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38 夜がけ朝駆け亭

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「部屋に無断で入った、イコール、盗人でいいのか?」
「施錠していたカギを勝手に開けて入った。それだけで十分。私たちもここを出る用意をしましょう」

そういうと寝袋を折りたたみ、バックパックに入れ始めた。
部屋の中には何も置いていない。
持ち物も同じ。
明日、いや今日は印刷所に行く予定だったな。
朝飯はどうするのだろうか。

「朝ご飯は、早朝から開いている食堂で取るわよ。印刷所は、休みなしで動いているからいつ行ってもいいと思うけれど」

部屋の料金は支払い済みだから、部屋のカギを渡すだけで終了。
時刻は、午前4時45分。
2人して部屋を出て階下へ、店主の男にカギを渡して宿を出た。
瓶は持ってきているので、3人は拘束されたままである。

MQコードから朝やっている食堂で、印刷所に近い場所へと移動した。
『夜がけ朝駆け亭』
移動した先の食堂は宿屋併設の店だった。
名前の通りなのか、既に食堂は開いていて結構な人がいるようだ。
店に入るとすぐに給仕をしている女性が近づいてきて、

「いらっしゃい、どこでも好きな場所に座って。2人ね、すぐに食事を持ってくるわ」

どうやら食事内容は固定で人数だけを確認するとすぐに持ってくるらしい。
2人で開いている席に座ると、すぐにプレートに載った食事が運ばれてくる。

「お代は、銀貨2枚よ。2人だから4枚で、食べ終わったらそのまま出て行っても良いわ」
「はい、4枚」
「毎度ありがとう」

プレートに乗っているのは、トースト2枚とバター1切れ、ベーコンエッグとサラダが少し。ミニトマトみたいなものとハムみたいな薄いもの。それにコーヒーみたいな飲み物がコップに入れられていた。
コップを少し傾けて、少し飲んでみる。

「アイスコーヒーだ」

氷が入っている訳では無いのだが、よく冷えている。
さすがに甘くないが、この世界でこれが飲めるとは思わなかった。
トーストはバターが要らないほどおいしかった。
どこで売っているのだろう、ヒマになった時に聞いてみたい。
でもどんどんお客が入ってくる。
ここでのんびりしている訳にはいかないなと思って、時刻はまだ5時20分だけど印刷所の方へ行ってみることにした。

印刷所は、早朝という時間帯にも関わらず煌々と電気が点いていて中で印刷機が動いているような音がしていた。
少し大きい、バタンバタンという音もする。
何をしているのだろうか?

「入る?」

グリーンに聞く。
時間的に早朝過ぎると思うが、他にやることもない。
どうするべきか。
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