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第1章 ~信頼と信用、壁を越えて~
第4話 ~旅の門出、まだ見ぬ世界~
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それからしばらくしてナオは家に戻ってきた。その背中には砲塔が二つある。そこらで使われている砲塔をしばらくこれで代用するようだ。
「……地図、探すか」
そして、家の中で何か地図がないかと探し始める。もしも地図があるなら旅が楽になる。そう考えたからだ。そこでふと思い出した。
「あいつの名前、聞いてないな」
嫌な相手だがこれから共に旅をするのである、名前くらいは聞いておこう、と。そこへ彼女が戻ってきた。刺した後の傷は完治したようだ。
「はぁ……痛かった」
その一言だけで、刺し傷を我慢していたという事が分かった。しかし、彼はそれを無視して1人黙々と探している。それを見た彼女は
「何しているの?」
と、たずねた。しかし、彼は答えなかった。いや、答える気などなかった。
それからしばらくして、この砦の周りを書き記した地図は見つかった。地図には森や川、洞窟の場所や広さ、さらにメモが細かく書かれており、旅をして迷う必要はないぐらい精密な地図である。
「これがあれば大丈夫だろう」
それを持ち、旅の支度をし始める。保存食は無いが、縄や火打石、砲丸を入れるための袋に松明、寝るための毛布、そしてその家主が隠していた数百G、これら全てを大きな背負い袋に入れて背負う。その間彼女は食料を探していた。しかし、食料はもう無く、狩りや採取をして旅をしなければならない状況であった。そしてここで思い出したかのように
「旅をするにあたって聞いておこう。なを名乗れ」
と言った。それを聞いた彼女はハキハキした声で自分の名を言った。
「ソミナ、私の名前はソミナ」
「ソミナ……か。一応覚えておこう」
名前の返事を聞いてもそうかという素振りを見せ、適当に返事した。
「それよりも早く行こうよ、このままじゃ餓死しちゃうし」
「……それもそうだな」
少ない会話をした後、家を出た。そして、この砦を去った。彼の故郷、永遠に帰らない、帰ることの無い街を。
それからしばらく歩いた。ナオは地図を見ながら地形を確認、ソミナは見たことの無い虫や花に目を奪われていた。
「あの森を抜けた先に村がある……か」
地図に書かれたメモを見て、次の目的地を決めていたようだ。
「うわぁ~、虫さんいっぱい、お花もいっぱい。故郷じゃこんなに沢山見られないから感激~」
ソミナは1人で騒いでいるようだが……。彼はそれを無視して先々と行ってしまう。
「あ、待ってよ~」
と、気付いた彼女は慌てて追いかける。しかし、彼には食料の問題もあったため、早く何かを狩らなければという焦りと、魔物である彼女に対する考え方があるために、彼女を無視する行動に走っているのだ。
「1人であっちこっち行くなら俺は貴様を置いていく」
冷たく言い放つ。
「そんなこと言わないで、優しくしてよ」
ソミナが何を言おうと聞く耳を持たない状況、彼女にとっては気まずい雰囲気である。
「どうすればいいのよ……」
彼女はすっかり困り果ててしまった。
(とても、とても暇です……どうにかしたいです……)
その時、2人の腹の虫が同時に鳴る、どうやら昼頃になったようだ。
「……近くの森で何か狩るか……」
ナオが言いだす。
「お手伝いします」
とソミナが言うが
「いらん、俺1人で十分だ」
とあっさりと断った。
「……死んでも知らない!欲しくなってもあげないから!」
と怒り、森の中へと入っていった。
「……いらん節介だ」
そう吐き捨て、森の中へと入って行った。
「……地図、探すか」
そして、家の中で何か地図がないかと探し始める。もしも地図があるなら旅が楽になる。そう考えたからだ。そこでふと思い出した。
「あいつの名前、聞いてないな」
嫌な相手だがこれから共に旅をするのである、名前くらいは聞いておこう、と。そこへ彼女が戻ってきた。刺した後の傷は完治したようだ。
「はぁ……痛かった」
その一言だけで、刺し傷を我慢していたという事が分かった。しかし、彼はそれを無視して1人黙々と探している。それを見た彼女は
「何しているの?」
と、たずねた。しかし、彼は答えなかった。いや、答える気などなかった。
それからしばらくして、この砦の周りを書き記した地図は見つかった。地図には森や川、洞窟の場所や広さ、さらにメモが細かく書かれており、旅をして迷う必要はないぐらい精密な地図である。
「これがあれば大丈夫だろう」
それを持ち、旅の支度をし始める。保存食は無いが、縄や火打石、砲丸を入れるための袋に松明、寝るための毛布、そしてその家主が隠していた数百G、これら全てを大きな背負い袋に入れて背負う。その間彼女は食料を探していた。しかし、食料はもう無く、狩りや採取をして旅をしなければならない状況であった。そしてここで思い出したかのように
「旅をするにあたって聞いておこう。なを名乗れ」
と言った。それを聞いた彼女はハキハキした声で自分の名を言った。
「ソミナ、私の名前はソミナ」
「ソミナ……か。一応覚えておこう」
名前の返事を聞いてもそうかという素振りを見せ、適当に返事した。
「それよりも早く行こうよ、このままじゃ餓死しちゃうし」
「……それもそうだな」
少ない会話をした後、家を出た。そして、この砦を去った。彼の故郷、永遠に帰らない、帰ることの無い街を。
それからしばらく歩いた。ナオは地図を見ながら地形を確認、ソミナは見たことの無い虫や花に目を奪われていた。
「あの森を抜けた先に村がある……か」
地図に書かれたメモを見て、次の目的地を決めていたようだ。
「うわぁ~、虫さんいっぱい、お花もいっぱい。故郷じゃこんなに沢山見られないから感激~」
ソミナは1人で騒いでいるようだが……。彼はそれを無視して先々と行ってしまう。
「あ、待ってよ~」
と、気付いた彼女は慌てて追いかける。しかし、彼には食料の問題もあったため、早く何かを狩らなければという焦りと、魔物である彼女に対する考え方があるために、彼女を無視する行動に走っているのだ。
「1人であっちこっち行くなら俺は貴様を置いていく」
冷たく言い放つ。
「そんなこと言わないで、優しくしてよ」
ソミナが何を言おうと聞く耳を持たない状況、彼女にとっては気まずい雰囲気である。
「どうすればいいのよ……」
彼女はすっかり困り果ててしまった。
(とても、とても暇です……どうにかしたいです……)
その時、2人の腹の虫が同時に鳴る、どうやら昼頃になったようだ。
「……近くの森で何か狩るか……」
ナオが言いだす。
「お手伝いします」
とソミナが言うが
「いらん、俺1人で十分だ」
とあっさりと断った。
「……死んでも知らない!欲しくなってもあげないから!」
と怒り、森の中へと入っていった。
「……いらん節介だ」
そう吐き捨て、森の中へと入って行った。
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