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一章【始まり】
5.三大魔の1体
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生い茂る木々を走り抜け魔獣の元に向かう。
【透視】【千里眼】を併用することで、震えた声で叫んでいるワースを、見つける。
そして、ワースの目線の先には――12本の首を持ち黒紫の毒のような身体をした大きな蛇のようなドラゴン、ヒュドラがいた。
首の大きさは10mを軽々と超えており、中央にある黒色の首は"不死"と言われている。
「お兄ちゃん!」
アスカが、叫び飛びだす。
「やめろ!」
「でも――!!」
声をかけ静止させる。アスカは「でも――」と、反応したがそれでも状況を察したのか立ち止まってくれた。
大丈夫だ、俺が助ける。
「キシャァァ――!!!!」
鳴き声を発し威嚇するヒュドラ。
「ここまで大きいとは……レッドドラゴンの2倍はあるな」
ヒュドラ、レッドドラゴン、ブルードラゴンの3体は三大魔と呼ばれる魔獣の最強格だ。
油断は出来ない。まずは、ワースとアスカを逃がすか。
「キシャァァァァァァ」
毒の霧を発生させる首、火の息を吐く首、氷の息を撒き散らす首など12の首が俺に標的を定めたようで声を上げながら攻撃を仕掛けてきた。
「面倒くさい相手だな」
レッドドラゴンよりは、一撃の火力は高くない。魔法で、倒す事は厳しそうだが弱体化させていけば。
やはり、2人は危険だ。強制的でもここから離すしかない。
「ワース、アスカ!お前たちは、逃げろ!」
「で、でもこ、この魔獣は――」
ワースは、このヒュドラの力を知っているからか僕たちだけが逃げることなんてできない、と引き下がらない。
全く、自分の命だけでなく仲間の命を考えてしまうとこヴァイに似てるよな。だからだろうか、俺は無意識に言葉を漏らした。
「安心しろ」
有無は聞かない。そして2人に魔法を発動させる。
「遠距離転送!」
遠距離転送は、無属性魔法という特殊な属性魔法の中級に相当する、遠くの場所に瞬時に移動する転移魔法だ。
「ゲイルさん、これは――」
ワースが、疑問を口にする。
「2人をフェンリル町に転移させる。悪いが先に行ってくれ」
「でも、ゲイルさんは――」
「大丈夫だ、俺は強いからな」
そう言って、逃げろと急かす。
「絶対に帰ってきてくださいね」
「ゲイルさん、信じてますから」
ワースと、アスカはそう言って、街に転移した。まだ数時間しか経ってないのに、優しい双子だな……。
「さて、ヒュドラ」
ワースとアスカは去った。心置きなくこれで戦える。
まずは、様子見からだ。カウンターを食らったら、流石に危ないからな。
「シャアァァァ――」
ヒュドラの首の1つが毒の吐息を吐き、他の首もそれに合わせて攻撃を行う。
首1つ1つの攻撃法が違う。お互いに独立している存在だろうか。1つだけ黒い首がある、あれが本体だろう。
「悪いが、物理的な攻撃以外はそのほとんどをスキルで無効化できるんだ」
ヒュドラの首が、多種多様な属性魔法やスキルを使おうがそのほぼ全てを俺の持つ【呪文耐性】【土属性耐性】【水属性耐性】【氷属性耐性】【火属性耐性】【風属性耐性】【聖属性耐性】【闇属性耐性】スキルを発動させれば無効化できる。
敵の攻撃は、大きな脅威にはならない。ならば弱体化から入るか。
「衰弱影、鈍化矢、弱体呪文、逆転幻影」
俺は、4つの弱体化魔法を行使して、ヒュドラの隙を作らせることにした。どれか1つでも、ヒュドラの魔法結界を突破できればありがたいんだがどうだろうか。
「…………」
ヒュドラが、再び攻撃しようとした時何かに勘付いたのか動きを止めた。
俺の攻撃方法は相手を弱体化させ魔法や物理攻撃で、仕留めるものだ。
魔獣は知恵が魔物よりも乏しい。魔法という概念も、知っているかすら怪しい存在だが……魔法を躱すことを選択したようで、俺の弱体化魔法は全て当たらなかった。
レッドドラゴンには効いたから、有効な手立てだと思ったが同じようにはいかないか。
そうなると呑気にヒュドラの消耗を誘うのは悪手かもしれない。
ヒュドラもドラゴンの一種なら――あれが効くはずだ。
「槍龍殺!」
手をかざして、不死とされる黒の首に狙いを定めると上級魔法の槍龍殺を行使した。
大きな龍を形どったドラゴン特効の魔法槍が、出現し高速で黒の首を抉り飛ばす。
「これで、死んでくれると助かるんだが……」
【透視】【千里眼】を併用することで、震えた声で叫んでいるワースを、見つける。
そして、ワースの目線の先には――12本の首を持ち黒紫の毒のような身体をした大きな蛇のようなドラゴン、ヒュドラがいた。
首の大きさは10mを軽々と超えており、中央にある黒色の首は"不死"と言われている。
「お兄ちゃん!」
アスカが、叫び飛びだす。
「やめろ!」
「でも――!!」
声をかけ静止させる。アスカは「でも――」と、反応したがそれでも状況を察したのか立ち止まってくれた。
大丈夫だ、俺が助ける。
「キシャァァ――!!!!」
鳴き声を発し威嚇するヒュドラ。
「ここまで大きいとは……レッドドラゴンの2倍はあるな」
ヒュドラ、レッドドラゴン、ブルードラゴンの3体は三大魔と呼ばれる魔獣の最強格だ。
油断は出来ない。まずは、ワースとアスカを逃がすか。
「キシャァァァァァァ」
毒の霧を発生させる首、火の息を吐く首、氷の息を撒き散らす首など12の首が俺に標的を定めたようで声を上げながら攻撃を仕掛けてきた。
「面倒くさい相手だな」
レッドドラゴンよりは、一撃の火力は高くない。魔法で、倒す事は厳しそうだが弱体化させていけば。
やはり、2人は危険だ。強制的でもここから離すしかない。
「ワース、アスカ!お前たちは、逃げろ!」
「で、でもこ、この魔獣は――」
ワースは、このヒュドラの力を知っているからか僕たちだけが逃げることなんてできない、と引き下がらない。
全く、自分の命だけでなく仲間の命を考えてしまうとこヴァイに似てるよな。だからだろうか、俺は無意識に言葉を漏らした。
「安心しろ」
有無は聞かない。そして2人に魔法を発動させる。
「遠距離転送!」
遠距離転送は、無属性魔法という特殊な属性魔法の中級に相当する、遠くの場所に瞬時に移動する転移魔法だ。
「ゲイルさん、これは――」
ワースが、疑問を口にする。
「2人をフェンリル町に転移させる。悪いが先に行ってくれ」
「でも、ゲイルさんは――」
「大丈夫だ、俺は強いからな」
そう言って、逃げろと急かす。
「絶対に帰ってきてくださいね」
「ゲイルさん、信じてますから」
ワースと、アスカはそう言って、街に転移した。まだ数時間しか経ってないのに、優しい双子だな……。
「さて、ヒュドラ」
ワースとアスカは去った。心置きなくこれで戦える。
まずは、様子見からだ。カウンターを食らったら、流石に危ないからな。
「シャアァァァ――」
ヒュドラの首の1つが毒の吐息を吐き、他の首もそれに合わせて攻撃を行う。
首1つ1つの攻撃法が違う。お互いに独立している存在だろうか。1つだけ黒い首がある、あれが本体だろう。
「悪いが、物理的な攻撃以外はそのほとんどをスキルで無効化できるんだ」
ヒュドラの首が、多種多様な属性魔法やスキルを使おうがそのほぼ全てを俺の持つ【呪文耐性】【土属性耐性】【水属性耐性】【氷属性耐性】【火属性耐性】【風属性耐性】【聖属性耐性】【闇属性耐性】スキルを発動させれば無効化できる。
敵の攻撃は、大きな脅威にはならない。ならば弱体化から入るか。
「衰弱影、鈍化矢、弱体呪文、逆転幻影」
俺は、4つの弱体化魔法を行使して、ヒュドラの隙を作らせることにした。どれか1つでも、ヒュドラの魔法結界を突破できればありがたいんだがどうだろうか。
「…………」
ヒュドラが、再び攻撃しようとした時何かに勘付いたのか動きを止めた。
俺の攻撃方法は相手を弱体化させ魔法や物理攻撃で、仕留めるものだ。
魔獣は知恵が魔物よりも乏しい。魔法という概念も、知っているかすら怪しい存在だが……魔法を躱すことを選択したようで、俺の弱体化魔法は全て当たらなかった。
レッドドラゴンには効いたから、有効な手立てだと思ったが同じようにはいかないか。
そうなると呑気にヒュドラの消耗を誘うのは悪手かもしれない。
ヒュドラもドラゴンの一種なら――あれが効くはずだ。
「槍龍殺!」
手をかざして、不死とされる黒の首に狙いを定めると上級魔法の槍龍殺を行使した。
大きな龍を形どったドラゴン特効の魔法槍が、出現し高速で黒の首を抉り飛ばす。
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