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51 審査は非公開

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「必要な情報を結構切りましたからね。内容が凄惨なものでしたので、それらが全部必要な情報かと言われると必ずしもそうとは限りませんし、何よりも審査2人目で変なトラウマを抱えてしまっても困りますので」

昨日の審査から明けて、朝のご飯中にふと

「思ったよりも軽かった気がする」

との答えがさっきの話だ。
確かに最初のうちにトラウマを植え付けられても困るが、そういう背景があるとは思いませんでした。

「詳細を出すと必ず問題が起きるのです。本来、審査は非公開ですので」
「非公開だよな?」

審査では俺の他は審査される者しかいない。
ともえさんが最初だけ一緒にいたが、他に誰かいたか?
審査内容を録画しているのかもしれないが、外に向って放送している訳でもないのに、非公開ではないというのはおかしくないか?

「それはともあれ、審査と魔法世界に行くのが俺の仕事ってことでいいのだよな」
「当分はそうなります。魔法世界の事は、あの印刷所がある世界になりますので、そんなに問題が出てくるとは思えませんが。ああ、そういえば再構築を行う可能性がありますね。適当な魔法世界と地続きにするとか」
「え?」
「今の世界は、2つで1つというより2つで0.8くらいに減ってしまったのです。ですから、不足分を持ってくる可能性があります。それまでに少しでも魔法世界に慣れて下さい」
「魔法側だけでいいのか?科学側は?」
「現在精査中ですが、科学側が思ったよりも脆弱だったようです。魔法と科学、両方はその上の文明を目指していたはずですが、魔法側の方が上だったようで、科学側が魔法側を圧倒した場面をほとんど見ていません。もちろん、文明遺伝子は回収しましたのでそちらからの情報はこれからですが、ともえ様のことですから、均等に育成していなかったのでしょうね」
「育成って…」

猫を育てていますじゃないのだから、育成というのは違うのではないの。

「本日はどうされますか」
「地上へ降りる。帰省というか、美春の様子も見ておきたいし町もどうなっているか」
「あれは特殊な場所なので、全く変化無い町ですよ」
「知ってるの」
「ええまぁ」

今日は、審査の次の日でお休みの日だ。
地上は…何曜日だ?

「土曜日です。学校はお休みですね」

町は小学校と中学校しかない。
よって、町の子供は中学生までだが、大人はどれくらい戻ってきているのだろう。
考えたことがなかったな。

「町が主体の企業に所属している方もいますので、それを含めれば4分の3くらい戻っていますね」

コア・ブレインは、俺の考え事の疑問に答えてしまうのは何故なんだろうな。
サトリか?
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