約束の続き

第7章 理の使命

66 基幹構造 ～理side

ことちゃんのお話

必要な設定終了。ともえのところへと思っていたら、集合意識体から緊急通報。行くことはもちろん、接近するのも危険。帰れなくなるとのこと。シナリオ監視室に行くのも危険というのは、異常事態。遠隔操作で、軌道エレベーター最上部より、下方向を見る。トモエ天国自体は何も変化なし。ただ、ともえの反応が消えている。屋敷にもいない。情報操作で移動状態を割り出して判明。シナリオ世界に取り込まれていた。よりによって、構成が基幹構造とそっくり、というか丸ごとコピー。上書きしたらしい。
誰がやったか見当が付くけれど、基幹構造自体が、元々管理者と監視者の研修や各種の実験場所、不確実性の研究などに使われている所。中に入ることはできても、容易に外に出られない場所。元々、閉じた世界。基幹構造の全体像は特に隠されていないけれど、その中で何をしているのかまでは、開示していない。全体の構造自体も、そんなに難しいものではないので、複製して任意の場所に設置するのも自由だ。
しかし、そんな情報量がもったいないことを誰がするか。構造体自体が途方もなく大きい上に、複雑な作りなので、本当の最下層から最上層まで、間違えずに到達できるのは、地神界のトップ３だけって言われている。今回は、複製先が電子情報体の中。元々の容量の大きさから、複製、転写は可能だった。でも、普通はしない。シナリオの動作を遅延させるから。いまもかなり重いのではないだろうか………
これは、使える。今の記憶領域の容量を増加させる代わりに、処理スピードはそのまま。事実上、デスゲーム…いいにくいな。ん～、琴瀬っていう世界名でいいか、琴瀬の時間が遅延することになる。1日が1日じゃなくて、2日とか3日とか。ともえは、いないようなので、天神さまにお願い。
シナリオ実行サーバーに振り分けられている容量を現在の2倍以上に増やすと同時に、”書庫”の複製も作ってもらって、内部処理を重くする。”書庫の複製”から、シナリオ内に導入が可能な情報を残して削除。導入可能な情報が流れるように細工。
結果、琴瀬では、周囲に比べて時間の進行を抑えることができた。時間差は、約10倍。
ただし、今のところ。琴瀬にともえの影響により、これから召喚される人数は、現在約100人。これに、ちょっと頭が痛いが追加分が1,000人を超えそうな勢い。
ちょっと不安だ。
時間差の最終目的倍数は、こっちで1日（旧地球時間）、あっちで100日（旧地球時間）。100倍の時間差率。あとは、コア・ブレインにお任せ。
私は、私の仕事をしよう。疲れたし。

ということで、屋敷で静養の続きをすることにしました。