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26 超短期睡眠学習

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そこからは早かった。
お婆ちゃんがいるまま4人の周囲にふわっという感じでエレベーターの壁が現れた。
壁が現れて周囲が囲われると同時にまたふわっという感じでエレベーターが動く。
動いたエレベーターには、お婆ちゃんを除く3人が残り、徐々に速度を上げていくのが分かる。
そして唐突に止まる。
衝撃も反動もなく目的地に着きましたという感じの停止だ。

「みどりちゃんは、こっちよ。一郎さんは、このまま乗って自分の階で降りてね」

そういうとみどりを連れてエレベーターを降りていった。
速やかに扉が閉まり、自室がある階に止まる。
そこで降りて、後ろを振り向くと既にエレベーターの痕跡はなく、壁が出現していた。

「やれやれ」

なんとなく大変なことになったなと思いながら、自室へ戻る。
しかし、地上ではお婆ちゃんしか会えなかった。
もっと他の人たちとも会えて、突然死に、でもこうして会えたことを喜ぼうと思っていたのに肩透かしだ。
ふと、腕に巻いたままの緑のブレスレットを見る。
これがあると地上へ行ける、帰ってこれるのだよな。
そもそも、審査官になったら地上とここは行動無制限って聞いてる。
いつでも地上に行けるのかな。

「はい。行くことは出来ますが、地上行き講習を受ける必要があります」

疑問点にはコア・ブレイン。
勝手に心を読んでしまったようだ。
すぐに疑問解消できるのはありがたいのだが、びっくりするよ。

「コア・ブレイン。地上行き講習をすぐに受けることは可能か?」
「超短期の睡眠学習で可能です」
「ではすぐ受けたい」
「受けてもともえ様の許可が必要で、今はみどりさんの所にいるので許可が出るかは微妙だと思われますが、講習は受けますか」
「許可は、審査官になった時に行動無制限って聞いたけれど」
「建前です」
「む。でも一応講習は受けておいて損はないと思うから受ける」
「分かりました」

いつもと同じ、リクライニングシートに横になり目を閉じる。
いつもとは違い、心がぐにゃりとなった感じがしたかと思うと、あっと言う間に眠りに引きずり込まれた。
あとから聞いた話では、超短期の場合は強制睡眠で10分から1時間程度で習得するのだと言う。
ちなみに、瞬間とか1分とかの瞬間記憶の場合は、時間が経つに連れ忘れていくのだそうだ。
ただし、忘れる前に睡眠学習をすると、今度は絶対忘れないようになるのだとか。
なるほど。
面白いな。
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