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第5章 奥さまたちの冒険

48 鈴木 毬&鈴木 真理

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双子、双子。
私たちは、双子です。
家系的に、双子とか4人とか5人が多いの。
自然な時は、2人が多かったのだけど、外で調整をすると、思ったよりも多産になるらしいの。
双子の影響か、好きも嫌いも同じ。
私たちのどちらかが体験した事は、もう片方も体験した形になるのが、他の双子たちとは、違う点かもしれないね。意思疎通も、声を出して話さないから、一時期は、姉妹なのに無口とか、仲が悪いとか言われていたし。

今回のシナリオでは、メインに”今の伴侶ともう一度”、固定サブシナリオは、舞踏会で”ダンスを楽しもう”が決定済み~。でも、ダンスは得意なんだ。教えてくれたのは、近所のおばちゃんで、レッスン費用は、いらないと言われたけれど、両親がそれは甘えられないと言ったのに、お金をもらうことを固辞したので、結局はおやつなどの差し入れ程度になった。

似たような経緯がいくつも合ったから、不思議に思っていたのだけれど、私たちを”愛でる会”がいつの間に出来ていて、会員さんが自主的に自らの得意分野の教育に熱心になっていたの。
護身術、柔道、合気道、剣道(のちに、真剣道)、縦走術やサバイバル。
ミリタリー好きのお姉さんと、海外に行って、その道のプロとかいう人に狙撃を教わったり。
今となっては、どこを目指していたんだろうと思えるほど、充実した日が送れてた。

身体を動かす反面で、
机上の学力の底上げで、大変お世話になった方がいた。
真向いに住んでいた、老夫婦さん。恩返しで、ウェディングドレスを見せてくれればいいといつも言って笑っていた。
でも、明日は結婚式という最高の恩返しができると思っていたのに、その日に交通事故で2人ともあっけなく逝ってしまったのは、かなり悲しかったよ。しかも、高速道路上の無謀運転者の激突によるものという、完全にもらい災害だったのは、犯人に強い殺意を2人で抱いたほどだった。
でも、その数日後、理解不能なことが発生。

悲しみも一時抑えて、次の日の結婚式と披露宴を微妙な気持ちで終わらせて、さらに次の日のおじいちゃん夫婦のお通夜、翌日が葬式だった。
3日に渡って、相反する行事の参加者が全く同じという、稀有な事態。

そんなときに出会ったのが、今のお父さんの2人。あっちも双子。
”愛でる会”、会員の遠縁。しかも、会員皆さんが宣伝していたらしい。
いつの間に…
私たちとお父さん2人はそんな運命的な出会いだねぇ~というのをよく口にする。
いつからかは、忘れてしまったけれど、両親が昔の2人のように夫婦間の会話が全くないと言われた時に気が付いた。自らの夫だけではなくて、相互のお父さん。つまり、4人の意思疎通が自然と自分の口やスマホなどの機械的なものを介さずにできていたことを。
で、私たち双子だけではなく、お父さん双子もスポーツ。しかも、かなりマニアック?斜め上方向?の知識経験も私たちの記憶、経験と少し混ざったようで、本気になると4人行動は、人外レベルになってしまった。
”おかしな世界”になる前だったけど、なった後は、症状がひどくなった。
魔法系統が追加された影響だと思うよ。

今回、いい機会だったので、双子家族の6人(私たち×2、お父さん×2、子供×2)で、遊びに行くことになった。
双子家族の子供2人は、同時出産。もちろん、母体は違うけど、遺伝子上では同じ。出産時の医師、看護師、親族・近所の方たちも、双子認定しているほど。
子供が生まれてから、あまり時間が経たずに、その子とも意思疎通ができるようになったので、6人は静かに話している。他の人は、聞いていないから大丈夫かと思ったら、私たちの中で、笑い話をしていた時とかに、ことちゃんが、タイミングよく笑いだしたりしていたので、もしかすると…と確認したら、ことちゃんには丸聞こえだったらしい。会話を聞いていて、思わず吹きだしたらしい。
ことちゃんは、黙っていると言っていた。あとで、ことちゃんのお父さん、夜見君と2人の子供にも聞こえている、話せることを聞いて、かなり恥ずかしかったけれど。
子供関係とか、うちの家族関係の相談には、すごく頼りになりました。今も頼りにしていますね。

そして、トモエ天国にやってまいりました。
前述のとおり、私たち家族では、隠し事が全くできません。だから、最初のメインシナリオが新シナリオに変更する部分は、口に出していないだけで、情報共有していました。
選択シナリオは選択せずに、空欄。
仮想体生成装置によって、島内の大門から一歩踏み出した瞬間に、家族全員集合。
シナリオ?仮想体生成?関係なし。
どこにいても、家族全員の位置や状況が把握できる。危機的状況なら、家族の何人かが睡眠状態で意識を落とし、危機的状況に陥っている家族への支援に回る。一時的に数人分のあらゆる能力が集まる。
これなら、真空中や海中などでも、かなりの時間の生存は可能。
ましてや、ことちゃん家族とも連絡可能なんだから、心配するだけムダというものよ。

ということで、新シナリオとか固定シナリオとかは、完全クリアでいいよね。
私たちの特性というか得意分野を考えなかったのは、仕方がないけれど、まぁ、こればっかりは。

それにしても、ことちゃんとの連絡が切れているような。何かあったのかな。不安。
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