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一章【始まり】

2.ギルドへ

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 「はぁ……」
 
 ギルドを出た俺は、今まで感じたことのない無力感に襲われため息をついた。そして、フラフラの足でいつも世話になっている宿に向かった。
 向かう途中出会った人に「ゲイルさん!あの時は助かりました」などのような事を言われたが、今の俺には返事をする余力もなく苦笑いで押し通した。
 
 ガチャン、宿の扉を開け直ぐ部屋に向かった。
 
 「ゲイルさん、どうしたんだい?」
 
 宿屋の店主が、いつもとは違う俺の雰囲気を感じたのか話しかけて来た。
 
 「まぁ……少しね」
 
 出来るだけ悔しさを隠し笑顔で答えた。

 「そうかい。あんまり悩むんじゃないよ、ゲイルさんにはいい仲間がいるんだから」
 
 「あはは……そう、ですね」
 
 俺は引きつった笑顔を見せながら、すぐにその場を離れ部屋に入った。
 
 「ああ、最悪だ――忘れたい」
 
 そう呟き、まだ昼前だと言うのにベットに入った。
 
 
 *
 
 
 大きなあくびと共に、目が覚めた。
 もう朝か。窓から差し込む日光が綺麗に輝き、昨日の俺を馬鹿にしているのか皮肉のようにも見える。

 「丸一日寝てたか」
 
 お金なら……ふと、手切れ金の入った袋を見る。
 あぁ、そうだよな。俺はもう――あいつらとは一緒じゃないんだ。
 
 でも、俺には冒険者以外考えられない。パーティーとしてではなく、一人の冒険者として……生きていこう。
 もう、後悔なんてするもんか。

 ヴァイ、レイ、アスノ―。俺は一人でも、やっていくよ。
 もう何があっても後悔はしない。
 今までありがとう。
 まだ、辛いし悲しいけど……俺はお前らとは、違う道を歩むことにする。だからお前らも、しっかりやれよ。
 
 
 疲れているのか、まだ心の傷が残っているのか。フラフラな身体のまま部屋を出て、ギルドに向かった。
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