上 下
53 / 112

53 特別配合のお湯

しおりを挟む
「食事も同じということかな」
「同じです」

ふと生姜焼きを食べたくなった。

「生姜焼き定食を準備しますか?」
「遠慮しておく。まずは、お風呂に入りたい」
「この部屋の隣に浴室を生成しました。お湯は張ってあり、湯温の調節はされておりますのでいつでも入れます」

生成したと言われた壁に扉が出現し、中に入ると脱衣所、浴室となっていた。
もぞもぞと衣服を脱ぎ、浴室へ。
…洗うものがないな。
タオルでもいいのだが…。

「洗浄します」

次の瞬間、身体の下から頭のてっぺんまで巨大なドラム型洗濯機に入ったかのような嵐を瞬間体験する。

「綺麗になりました。浴槽へどうぞ」

さっきので、身体はもちろん髪の毛も洗われたらしい。
自分でゴシゴシ洗いたかったのだが、まぁいいか。

足を完全に伸ばせる、伸びをしてもまだまだ余裕がある浴槽に入る。
少し浅いかなと思ったが、そのまま横になるとちょうど顔を除いた部分全てがお湯に埋没するかのようになった。
お湯?

「このお湯は、新陳代謝を促進し身体の疲労を取り除くなどの効果があります。今回は、特別配合をしました」
「…」

何を入れたのか気になったが、聞かなくてもいいやという感じで何も言わなかった。

「ああ~、キモチイイ」

ちょっと変な声出た。
しおりを挟む

処理中です...