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第1章 ~信頼と信用、壁を越えて~
第3話 ~龍人として、人として~
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夢の中、ここは、ナオの夢の中、何も見えず、何も聞こえず、先には何があるのかさえ分からない場所、彼はそこで一人、佇んでいた。
「ここは、どこだ。なんで俺、こんなところにいるんだ?」
疑問を残したまま辺りを見回す。その時、何やら影がこちらに近づいてくるのが分かった。いや、影というよりかは、"人の形をした何か"である。それはこちらに近づき、ゆっくりと顔を上げる。しかし、それは人では無かった。口に苦痛で歪んだ人の顔を咥えたゾンビであった。
「!う、うわぁぁぁ!」
そこで彼は、夢から覚めた。
朝、彼は変わり果てた朝を迎えた。今までは決まって彼を起こしに来る人、香りがする料理、にぎわいを見せる住宅街、そして、自分と共に鍛錬に行く友人の姿……砦が破壊され、人々が殺された今では、数え切れないほどの当たり前がそこには無かった。ただ一つ、当たり前があっとしたら
「これ、誰が置いてったんだ?」
そこにあったのは、乾パンと焼けたのであろうが冷めた肉、そして水があった。彼はそれを見て、不思議に思いながらゆっくりと食べ始めた。ただ、食べれば満足な状態だった。しかし、彼には一つの疑問が生まれた。
(誰がここまで運んだんだろう?)
彼は記憶では石や砂に埋もれてしまったということは分かっていた。下敷きになってしまったのだから。それは自分自身の記憶でよく分かっていた。しかし、この時間帯人は来ていない、誰が……。
それから考えること少し時間が経った時、扉が開いた。
「!だ、誰だ!」
しかし彼は気がついた、もし相手が凶暴な魔物なら声を出しては相手に生きてると気づかれる、と。
(しまった、ここでとんでもない凡ミスを……)
彼は死を覚悟した。しかし、扉を開いた相手の姿を見た時、それは一瞬にして無くなった。
「あ、目が覚めましたか?」
そこに立っていたのは、胸から脚の付け根、両腕両足に鱗がつき、背中から翼を生やした女の人だった。よく見ると尻尾がついている。彼はそれが魔物であると確信した。
「貴様、魔物だな……」
彼はそう言い放つ。全てを奪った魔物の存在は、彼にとって絶対に絶やさなければいけないのである。
「うーん、ちょっと違うかな、私は龍と人の間に生まれた龍人、私は龍と人が共存する里で生まれたの」
彼女はそう答えるも、相手は彼女を怨んだ目で見ている。彼女はそれに気付かず話し続ける。
「それで、私は…」
と言い終わらないうちにドスッという音が家の中で響く。
(……え?)
彼女がゆっくりと見下ろすと、彼の剣が自分の腹を貫いていた。そして彼をゆっくりと見る。彼の目にはもはや殺意しか無かった。彼が自分を殺そうとしていたことに今やっと気付いたのだ。
「……ねぇ、私が、憎いの?とても、憎いの?」
彼女は問いかける。
「憎い、肉を削ぎ落とし、腸を裂き、脳を切り刻み、骨を燃やしたくなるほどにな」
その答えを聞いた彼女は今度はこう問いかけた。
「それで、私を殺して満足出来る?あなたと同じ……家族や大事なものをたくさん失った私を……」
彼は
「出来ないさ、俺は魔物を殺す。全てな…」
「私は貴方を助けたんだよ。そんな相手を殺すの?」
それを聞いた彼は
「……チャンスを与えてやる。お前が俺と同じなら、俺と共に来い、魔物を倒すんだ。もし聞かなかった時は、貴様の心臓を一突きで貫く」
彼女はそれを聞き、
「分かったわ。約束する……」
その言葉と同時に剣が抜かれた。
「さっさと傷を治せ、名を聞かなきゃならんのでな」
「……分かりました」
そのまま彼女は腹を抑えながら、自分の傷を癒しに行った。それを見届けた彼は
「……同じ、ふん。そんなわけがない。どうせ生きてる。嘘を付いてるに違いない」
と冷たく放ち、失った砲塔の代わりを取りに砦内を歩き回り始めたのであった。
「ここは、どこだ。なんで俺、こんなところにいるんだ?」
疑問を残したまま辺りを見回す。その時、何やら影がこちらに近づいてくるのが分かった。いや、影というよりかは、"人の形をした何か"である。それはこちらに近づき、ゆっくりと顔を上げる。しかし、それは人では無かった。口に苦痛で歪んだ人の顔を咥えたゾンビであった。
「!う、うわぁぁぁ!」
そこで彼は、夢から覚めた。
朝、彼は変わり果てた朝を迎えた。今までは決まって彼を起こしに来る人、香りがする料理、にぎわいを見せる住宅街、そして、自分と共に鍛錬に行く友人の姿……砦が破壊され、人々が殺された今では、数え切れないほどの当たり前がそこには無かった。ただ一つ、当たり前があっとしたら
「これ、誰が置いてったんだ?」
そこにあったのは、乾パンと焼けたのであろうが冷めた肉、そして水があった。彼はそれを見て、不思議に思いながらゆっくりと食べ始めた。ただ、食べれば満足な状態だった。しかし、彼には一つの疑問が生まれた。
(誰がここまで運んだんだろう?)
彼は記憶では石や砂に埋もれてしまったということは分かっていた。下敷きになってしまったのだから。それは自分自身の記憶でよく分かっていた。しかし、この時間帯人は来ていない、誰が……。
それから考えること少し時間が経った時、扉が開いた。
「!だ、誰だ!」
しかし彼は気がついた、もし相手が凶暴な魔物なら声を出しては相手に生きてると気づかれる、と。
(しまった、ここでとんでもない凡ミスを……)
彼は死を覚悟した。しかし、扉を開いた相手の姿を見た時、それは一瞬にして無くなった。
「あ、目が覚めましたか?」
そこに立っていたのは、胸から脚の付け根、両腕両足に鱗がつき、背中から翼を生やした女の人だった。よく見ると尻尾がついている。彼はそれが魔物であると確信した。
「貴様、魔物だな……」
彼はそう言い放つ。全てを奪った魔物の存在は、彼にとって絶対に絶やさなければいけないのである。
「うーん、ちょっと違うかな、私は龍と人の間に生まれた龍人、私は龍と人が共存する里で生まれたの」
彼女はそう答えるも、相手は彼女を怨んだ目で見ている。彼女はそれに気付かず話し続ける。
「それで、私は…」
と言い終わらないうちにドスッという音が家の中で響く。
(……え?)
彼女がゆっくりと見下ろすと、彼の剣が自分の腹を貫いていた。そして彼をゆっくりと見る。彼の目にはもはや殺意しか無かった。彼が自分を殺そうとしていたことに今やっと気付いたのだ。
「……ねぇ、私が、憎いの?とても、憎いの?」
彼女は問いかける。
「憎い、肉を削ぎ落とし、腸を裂き、脳を切り刻み、骨を燃やしたくなるほどにな」
その答えを聞いた彼女は今度はこう問いかけた。
「それで、私を殺して満足出来る?あなたと同じ……家族や大事なものをたくさん失った私を……」
彼は
「出来ないさ、俺は魔物を殺す。全てな…」
「私は貴方を助けたんだよ。そんな相手を殺すの?」
それを聞いた彼は
「……チャンスを与えてやる。お前が俺と同じなら、俺と共に来い、魔物を倒すんだ。もし聞かなかった時は、貴様の心臓を一突きで貫く」
彼女はそれを聞き、
「分かったわ。約束する……」
その言葉と同時に剣が抜かれた。
「さっさと傷を治せ、名を聞かなきゃならんのでな」
「……分かりました」
そのまま彼女は腹を抑えながら、自分の傷を癒しに行った。それを見届けた彼は
「……同じ、ふん。そんなわけがない。どうせ生きてる。嘘を付いてるに違いない」
と冷たく放ち、失った砲塔の代わりを取りに砦内を歩き回り始めたのであった。
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