ざまぁ!!

夜空のかけら

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第4話 市長と

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「行くか」
「その言葉に、全員が立ち上がる。私、お父さん、お母さん。警備の高橋さん(菅原さんの部下)」
「迎えに来たぞ」
「…」

全員、正装だった。

「はぁ、こんな日に普段着なのは」
「これが、おれらの戦闘服だ」
「はいはい。分かったよ行くぞ」
「分かれば良い」

がやがやしながら“歩くこと”数分。役所へ到着。
真っ先に、戸籍課へ。

婚姻届けを2人で持って、係員さんに手渡す。

「ちょっとお待ちください」

そう係員さんが言うと、奥の方へ入ってしまった。

「何か間違いがあったのかな」
「たぶん違うな。市長を呼んでいると思うぞ」

「失礼しました。皆さま、市長室の方へ」

「ほらな」

市長室へ通され、

「いよいよですか。待っていましたよ葵ちゃんとの結婚」
「あのな、お前が結婚するわけじゃないだろうよ」
「あの小さな葵ちゃんが、こんなに育って…」
「聞いてやしねぇ」
「いつまで待たせるつもりかな?」

お父さまが顔を引きつらせて、市長を睨む。

「はっ、失礼した。誠さんと葵ちゃんの婚姻。間違いなく受理しました。2人ともおめでとう」

その瞬間、市長室内に拍手が鳴り響いた。
…ちょっと、市長室外からも拍手の音が聞えるのだけど。

開かれた市長室をうたうためか、ドアや窓は全開だ。
歓声や拍手が鳴り響いて、ちょっと感動から涙が出てしまった。

…あれ?
その時に何か肝心なことを忘れているか感じがした。

感動の婚姻届提出=結婚から、市長室を出たのだけれど、拍手はまだ続いていた。
いい意味で、有名だったので。

「新居はどうする?」
「結婚してもすぐに用意するのは難しいか」
「あの家、買収できないか」
「それはちょっと」
「毅出せば、お前の家に入れるだろ」
「いきなりか」
「何でもいきなりだ」
「それも手だな」

お父さん達が不穏な話をしている。

「葵ちゃん。結婚してくれてありがとう。しばらくは、今まで通りの自宅通学になると思うけれど、よろしくね」
「はい。誠兄さま」

そして、気がついてしまった。
私、結婚することはもちろん、交際も決めていない。
まわりに流されてしまったことに。

「誠兄さま…」
「分かってる。毅のこともある。君が自覚してくれたら、そう言って。君と離婚してもいいから」
「…」

あそこまでの祝福をもらって離婚なんてないと思ったけれど、選択肢をもらって息が付いたのも事実。
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