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第7話 依頼主ご希望 ロマンチックで幻想的なデート
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今日もまた寒い。この季節は、誰にとっても厳しい季節だ。これで強風だったり雪が降ったりしたら、先が見えない程の吹雪となって、貧しい家では暖房費で家計は火の車になるに違いない。
そして、俺に来る指名依頼は、またまた意味不明なもの。
「ロマンチックで幻想的なデートにしたい。」
大方、この間の彼だろう。”確実に起こして”という依頼の。
ランクE+の指名依頼料は、銀貨1枚。
この価格、どうやって決まったのかというと、ギルド長の子どものお小遣いの金額の2倍というところだった。つまり、お小遣いは銅貨50枚だったということ。
ランクE+というのは、その当時はまだなくて、ギルドに依頼する際の最低値だった。
しかし、案の定、依頼は多く来るが、誰も受けない。
サービス依頼は、制限があるし、数も多くないので取り合いになるが、そちらの方は、年齢関係なしに払えれば依頼が来るためだ。
そこで、俺に依頼が来た。
新設されるランクE+の最初の保持者になってくれないかと。
俺は、ちょうど別件で依頼されていた討伐から帰ってきた所で、強大な敵の討伐任務に疲れ切っていたので、条件付きでその依頼を受けることにした。
条件というのは…
「聞いているんですか?」
「ああ、ちょっとぼんやりしてた。すまない。」
依頼主を前に、何を考えていたのだろうか。ちょっと、最近、緩んでいるな。
「最初から説明すると、今日もデートなんです。でも、今日はちょっと風が強いので、寒さも倍増。風、止めてもらえませんか?」
「それはちょっと無理だな。そもそも、それは依頼外の話だろう。」
「それはそうなんですが、僕が考えたロマンチックで幻想的な演出だと強風は邪魔だったので。」
「なんだ、もう考えてあったのか。」
「当然です。いいですか、まず雪を降らせます。光を当てれば、幻想的でしょう。」
「…。」
「ほら、言葉もないくらい完璧じゃないですか。」
うーん、ありきたりな上に、臆面もなくそんな事を言われれば、大人の俺は何にも言えないよ。ここは、少しアレンジを加えて依頼主の希望の上を行くものを作ってやろうじゃないか。
「ん~、分かった。それでは、そのような感じで、作るが、希望時刻はあるかい?」
「キレイに見える時間であれば、いつでもいいです。」
「難しいな。では、夕方はどうだ?18時頃では?」
「おまかせします。」
「任せとけ。」
依頼者と別れ、強風以上の豪風で、上空の雲を吹き飛ばし、星空にしておけば準備は終了。
そして、俺に来る指名依頼は、またまた意味不明なもの。
「ロマンチックで幻想的なデートにしたい。」
大方、この間の彼だろう。”確実に起こして”という依頼の。
ランクE+の指名依頼料は、銀貨1枚。
この価格、どうやって決まったのかというと、ギルド長の子どものお小遣いの金額の2倍というところだった。つまり、お小遣いは銅貨50枚だったということ。
ランクE+というのは、その当時はまだなくて、ギルドに依頼する際の最低値だった。
しかし、案の定、依頼は多く来るが、誰も受けない。
サービス依頼は、制限があるし、数も多くないので取り合いになるが、そちらの方は、年齢関係なしに払えれば依頼が来るためだ。
そこで、俺に依頼が来た。
新設されるランクE+の最初の保持者になってくれないかと。
俺は、ちょうど別件で依頼されていた討伐から帰ってきた所で、強大な敵の討伐任務に疲れ切っていたので、条件付きでその依頼を受けることにした。
条件というのは…
「聞いているんですか?」
「ああ、ちょっとぼんやりしてた。すまない。」
依頼主を前に、何を考えていたのだろうか。ちょっと、最近、緩んでいるな。
「最初から説明すると、今日もデートなんです。でも、今日はちょっと風が強いので、寒さも倍増。風、止めてもらえませんか?」
「それはちょっと無理だな。そもそも、それは依頼外の話だろう。」
「それはそうなんですが、僕が考えたロマンチックで幻想的な演出だと強風は邪魔だったので。」
「なんだ、もう考えてあったのか。」
「当然です。いいですか、まず雪を降らせます。光を当てれば、幻想的でしょう。」
「…。」
「ほら、言葉もないくらい完璧じゃないですか。」
うーん、ありきたりな上に、臆面もなくそんな事を言われれば、大人の俺は何にも言えないよ。ここは、少しアレンジを加えて依頼主の希望の上を行くものを作ってやろうじゃないか。
「ん~、分かった。それでは、そのような感じで、作るが、希望時刻はあるかい?」
「キレイに見える時間であれば、いつでもいいです。」
「難しいな。では、夕方はどうだ?18時頃では?」
「おまかせします。」
「任せとけ。」
依頼者と別れ、強風以上の豪風で、上空の雲を吹き飛ばし、星空にしておけば準備は終了。
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