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57 神格中枢

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「占い関係のイベントって、親父は役人だろ。何やっているんだ」
「役人だが、企業局の人間だ。しかも、現業って言ってな、民間企業のようなものなんだ」
「占いが?」
「うちの町の主要産業だぞ。神社仏閣があちこちにあって、天使は元より神さま自体が降りてくるなんて他には無いぞ。そんな者が多くいる場所から、今後のことを占える企業が生まれるのは当然だし、様々な助成をするのは当然だろう」
「主要産業が神社仏閣なんて、京都や奈良だけかと思っていたよ」
「有名だからな。うちは諸般の事情もあって表に出せないし、ちょっと特殊な町だから部外者も中々来れない。それでも来たいという者は多いし、実際に自力で来る強者もいる」
「それだよ。なぜ中々来れない場所なのか。知らなかったぞ、俺は」
「この町自体が、神格中枢という場所にあるからだ」
「神格中枢?」
「簡単に言えば、神格を持つ者に取って無視できない場所。ここから天界に行くことができる唯一の場所ということで、ここに住んでいる人の全員がなんらかの形で天界との繋がりがある者ということだ。コア・ブレインとの交信権がある者の集団と言えば早いか」
「コア・ブレインを知っているのか」
「各家の当主は、各々の身分の他に神社での身分もある。私の場合は、朝日家の当主と同時に神官でもある。役人でもあるが。ああ、兼業の許可は得ているよ」
「兼業とか、そういうのは分からない」
「役人は兼業禁止なんだ。申請して許可が出ていれば別だが」
「へぇ~、そうなんだ」
「まぁ、町自体の特殊性、すなわち神格中枢で霊体を招いてイベント。聞くからに怪しいとは思うが、そういうイベントが明日…いや、あと数時間後に開催だ。今日は徹夜だから頼むぞ」
「夜中にやるのかよ」
「当然、みんな寝ているところを意識、霊体を集めるのだからな。集まるのは20人だが、内容はすごいぞ。国の重鎮だけじゃなく、企業も大手どころばかりだ。1人だけ例外がおるが」
「例外?」
「みどりさんだ。今回は、ゲストではなくお客側でみてみなさいと呼んだ。実際にはともえ様が絡んでいるが」

みどりの様子がおかしかったのは、このことが原因か?
お使いとか問題とか、最近のみどりを取り巻く環境も変わっているだろうからな。
そういう俺も変わりすぎているか。

「飲もう」
「あ?」
「親父と酒を飲んでいないとやってられない」
「そうかそうか」

何故か、親父は嬉しそうだった。
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