遊ぶつもりでログインしたら、融合異世界という現実だった。

第47話 軌道エレベーター＝世界樹

　トーコは、突然言った。

“光熱風”と。

　次の瞬間、まるで太陽のごときで光でトンネル全体を満たし、触れると熱いと思う風を作った。

　その熱風は、光甲虫が居たと思われる天井で盛大に燃え上がっていた。

　光甲虫は、そこでクモのように巣を広げていたらしい。

「"デリート"」

　瞬時に消える光と熱風。

　巣が燃えているのは消えない。

「今のうちに、ここを通過してしまいましょう」

　天井付近から落ちてきた焼け焦げて死んでいるように見える光甲虫は、なんとなくクモに似ていた。

「クモ？」
「融合したのは世界だけじゃない。そこにあった動植物や人、物。島々や大陸、海や川、湖や池なども。そして星々そのものも」

　光甲虫の襲来もなく、トンネルの出口から外にでる。

　そこはほぼ円形の都市が目の前にあった。

　トンネルから見るとその円形の都市の全体が見渡せる。
　しかも、その中心部に大きい筒状の建造物が。

「軌道エレベーター？」
「ああ、あれはちょっと違うのよ。層間エレベーターと言うの。あれで、上下の層を連絡しているの。ただし、今は色々あって、神々の住まいであり仕事場であり、入国審査場所もやってるの」
「入国審査？」
「ここは、間力的に下層になっているの。ここから、さらに上位世界に行こうとする者達にとっては、新天地へ向かう世界樹とかユグドラシルとか軌道エレベーターとか言われているわね。みんなここから脱出したいのかも。呼び名は違うけれど、同じ意味ね」

そして、湯気のような、もやのようなものがゆっくり流れている。

「湯気？」
「あれは、融合異世界から間力を下位世界に流す際の余剰分が湯気というかああなっているの」
「魔力？」