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駒鳥は何処へ行く?
遭遇
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金の為なら倫理のない者と、信仰の為なら倫理のない者。
如何なる事かと思ったが、今の処、作業は上手くいっていた。
死霊から力を奪う術式を刻んだ剣は、死霊を一刀のもとに散らす。
大地の臍は正に迷宮。中心に至り、そして外界へと導かれる。
今は中心から、更に先を求めて探索を行っていた。
此の土地の噂話については、予め調べを付けた。
主には実体を持たぬ死霊の噂。_しかし一部に、肉を持った霊の噂が有った。
肉持つ死霊には厄介なものが多い。
執着があり力が強い者しか、肉を保つことは出来ず、其れだけの力が在るのは最早、古の者でしかない。
そして作業の問題もある。
霊体のみであるなら一度、しかし肉体があるのであれば二度、斬りつけなければ為らない。
今日は、霊体の者だけを相手取る様に厳命した。
どの道、複数回の行軍となる。
一回目は先ず、此の方法の有効性が確認できれば充分だろう。
隊員たちを呼び集めようとした処で、_何時か見た顔に出くわした。
※
何故と云う疑問は後回し。
ゼオは即座に剣を抜く。
始まってしまった戦闘に、疑問など優先させていれば命は無い。
組み合った剣は鋭く、些か妙な術の気配を感じる。
身に浴びれば、余り良くは無さそうな気配。
相手方の編成も妙だ。
連携がまるで取れていない。
突出する者も、妙に絡む者もある。
しかし全ては些末事。
此方には相手の標的が居るのだ。
兎に角、一旦は引くべきだろう。
そう、思った。其の時に。
其の声は、_妙に通った。
「おい」
敵味方、全員の動きが止まり、死の様な静けさが辺りを支配する。
騒がしく、凍るような静けさだ。
死体だ!!
誰かの上げた叫び声は、突進する死者の群れに呑まれた。
仲間同士、背中合わせに位置を取り、目の前に現れる敵を次から次へ切り刻む。
圧し負けた誰かの悲鳴と、助けを求める手が、死者の波に溺れて覗く。
振り払えば其れなりに退けども、際限のない数に眩暈がする。
見渡す限りの死者死者死者。
目の前に現れた死者。今までと同じように振り払う。
喰い込む刃に怯まず伸ばされる手が、身に絡もうとする。
動揺。急いで距離を取る。距離を取る時に、数人の人間の間を縫った。_伸ばされる手は自分だけを追ってきた。
舌打ち。
繰り返される攻防は、此方に分が悪い。疲れを知らぬ死者と、疲弊した生者では余計に。
バチリと音が鳴って、己が身に掛けられた術が発動した事を知る。
もう後がない。
___術が連続して発動している。
___ゼオの心が酷く揺れている。
___其れは_今までと明らかに違った。
重心を移したはずの足が、支えを失って崩れた。
伸ばされた手が、顔を覆って力を込めた。
「ゼオ!」
此処に居るはずも無い声が聞こえた気がした。
暗転。
意識は闇に呑まれた。
※
リゼは皆から逸れ、壁を背に死者の群れを凌いでいた。
果ても無いが、後ろを気にしなくて良い処だけは幸い。
眼の前の死者の剣を己の剣で受け止める。
打ち合う_眼の前の死者の動き。覚えのある動き。
_其の人は厳しくて、でも優しい人だった。
思わず鈍った攻撃に、掲げられた剣が此の身を引き裂いた。
如何なる事かと思ったが、今の処、作業は上手くいっていた。
死霊から力を奪う術式を刻んだ剣は、死霊を一刀のもとに散らす。
大地の臍は正に迷宮。中心に至り、そして外界へと導かれる。
今は中心から、更に先を求めて探索を行っていた。
此の土地の噂話については、予め調べを付けた。
主には実体を持たぬ死霊の噂。_しかし一部に、肉を持った霊の噂が有った。
肉持つ死霊には厄介なものが多い。
執着があり力が強い者しか、肉を保つことは出来ず、其れだけの力が在るのは最早、古の者でしかない。
そして作業の問題もある。
霊体のみであるなら一度、しかし肉体があるのであれば二度、斬りつけなければ為らない。
今日は、霊体の者だけを相手取る様に厳命した。
どの道、複数回の行軍となる。
一回目は先ず、此の方法の有効性が確認できれば充分だろう。
隊員たちを呼び集めようとした処で、_何時か見た顔に出くわした。
※
何故と云う疑問は後回し。
ゼオは即座に剣を抜く。
始まってしまった戦闘に、疑問など優先させていれば命は無い。
組み合った剣は鋭く、些か妙な術の気配を感じる。
身に浴びれば、余り良くは無さそうな気配。
相手方の編成も妙だ。
連携がまるで取れていない。
突出する者も、妙に絡む者もある。
しかし全ては些末事。
此方には相手の標的が居るのだ。
兎に角、一旦は引くべきだろう。
そう、思った。其の時に。
其の声は、_妙に通った。
「おい」
敵味方、全員の動きが止まり、死の様な静けさが辺りを支配する。
騒がしく、凍るような静けさだ。
死体だ!!
誰かの上げた叫び声は、突進する死者の群れに呑まれた。
仲間同士、背中合わせに位置を取り、目の前に現れる敵を次から次へ切り刻む。
圧し負けた誰かの悲鳴と、助けを求める手が、死者の波に溺れて覗く。
振り払えば其れなりに退けども、際限のない数に眩暈がする。
見渡す限りの死者死者死者。
目の前に現れた死者。今までと同じように振り払う。
喰い込む刃に怯まず伸ばされる手が、身に絡もうとする。
動揺。急いで距離を取る。距離を取る時に、数人の人間の間を縫った。_伸ばされる手は自分だけを追ってきた。
舌打ち。
繰り返される攻防は、此方に分が悪い。疲れを知らぬ死者と、疲弊した生者では余計に。
バチリと音が鳴って、己が身に掛けられた術が発動した事を知る。
もう後がない。
___術が連続して発動している。
___ゼオの心が酷く揺れている。
___其れは_今までと明らかに違った。
重心を移したはずの足が、支えを失って崩れた。
伸ばされた手が、顔を覆って力を込めた。
「ゼオ!」
此処に居るはずも無い声が聞こえた気がした。
暗転。
意識は闇に呑まれた。
※
リゼは皆から逸れ、壁を背に死者の群れを凌いでいた。
果ても無いが、後ろを気にしなくて良い処だけは幸い。
眼の前の死者の剣を己の剣で受け止める。
打ち合う_眼の前の死者の動き。覚えのある動き。
_其の人は厳しくて、でも優しい人だった。
思わず鈍った攻撃に、掲げられた剣が此の身を引き裂いた。
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