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政略結婚…も、儲かる
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「止められません。これだけは」
物陰から見つめる男が1人
卒業パーティと言えば、婚約破棄の定番…
実際のところ、卒業者でなくても、一定額の寄付をすればパーティには出られる。
それを利用して、断罪劇を繰り広げようと、虎視眈々と狙っているものが、ごろごろ。
1つのパーティで、3人1組限定だから、それは死活問題とも言える。
まぁ、中には3人以上1組という剛の者もいたが。
「さぁ今、正にその状況が発生しました」
3人1組。
定型の形だ。
ただし、寄付したので出ている者。
15歳くらいの3人。
「早希さんが私のことをいじめました。私の振る舞いが気に食わないと言って」
「なんてことを言うのだ。久美のことをいじめるとはもっての他だ」
「教科書を破られたり、休み時間にペンダントを壊されたり、階段から突き落とされたり。隆太さんと話をしていただけなのに」
「早希とは、婚約を破棄させてもらう。異存はないな」
周囲にいる者たちのほとんどは、不思議そうな顔をしている。
「婚約破棄。承りました」
「ふん、聞き分けが良いな」
「ええ、学園に出席していないのですね2人とも」
「何か問題があるのか?」
これも、寄付金があれば卒業可能。
「ええ、まず教科書ですが…」
「ん?教科書?」
「本物は、学園長の金庫の中にあり、写本でさえも教師の前でしか見ることができません。どこの教科書なのでしょうか」
「そんなことないわよ。みんな教科書を持っているはずよ」
と言って、周囲を見るが、全員、顔を左右にふる。
「え?」
「次に、ペンダントを壊されたと言うことですが…」
「そうよ、母の形見のペンダントだったのよ」
「学園では、装飾品は持ち込めないことになっております。
「で、でも形見だから、問題ないはずよ」
「授業が始まる前に、自主申告で教師に預けることになっており、もし、授業中に見つかれば、全授業終了後に返却されます」
「偶然、先生に見つからなかったのよ」
そう言って、周囲の賛同を得ようと見たが、全員、顔を左右にふって、あり得ないという表情。
「階段。階段から突き落とされたのよ。これは、本当よ。本当なの。隆太さん。そうでしょ」
「ああ、階段から突き落とされたと聞いたので、足が腫れているのを見たよ。痛々しかった」
「どうよ」
周囲の人は、それはそれは不思議そうに見ている。
「残念ですが、校舎は平屋です。校舎内に階段はありません」
「え?」
「隆太さま。婚約破棄。ありがとうございます。後日、慰謝料の請求をさせて頂きます」
物陰から見ている男が呟く。
「よし、よくやった。ふっかければ、うちは安泰だ。次は誰にするか、バカ正直か浮気性か。何度でも出来るわけじゃないが、これで領地も我らも富む」
その後ろから来た女性が一言。
「あの子も、不憫ねぇ。でも、大丈夫。今度はまともな人を選びましょう」
「ああ、それもいいな。何しろ家には、あと10人くらい子どもがいる。孤児院から引き取って、教育すれば、婚約破棄で儲かるとは、笑いが止らんな」
物陰から見つめる男が1人
卒業パーティと言えば、婚約破棄の定番…
実際のところ、卒業者でなくても、一定額の寄付をすればパーティには出られる。
それを利用して、断罪劇を繰り広げようと、虎視眈々と狙っているものが、ごろごろ。
1つのパーティで、3人1組限定だから、それは死活問題とも言える。
まぁ、中には3人以上1組という剛の者もいたが。
「さぁ今、正にその状況が発生しました」
3人1組。
定型の形だ。
ただし、寄付したので出ている者。
15歳くらいの3人。
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「なんてことを言うのだ。久美のことをいじめるとはもっての他だ」
「教科書を破られたり、休み時間にペンダントを壊されたり、階段から突き落とされたり。隆太さんと話をしていただけなのに」
「早希とは、婚約を破棄させてもらう。異存はないな」
周囲にいる者たちのほとんどは、不思議そうな顔をしている。
「婚約破棄。承りました」
「ふん、聞き分けが良いな」
「ええ、学園に出席していないのですね2人とも」
「何か問題があるのか?」
これも、寄付金があれば卒業可能。
「ええ、まず教科書ですが…」
「ん?教科書?」
「本物は、学園長の金庫の中にあり、写本でさえも教師の前でしか見ることができません。どこの教科書なのでしょうか」
「そんなことないわよ。みんな教科書を持っているはずよ」
と言って、周囲を見るが、全員、顔を左右にふる。
「え?」
「次に、ペンダントを壊されたと言うことですが…」
「そうよ、母の形見のペンダントだったのよ」
「学園では、装飾品は持ち込めないことになっております。
「で、でも形見だから、問題ないはずよ」
「授業が始まる前に、自主申告で教師に預けることになっており、もし、授業中に見つかれば、全授業終了後に返却されます」
「偶然、先生に見つからなかったのよ」
そう言って、周囲の賛同を得ようと見たが、全員、顔を左右にふって、あり得ないという表情。
「階段。階段から突き落とされたのよ。これは、本当よ。本当なの。隆太さん。そうでしょ」
「ああ、階段から突き落とされたと聞いたので、足が腫れているのを見たよ。痛々しかった」
「どうよ」
周囲の人は、それはそれは不思議そうに見ている。
「残念ですが、校舎は平屋です。校舎内に階段はありません」
「え?」
「隆太さま。婚約破棄。ありがとうございます。後日、慰謝料の請求をさせて頂きます」
物陰から見ている男が呟く。
「よし、よくやった。ふっかければ、うちは安泰だ。次は誰にするか、バカ正直か浮気性か。何度でも出来るわけじゃないが、これで領地も我らも富む」
その後ろから来た女性が一言。
「あの子も、不憫ねぇ。でも、大丈夫。今度はまともな人を選びましょう」
「ああ、それもいいな。何しろ家には、あと10人くらい子どもがいる。孤児院から引き取って、教育すれば、婚約破棄で儲かるとは、笑いが止らんな」
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