるものです。そこを賠償金で逆に巻き上げようとしたのですから、規程違反。どうなるか、見ものですね」

 その言葉に、気が付いた。
 ギルドマスターは、伊達ではない。ギルドが決めた規則は、街だけで決めたものではない。近隣の国々やギルド自体の連携の中で決められたもので、勝手な解釈で変えられるものではないのだ。
 それから逸脱するということは、何が起きるのか、その辺が分かっているのは、ここに残った4つの街だけということになる。
 そして、ペナルティー代金と塩や水との相殺とするのも、依頼主が指定すれば可能であることを。
 そういったことで、賠償金要求の街は、規則違反に加えて、相殺できずに大問題が発生するのであった。
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