【完結】婚約破棄をされたが、私は聖女で悪役令嬢ではない。

夜空のかけら

文字の大きさ
上 下
4 / 4

4

しおりを挟む
「それで、1票のあなたがその他の全部の私の婚約者だと言うの」

「当たり前だ」

「そんなわけ無いでしょ。いつの時代よ。そんな婚約者なんていう時代錯誤なものは」

一応言っておくと、ここは中世ヨーロッパに魔法を掛け合わせた世界では無い。

歴とした現代世界に神秘という名の魔法が使える世界。

神秘を使えるのは、一部の女性に限られているが、ほんの少しの神秘で何ができる。

せいぜい、鉛筆を転がすとか捜し物の発見しやすいとか、役に立っているのかどうなのか微妙な内容。

私もできますよ。

ただし、気配遮断というもの。

これまた意味が分からない。

距離が近ければ効果なし。

普通、逆じゃない?

それはともかく、

「何を言っているかわからなんな」
「私もあなたが何を言っているか理解不能です」

「お前は悪役令嬢で婚約者。俺はその悪役令嬢からメイプルを救う正義者。悪役令嬢は断罪されて処刑されるべきだ」

「処刑~?」

「絞首刑がいいか?斬首刑がいいか?火あぶりなんていうのもあるな」

繰り返すけれど、ここは現代世界で中世ヨーロッパのように処刑なんてない。

「ばっかみたい」

体育館がざわざわして来ました。

いよいよ強制排除のお時間です。

「なんだと~メイプルを虐めたのは確かだ。婚約破棄だ!」

「それで、メイプルさんは”どこの”メイプルさんなの。私もメイプルなんだけれど」

「あ?」

周囲を見渡す「自称王子」。

「いない。さっきまで後ろにいたのに」

…それって、私のこと?間抜けにも程がある。

「愛しいメイプル。悪役令嬢と破棄したぞ。出ておいで、もう君を害するものはいない」

しかし、体育館の在校生は誰も名乗りを上げない。

そりゃそうだ。

得票数1票の1票は自分で入れたと思われるもの。
メイプルさんも実在しているかどうか。

聖書に酔っている「自称王子」だから。

「さて、「自称王子」生徒総会の私的使用につき拘束する」

先生も「自称王子」とか使っているし。

「離せ~拘束されるのはあっちだ~離せ~………」

先生達に連行されて体育館を出て行く。

わめき声も遠くなっていく。

「さて、「自称王子」による混乱もありましたが、生徒総会を開催します」

全く、悪役令嬢=婚約者なわけないでしょ。

私は聖女。

神秘の力を持つ生徒会長なのよ。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

婚約破棄は良いのですが、貴方が自慢げに見せているそれは国家機密ですわよ?

はぐれメタボ
ファンタジー
突然始まった婚約破棄。 その当事者である私は呆れて物も言えなかった。 それだけならまだしも、数日後に誰の耳目げ有るかも分からない場所で元婚約者が取り出したのは国家機密。 あーあ、それは不味いですよ殿下。

転生者だからって無条件に幸せになれると思うな。巻き込まれるこっちは迷惑なんだ、他所でやれ!!

ファンタジー
「ソフィア・グラビーナ!」 卒業パーティの最中、突如響き渡る声に周りは騒めいた。 よくある断罪劇が始まる……筈が。 ※小説家になろう、カクヨム、pixivにも同じものを投稿しております。

聖女なのに王太子から婚約破棄の上、国外追放って言われたけど、どうしましょう?

もふっとしたクリームパン
ファンタジー
王城内で開かれたパーティーで王太子は宣言した。その内容に聖女は思わず声が出た、「え、どうしましょう」と。*世界観はふわっとしてます。*何番煎じ、よくある設定のざまぁ話です。*書きたいとこだけ書いた話で、あっさり終わります。*本編とオマケで完結。*カクヨム様でも公開。

才女の婚約者であるバカ王子、調子に乗って婚約破棄を言い渡す。才女は然るべき処置を取りました。

サイコちゃん
ファンタジー
王位継承権を持つ第二王子フェニックには才女アローラという婚約者がいた。フェニックは顔も頭も悪いのに、優秀なアローラと同格のつもりだった。しかも従者に唆され、嘘の手柄まで取る。アローラはその手柄を褒め称えるが、フェニックは彼女を罵った。そして気分が良くなってるうちに婚約破棄まで言い渡してしまう。すると一週間後、フェニックは王位継承権を失った――

婚約破棄された悪役令嬢ですが、闇魔法を手に聖女に復讐します

ごぶーまる
ファンタジー
突然身に覚えのない罪で、皇太子との婚約を破棄されてしまったアリシア。皇太子は、アリシアに嫌がらせをされたという、聖女マリアとの婚約を代わりに発表。 マリアが裏で手を引いたに違いないと判断したアリシアは、持ち前の闇魔法を使い、マリアへの報復を決意するが……? 読み切り短編です

聖女なんて御免です

章槻雅希
ファンタジー
「聖女様」 「聖女ではありません! 回復術師ですわ!!」 辺境の地ではそんな会話が繰り返されている。治癒・回復術師のアルセリナは聖女と呼ばれるたびに否定し訂正する。そう、何度も何十度も何百度も何千度も。 聖女断罪ものを読んでて思いついた小ネタ。 軽度のざまぁというか、自業自得の没落があります。 『小説家になろう』様・『Pixiv』様に重複投稿。

婚約破棄されたので歴代最高の悪役令嬢になりました

Ryo-k
ファンタジー
『悪役令嬢』 それすなわち、最高の貴族令嬢の資格。 最高の貴族令嬢の資格であるがゆえに、取得難易度もはるかに高く、10年に1人取得できるかどうか。 そして王子から婚約破棄を宣言された公爵令嬢は、最高の『悪役令嬢』となりました。 さらに明らかになる王子の馬鹿っぷりとその末路――

私は婚約破棄を回避するため王家直属「マルサ」を作って王国財政を握ることにしました

中七七三
ファンタジー
王立貴族学校卒業の年の夏―― 私は自分が転生者であることに気づいた、というか思い出した。 王子と婚約している公爵令嬢であり、ご他聞に漏れず「悪役令嬢」というやつだった このまま行くと卒業パーティで婚約破棄され破滅する。 私はそれを回避するため、王国の財政を握ることにした。

処理中です...