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第4話 サービス依頼
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ギルドへの依頼の中には、子どものお手伝いとしか見えないものもある。
例えば、お届け物や伝言、お買い物、草むしりなどである。
これらの依頼であっても、依頼である以上、成功と失敗がある。
俺がいつも通り、ギルド職員寮から職員専用通路を通って、ギルド内に入ると、初心者専用コーナーで騒いでいる者がいる。
「聞いてないぞ、なんであれで失敗なんだよ!」
「そうよそうよ、言われたとおり買ってきたじゃない!」
「なぁ、頼むよ。依頼者に、それは成功なんだと言って、サインの書き直しをお願いしてくれよ。」
「こんな子どものお手伝い程度の依頼に失敗で、懲戒なんて、納得がいかないわ。」
依頼受領窓口で怒鳴っているのは、まだEランクに成り立ての男女2人組だった。漏れ聞くに、簡単な依頼を達成できなかったのだろう。
「サインの書き直しはできません。依頼は失敗。いいですね。」
対応しているギルド職員は、そう断言するが、2人は引き下がらない。さらに声を上げて、半ば脅迫するかのような声を挙げている。
「なんで認めないんだよ。あいつから、金でももらって嫌がらせでもしてるんだろ!」
「絶対そうだわ。じゃなければ、こんな変な依頼なんて出さないはずでしょ。謝りなさいよ!」
言いがかりを付けられた職員ではなく、少し奥にいた別の職員が出てきて2人で応対し始めた。と同時に、ギルド内に完全武装の戦闘職員が、2人が気がつかないまま初心者用コーナーを取り囲む。
関係のない人は、戦闘職員が来たのに気がついて、慌ててコーナーから距離を取った。
「ギルド職員に不正行為を行っている者がいると言うことですか?」
別の職員…あれは、窓口担当のチーフだ。
窓口トップが出てきて対応とは、対処を誤るととんでもないことになるが、あの2人は気がついていないようだ。
そもそも、依頼票だけで依頼が開始される場合と、実際に依頼者に会い、そこで依頼内容の確認などを行うと失敗する可能性は減る。
依頼票だけに全ての情報が載っている訳じゃないのだ。
俺に気がついた職員が、”これです”と言って、依頼票を持ってきた。
『裁縫用のはさみを買ってきて欲しいわ。』
「これだけか?」
「これだけです。」
「依頼主は、誰?」
「雑貨屋の奥さんです。」
「…自分の店の商品から選ばせたのか。」
例えば、お届け物や伝言、お買い物、草むしりなどである。
これらの依頼であっても、依頼である以上、成功と失敗がある。
俺がいつも通り、ギルド職員寮から職員専用通路を通って、ギルド内に入ると、初心者専用コーナーで騒いでいる者がいる。
「聞いてないぞ、なんであれで失敗なんだよ!」
「そうよそうよ、言われたとおり買ってきたじゃない!」
「なぁ、頼むよ。依頼者に、それは成功なんだと言って、サインの書き直しをお願いしてくれよ。」
「こんな子どものお手伝い程度の依頼に失敗で、懲戒なんて、納得がいかないわ。」
依頼受領窓口で怒鳴っているのは、まだEランクに成り立ての男女2人組だった。漏れ聞くに、簡単な依頼を達成できなかったのだろう。
「サインの書き直しはできません。依頼は失敗。いいですね。」
対応しているギルド職員は、そう断言するが、2人は引き下がらない。さらに声を上げて、半ば脅迫するかのような声を挙げている。
「なんで認めないんだよ。あいつから、金でももらって嫌がらせでもしてるんだろ!」
「絶対そうだわ。じゃなければ、こんな変な依頼なんて出さないはずでしょ。謝りなさいよ!」
言いがかりを付けられた職員ではなく、少し奥にいた別の職員が出てきて2人で応対し始めた。と同時に、ギルド内に完全武装の戦闘職員が、2人が気がつかないまま初心者用コーナーを取り囲む。
関係のない人は、戦闘職員が来たのに気がついて、慌ててコーナーから距離を取った。
「ギルド職員に不正行為を行っている者がいると言うことですか?」
別の職員…あれは、窓口担当のチーフだ。
窓口トップが出てきて対応とは、対処を誤るととんでもないことになるが、あの2人は気がついていないようだ。
そもそも、依頼票だけで依頼が開始される場合と、実際に依頼者に会い、そこで依頼内容の確認などを行うと失敗する可能性は減る。
依頼票だけに全ての情報が載っている訳じゃないのだ。
俺に気がついた職員が、”これです”と言って、依頼票を持ってきた。
『裁縫用のはさみを買ってきて欲しいわ。』
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「…自分の店の商品から選ばせたのか。」
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