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一章【始まり】
1.追放された
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俺の名前はゲイル・アース。
銀髪に緑色の目を持つ俺は、ここフェンリル町を拠点に冒険者として、魔獣や魔物と戦っている。職業は、全能力魔法師としてギルドに登録していて、スキルの数は100以上、魔法もそのほとんどを行使できる。
そんな俺には大切なパーティーメンバーがいる。
それは、幼馴染でもあり始めてパーティーを組んだヴァイ。そして、2年前、ヴァイ共に冒険者をしていたときに知り合ったアスノーとレイだ。
今まで数々の依頼をこなして来た俺達は、ギルドからの信頼も厚く三大魔と呼ばれている魔獣の一体レッドドラゴンを討伐した事をきっかけに、本格的に「魔王を討伐しよう」という方針が決まった。
今日は魔王討伐に向けての作戦会議ということでギルドの部屋に来るようにとパーティーに呼び出されており、俺は遂にこの時が来たか……と勢いよく扉を開けた。
「おはよう、ちょっと早かったか?」
「よう、ゲイル」
応接室に入ってすぐ反応したのはヴァイだった。
幼馴染の彼は、赤い髪を逆立たせている青少年な風貌で仲間想いの優しい奴だ。彼のスキルは魔王に留めを刺すことが出来る【勇者】を筆頭に、【剣の才】【剣の魂】【剣の神】【覇道剣】【聖剣】の6つだ。そして、スキル【勇者】を持っていることから職業は勇者としてギルドに登録されている。
「早かったですね」
ヴァイに続いて、彼の隣にいたアスノーが言う。
アスノーは、幅広いスキルを持つ万能能力者で、その容姿は黒髪に黒目と珍しい。アスノーのスキルは、【槍の才】【槍の魂】【予測】【魔力感知】【攻撃察知】【身体能力上昇】【盗聴】【気配消】の8つで、状況に応じて的確に行使する彼はパーティーの指揮役になることも多い。18歳とパーティーの中で一番経験が豊富ということもありみんな頼りにしているパーティーリーダーのような存在だ。
「おはよう~」
気怠そうに挨拶をするのは、レイだ。彼女は暗い金色の長い髪と栗のように少し暗い茶色の目をしているパーティーで唯一の女性だ。レイは、魔法使いとして登録しており、魔法の習得や威力が上昇するスキル【魔法の才】【魔法の魂】【魔法の神】に加えて水属性、氷属性、火属性、風属性の強化スキルや【魔法感知】【魔力操作】などの補助スキルを合わせると16のスキルを持っている才女だ。
「それで、今日の話ってなんだ?」
語り掛けながらヴァイの隣へと歩みを進めていると「もう、来なくていいぞ」と耳を疑う発言がヴァイから聞こえた。
「え?」
俺は、あまりに突然の出来事に困惑し反射でそう返した。
「言っただろ。もう来なくていいって言ったんだ」
今まで、衝突したことはあったけどこんな事を言うことは無かったヴァイ。だが、ヴァイは今「来るな」つまりパーティーを追放すると、はっきりと言い切った。
「な、何でだよ?ヴァイ。今まで一緒にやってきじゃ――――」
反論しようとした俺の言葉を遮り、後ろから聞こえた声はレイのものだった。
「反論はなしよ。昨日、皆で決めたの。貴方は魔王討伐には要らないって」
「なにを言っているんだよ、理由はあるのか?今まで、長い間一緒に成長してきた仲間なのにどうして、簡単に捨てられるんだよ……」
「それに関しては私が……」
そう言って説明に入ったのは、真剣な眼差しを見せるアスノーだった。
「魔王には、ゲイルさんが持っているスキルが効かないそうなのです」
「でも魔王以外の魔物には効くはずだろ。それに、高威力の魔法だって俺は使える。強化スキルも皆の役に立つはずだろ?」
今までは、援助に全力を出して魔物に対しての攻撃はあまりする機会がなかった俺だがそれでもアスノーは俺の力を知っているはずだ。その可能性に賭けて、俺はアスノー達に訴えた。
「そうかも知れませんが、魔王との戦いにおいてゲイルさんを守って戦う余裕がないんですよ」
「いや、よく考えてくれ。強化スキルを使った後、俺は逃げに徹することだってできる。その後は別に守ってもらわずに、俺一人でどうにかするから!!だから」
「そういうわけには、いきません」
「何でだよ……お前ならわかるだろアスノー。みんなを見てきた、俺を見てきたお前なら――」
「ゲイル、頼むから言い訳は止めろ」
アスノーとの会話に横から入ってきたヴァイは、俺を突き放した。
「ヴァイ……もう一度考えてくれ、俺の実力を見せてやる。そしたら、皆の考えだって変わ――」
「ダメだゲイル。お前の意見はもう聞かない。もうパーティーメンバーじゃないんだ。幼馴染として、最期にこれを持っていけ"手切れ金"だ。金貨が100枚入ってる。足りないようなら、いつでも言え。だから、もう俺たちのことは”仲間”と呼ぶな」
その時、心のどこかにひびが入った。終わった――。
今までやって来たのに……。
『手切れ金』その言葉で確信した。
もうパーティーじゃないんだと。仲間じゃないんだと。
何か言う気力も無くなり……俺は追放された。その事実を無力にも実感してしまった。
「そうかよ。じゃあこれで、俺たちの関係は終わった。もうお前たちに会いには来ないよ。今までありがとう、それじゃあな」
そう言って、俺は応接室を後にした。
こんな、簡単に今までのことがすべて無駄になるなんてな。
未練を残しながらも、それは欲張りすぎだったのだと思ってしまい俺はギルドを飛び出した。
――もう、後悔はしない。初めから期待なんてしなければよかったんだ。
これからは自由に生きよう。
ポッカリあいた心の穴を埋めるように、俺はそう言い聞かせて街に出た。
銀髪に緑色の目を持つ俺は、ここフェンリル町を拠点に冒険者として、魔獣や魔物と戦っている。職業は、全能力魔法師としてギルドに登録していて、スキルの数は100以上、魔法もそのほとんどを行使できる。
そんな俺には大切なパーティーメンバーがいる。
それは、幼馴染でもあり始めてパーティーを組んだヴァイ。そして、2年前、ヴァイ共に冒険者をしていたときに知り合ったアスノーとレイだ。
今まで数々の依頼をこなして来た俺達は、ギルドからの信頼も厚く三大魔と呼ばれている魔獣の一体レッドドラゴンを討伐した事をきっかけに、本格的に「魔王を討伐しよう」という方針が決まった。
今日は魔王討伐に向けての作戦会議ということでギルドの部屋に来るようにとパーティーに呼び出されており、俺は遂にこの時が来たか……と勢いよく扉を開けた。
「おはよう、ちょっと早かったか?」
「よう、ゲイル」
応接室に入ってすぐ反応したのはヴァイだった。
幼馴染の彼は、赤い髪を逆立たせている青少年な風貌で仲間想いの優しい奴だ。彼のスキルは魔王に留めを刺すことが出来る【勇者】を筆頭に、【剣の才】【剣の魂】【剣の神】【覇道剣】【聖剣】の6つだ。そして、スキル【勇者】を持っていることから職業は勇者としてギルドに登録されている。
「早かったですね」
ヴァイに続いて、彼の隣にいたアスノーが言う。
アスノーは、幅広いスキルを持つ万能能力者で、その容姿は黒髪に黒目と珍しい。アスノーのスキルは、【槍の才】【槍の魂】【予測】【魔力感知】【攻撃察知】【身体能力上昇】【盗聴】【気配消】の8つで、状況に応じて的確に行使する彼はパーティーの指揮役になることも多い。18歳とパーティーの中で一番経験が豊富ということもありみんな頼りにしているパーティーリーダーのような存在だ。
「おはよう~」
気怠そうに挨拶をするのは、レイだ。彼女は暗い金色の長い髪と栗のように少し暗い茶色の目をしているパーティーで唯一の女性だ。レイは、魔法使いとして登録しており、魔法の習得や威力が上昇するスキル【魔法の才】【魔法の魂】【魔法の神】に加えて水属性、氷属性、火属性、風属性の強化スキルや【魔法感知】【魔力操作】などの補助スキルを合わせると16のスキルを持っている才女だ。
「それで、今日の話ってなんだ?」
語り掛けながらヴァイの隣へと歩みを進めていると「もう、来なくていいぞ」と耳を疑う発言がヴァイから聞こえた。
「え?」
俺は、あまりに突然の出来事に困惑し反射でそう返した。
「言っただろ。もう来なくていいって言ったんだ」
今まで、衝突したことはあったけどこんな事を言うことは無かったヴァイ。だが、ヴァイは今「来るな」つまりパーティーを追放すると、はっきりと言い切った。
「な、何でだよ?ヴァイ。今まで一緒にやってきじゃ――――」
反論しようとした俺の言葉を遮り、後ろから聞こえた声はレイのものだった。
「反論はなしよ。昨日、皆で決めたの。貴方は魔王討伐には要らないって」
「なにを言っているんだよ、理由はあるのか?今まで、長い間一緒に成長してきた仲間なのにどうして、簡単に捨てられるんだよ……」
「それに関しては私が……」
そう言って説明に入ったのは、真剣な眼差しを見せるアスノーだった。
「魔王には、ゲイルさんが持っているスキルが効かないそうなのです」
「でも魔王以外の魔物には効くはずだろ。それに、高威力の魔法だって俺は使える。強化スキルも皆の役に立つはずだろ?」
今までは、援助に全力を出して魔物に対しての攻撃はあまりする機会がなかった俺だがそれでもアスノーは俺の力を知っているはずだ。その可能性に賭けて、俺はアスノー達に訴えた。
「そうかも知れませんが、魔王との戦いにおいてゲイルさんを守って戦う余裕がないんですよ」
「いや、よく考えてくれ。強化スキルを使った後、俺は逃げに徹することだってできる。その後は別に守ってもらわずに、俺一人でどうにかするから!!だから」
「そういうわけには、いきません」
「何でだよ……お前ならわかるだろアスノー。みんなを見てきた、俺を見てきたお前なら――」
「ゲイル、頼むから言い訳は止めろ」
アスノーとの会話に横から入ってきたヴァイは、俺を突き放した。
「ヴァイ……もう一度考えてくれ、俺の実力を見せてやる。そしたら、皆の考えだって変わ――」
「ダメだゲイル。お前の意見はもう聞かない。もうパーティーメンバーじゃないんだ。幼馴染として、最期にこれを持っていけ"手切れ金"だ。金貨が100枚入ってる。足りないようなら、いつでも言え。だから、もう俺たちのことは”仲間”と呼ぶな」
その時、心のどこかにひびが入った。終わった――。
今までやって来たのに……。
『手切れ金』その言葉で確信した。
もうパーティーじゃないんだと。仲間じゃないんだと。
何か言う気力も無くなり……俺は追放された。その事実を無力にも実感してしまった。
「そうかよ。じゃあこれで、俺たちの関係は終わった。もうお前たちに会いには来ないよ。今までありがとう、それじゃあな」
そう言って、俺は応接室を後にした。
こんな、簡単に今までのことがすべて無駄になるなんてな。
未練を残しながらも、それは欲張りすぎだったのだと思ってしまい俺はギルドを飛び出した。
――もう、後悔はしない。初めから期待なんてしなければよかったんだ。
これからは自由に生きよう。
ポッカリあいた心の穴を埋めるように、俺はそう言い聞かせて街に出た。
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