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1 前世の記憶が蘇ってしまった
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いつも日課にしている素振り1000回をやろうとして裏庭にやってきた。
昨日は、学園でマスミと一緒に長くいられた。
今日も逢いに行くつもりだ。
その時、小石を踏んだ。
小石で重心が狂い、倒れそうになったので慌ててもう片足で体重を支えようとしたが、なぜか支えきれずそのまま頭から地面に倒れてしまった。
「いっつううう」
くらくらする頭の中を猛スピードで記憶が流れていく。
これが走馬灯なのかと思ったが、記憶に覚えがない。
記憶の流れが止まった時、その記憶は前世の記憶だと理解してしまった。
前世の記憶は、マスミと婚約し、公爵令嬢サージュとの婚約破棄をすると王族から追放される…というものだった。
まずい、マスミとの愛は本物だが王族から追放されてしまうのは大問題だ。
なんとかせねば。
今からでも遅くないはず、サージュとの関係を改善しなくては。
しばらくは、マスミとの接触は止めておいた方がいいかもしれない。
苦渋の決断だが、マスミは分かってくれるはずだ。
気もそぞろになってしまったから素振りは止めて部屋に戻り、身支度を調えて登校することにした。
明日からは、サージュを公爵邸に迎えに行くことにしなければ。
ああ、なんてことだ。
アネシス公爵には、その旨を伝えておくことにしよう。
今までやってこなかったツケが今どっと来た。
不安だ。
***
学園に登校して最初にやっていたことは、マスミに逢いに行くことだった。
王族の俺と平民のマスミでは教室が違うので、マスミのいる教室に毎日行っていた。
しかし、あんな記憶を見せられては行ける訳がない。
むしろサージュに会いに行かなければ大変なことになる。
手遅れになる前に、いやもう手遅れかもしれないが少しでも挽回するために婚約破棄されないようになんとかなんとかしないと。
サージュはまだ来ていないか…。
教室には誰もいない。
側近候補の4人は、婚約破棄後のことは知らないからマスミに会いに行ってしまったのだろう。
ああ、まずいまずいぞ、あいつらもなんとかマスミから距離を置いて、本来の婚約者たちとの関係を改善させないとそっちから破滅が来たらどうするのだ。
全てを話して、いやいやそれで頭がおかしくなったと思われたり、俺が抜けた後釜になったりしたら。
どんなに考えても最悪な状況にしか思えない。
昨日は、学園でマスミと一緒に長くいられた。
今日も逢いに行くつもりだ。
その時、小石を踏んだ。
小石で重心が狂い、倒れそうになったので慌ててもう片足で体重を支えようとしたが、なぜか支えきれずそのまま頭から地面に倒れてしまった。
「いっつううう」
くらくらする頭の中を猛スピードで記憶が流れていく。
これが走馬灯なのかと思ったが、記憶に覚えがない。
記憶の流れが止まった時、その記憶は前世の記憶だと理解してしまった。
前世の記憶は、マスミと婚約し、公爵令嬢サージュとの婚約破棄をすると王族から追放される…というものだった。
まずい、マスミとの愛は本物だが王族から追放されてしまうのは大問題だ。
なんとかせねば。
今からでも遅くないはず、サージュとの関係を改善しなくては。
しばらくは、マスミとの接触は止めておいた方がいいかもしれない。
苦渋の決断だが、マスミは分かってくれるはずだ。
気もそぞろになってしまったから素振りは止めて部屋に戻り、身支度を調えて登校することにした。
明日からは、サージュを公爵邸に迎えに行くことにしなければ。
ああ、なんてことだ。
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不安だ。
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ああ、まずいまずいぞ、あいつらもなんとかマスミから距離を置いて、本来の婚約者たちとの関係を改善させないとそっちから破滅が来たらどうするのだ。
全てを話して、いやいやそれで頭がおかしくなったと思われたり、俺が抜けた後釜になったりしたら。
どんなに考えても最悪な状況にしか思えない。
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