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第125話 真名さま

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「真名さまが、お使いになるなら喜んで、はりきって作ります。どれくらい必要ですか?1トン、10トン、まさか1万トン」
「ちょっと、秋穂どうしちゃったの」
「私の親の敵、じゃなかった恩人なの。この真名さまが」
「…この子じゃないでしょ」
「真名さまは、1人よ。この波長は、覚えているのよ」
「あ~、ともえ様がそんなことを言っていたような、いないような」

「はい」

「あら、君は…誠くんね」
「はい」

どうやって把握しているんだ

「何かしら」
「僕も金細工をやってみたいです。真名と一緒に」
「…。やだ、何をしていたのかしら。恥ずかしいわね。金細工なら1万トンもいらないわね。1kgくらいでも多いか」
「金貨1枚くらいで良いんじゃない」
「確かにそうだけれど、金貨の重さは、硬貨より大きくしないと、ある面で問題が…そうだ」

秋穂は、先生の方を向いて

「魔法学校に設置してある魔高炉を使わせていただけませんか」
「構わないぞ。ただ、何年も使っていないから準備が面倒なだけだが」
「大丈夫です。友だちの精霊にも手伝ってもらいますから」
「精霊か!」

「なぁ、トーコ。精霊って、あの精霊か?」
「どの精霊を言っているのか分からないのだけれど」
「小さくて羽を持って、飛んでいる。あれだよ」
「幻滅しないでね」
「?」

幻滅とは何だろうか。

「では、さっそく魔高炉を使う準備をしましょう」

先生に案内されて学校から渡り廊下を経て至った場所にある巨大な炉と3本の煙突がある場所へ。

ここは、魔法学校側に厚さ3m、高さ10mの壁がある代わりに海岸側は開けている。

「この構造はね。爆発しても学校に被害が及ばないようになっているの。まぁ、私が使うならちょっと薄いし高さも低いけれど」
「爆発させるつもりなの、その言い方は」
「そんなつもりはないわよ。真名さまがいる場所で」

そういうと、秋穂さんは、炉の前で手の平を炉の方へ向けて

「来たれ、我が友よ、我らの望みを叶えるために」

その言葉に応じるがごとく、炉の中に赤い何かが渦巻き始めた。
そして、急激に気温が上昇していく。

「ちょっと、冷ましてからやってよね。冷盾」

トーコの言葉と共に炉からの熱が消え、トーコの前に障壁が張られているのが分かる。
そして、その障壁からは絶えず、水滴が滑り落ちている。

「あ~、ごめーん。最初は、高熱で炉を温めないとだめなのよ。真名さまは、大丈夫よね」
「当然」
「はいはい、安定させたら、抑えて挨拶するから」

障壁から滑り落ちる水滴の量が格段に減った。

「そろそろいいかな」
「準備できた。いいわよ」

その言葉と共に、障壁が取り除かれ、目の前には、秋穂さんと共に、杖を持った小さな男の子が。

「初めまして。僕が、友人の秋穂と共に炉に炎を入れたの。今のこの姿は抑えちゃっている身体だけど」
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