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56 無口でOK!
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しばらくして親父が地下から上がってきた。
手に1冊の本を持って。
その本の名前が『天国と地獄』…そのままだった。
「おう、帰ってきてたな。ご苦労ご苦労。イベントのスペシャルゲストさんに贈呈だ」
そう言って、さっきの本を渡されたが、見る気にならないな。
何しろ、滞在している場所が天国という感じではなく巨大樹木の幹の中だから、あれをどういう風に説明したらいいのだろうか。
いや、むしろ説明してはいけないのではないかな。
「イベントはいつなんだ?」
「明日だが?」
「明日???」
おいおい、それじゃあコア・ブレインにも聞けない。
「お呼びですか?」
「コア・ブレインか?」
「そうです。下位世界でもアクセスは可能ですので」
「天国についての話を明日しないといけなくなった。どこまで話していいものなのか。そもそも、天国にいる訳でも無いし、天使と言われても個人的には審査官という仕事に就いているサラリーマンな感覚なんだけど」
「上位世界、天界などの情報について守秘義務はありませんので自由に言ってもらってかまいません。異界審査についても同様で、特に公開しても問題はありません」
「そう。しかし、何を話せばいいのだか」
「去年は、イベント終了まで一言も話さなかったと聞いています。来賓で座っていただけだとか」
「なんだそれは」
そんなことを脳内会話していたら、なんだか腕を引っ張られているようなと思ってそっちを見たら美春がいた。
「お兄ちゃん」
「はっ!」
「やっと気がついた。なんだかぼーっとしていたよ」
「ああごめんな、ちょっと他の人と話をしてたんだ」
「夕飯、何にするって?」
「何があるのか分からない状態で、夕飯メニューの指示は出せない」
「何でもできるらしいよ。よほど変なものでない限り」
「それなら、お寿司と日本酒、ケーキもあるといいなぁ」
完全に食欲が暴走していた。
頭痛には、甘いものでしょう。
え?違う?
「分かった、お母さんに言ってくるね」
行っちまった。
しかし、要望は通るのだろうか。
「まぁ、なんとかなるだろう。明日のイベントは、スペシャルゲストで紹介するが、何か話したいことがなければそのまま座っていて良いぞ。質問も回答非回答どっちでもいい。神秘性は求めていないからな」
「占い関係のイベントで、スペシャルゲストが天使。でも無口でいいのか」
「抽選で当たった者たちは、全員睡眠中にある場所に集められて、イベント参加という形だから普通のイベントとは違う。いわばリモート開催って感じだな」
「違うと思う」
「そうか?」
手に1冊の本を持って。
その本の名前が『天国と地獄』…そのままだった。
「おう、帰ってきてたな。ご苦労ご苦労。イベントのスペシャルゲストさんに贈呈だ」
そう言って、さっきの本を渡されたが、見る気にならないな。
何しろ、滞在している場所が天国という感じではなく巨大樹木の幹の中だから、あれをどういう風に説明したらいいのだろうか。
いや、むしろ説明してはいけないのではないかな。
「イベントはいつなんだ?」
「明日だが?」
「明日???」
おいおい、それじゃあコア・ブレインにも聞けない。
「お呼びですか?」
「コア・ブレインか?」
「そうです。下位世界でもアクセスは可能ですので」
「天国についての話を明日しないといけなくなった。どこまで話していいものなのか。そもそも、天国にいる訳でも無いし、天使と言われても個人的には審査官という仕事に就いているサラリーマンな感覚なんだけど」
「上位世界、天界などの情報について守秘義務はありませんので自由に言ってもらってかまいません。異界審査についても同様で、特に公開しても問題はありません」
「そう。しかし、何を話せばいいのだか」
「去年は、イベント終了まで一言も話さなかったと聞いています。来賓で座っていただけだとか」
「なんだそれは」
そんなことを脳内会話していたら、なんだか腕を引っ張られているようなと思ってそっちを見たら美春がいた。
「お兄ちゃん」
「はっ!」
「やっと気がついた。なんだかぼーっとしていたよ」
「ああごめんな、ちょっと他の人と話をしてたんだ」
「夕飯、何にするって?」
「何があるのか分からない状態で、夕飯メニューの指示は出せない」
「何でもできるらしいよ。よほど変なものでない限り」
「それなら、お寿司と日本酒、ケーキもあるといいなぁ」
完全に食欲が暴走していた。
頭痛には、甘いものでしょう。
え?違う?
「分かった、お母さんに言ってくるね」
行っちまった。
しかし、要望は通るのだろうか。
「まぁ、なんとかなるだろう。明日のイベントは、スペシャルゲストで紹介するが、何か話したいことがなければそのまま座っていて良いぞ。質問も回答非回答どっちでもいい。神秘性は求めていないからな」
「占い関係のイベントで、スペシャルゲストが天使。でも無口でいいのか」
「抽選で当たった者たちは、全員睡眠中にある場所に集められて、イベント参加という形だから普通のイベントとは違う。いわばリモート開催って感じだな」
「違うと思う」
「そうか?」
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