勇者に追放されたから自由に生きようと思う-「すまない」だって？「もう、遅いんだよ」-

一章【始まり】

閑話 －少年－

　ある所に銀髪の少年がいた。
　その少年は、森の奥にある辺境で暮らしていた。
　
　父と母と弟と共に。
　その辺境には、家族以外はいなかったが、少年は幸せな時間を過ごしていた。
　
　生きるために、人を助けるために、認められるために、少年は強くなろうとしていた。
　
　少年は辺境の地に暮らしていたが、月に一度家族と共に外に出る機会があった。
　しかし、少年を含めた家族の髪は、その時代の魔王アシュタルトの白い髪に似た銀髪で忌み嫌われていた。
　
　そして、ある日。
　少年の母は、辺境から出て行った。
　
　
　そして1年が、経った頃。
　
　その少年は、能力を自覚した。自身の持つスキルに絶対の自信を持ったのだ。そして、少年は誰にも言わず辺境を出た。
　強くなってやる……そうすれ母が戻ってくると、みんなに認められると呟いて。
　
　森を歩き、木に空いた小さな穴を通って進む。僕にはスキルがあるから、と。
　
　
　
　辺境と外の"境界"で少年は、”あるもの”に会った。それは、死そのものだった。
　少年は、動けなかった。本物の恐怖に会うと動けなかった。
　

　
　そして運命の歯車が動き出した。