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21 「融合異世界への扉」

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「待ち合わせは、ここで」

案内された場所は、ちょっとしたカフェだった。フルセルフで、自分で選んで自分で作って自分で会計までするたぐいのもの。
最近は、こういった人件費最小(補充やメンテ、掃除だけ)のお店も多い。

「久しぶりだからどうなっているのだろう」

一郎さんに会うのは、故郷の町を出て以来になる。
義務教育までは町で、高校以上の進学の場合は町を出る必要があるからで、夏休みなどの長期休みの時に帰省する。

「来たわね」
「あれ?さっきまで隣にいたはずなのに、ともえさん?」
「あれは、分身よ。ぶ・ん・し・ん。忍者みたいでしょ」
「…はぁ。飛鳥?大きくなったなぁ」
「朝日さんもお久しぶりです」

一郎さんと呼べなかった。
なんだか照れくさくなっちゃったから。
朝日さんとの年齢差は、4歳だったと思う。

「今日は、飛鳥さんのサポートを受けつつ、融合異世界の巡視をしてもらうわ。行く先は、魔法文明側だからゲーム感覚で大丈夫よ」
「なんだか悪いな。飛鳥。よろしくな」
「こちらこそ」

3人で連れ立ってカフェを後にすると、階を上がって「融合異世界への扉」と書かれた部屋に入る。

「なんだか説明調な部屋ですね」
「まぁ、急遽作ったからね。ここから監視と融合異世界に行けるスタート場所にしたの。この方がいろいろやりやすくてね」
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