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駒鳥は何処へ行く?
挿話_旅立つ者
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生まれて直ぐに白痴と知れた。
眼の前の白痴の子を見定めて、男達は唇を醜く捻じ曲げた。
阿呆でも顔が良けりゃ、アッチさえ躾ければ自分の飯代くらいは稼げるだろう。
一人が手を取り乱暴に村の端、森の境界線へ向かう。
数人の男達がニヤニヤと笑いながら2人を追った。
其の場に居た他の住民達は、気まずいようにそっと目を伏せて、見て見ぬ振りをした。
服を破かれ、左右の男に地に磔にされながら、少年は空を見ていた。
はた、と少年の前、
未だ青々とした葉が、 舞って、 舞って、 落ちて
ああ
「ああ、君よ君。思い出した。僕の対」
鼻膨らませて下衣寛げる男は、少年の眼が束の間大きく見開かれるのを見た。
訝しく。しかし、何が起きても此の小僧には何も出来やしないと、自分のモノを取り出して_。
「――――」
聞こえたと、思う前に
_首が落ちた。
夜になっても戻らぬ家族_数人の男達に業を煮やした村人達は、歯切れ悪く語る目撃者の証言を本に、村の外れ迄男らを引き戻しに向かった。
彼らは森の端、
血塗れの池を見た。
ごろりごろりと一列に並べられた、顔に釘刺された苦悶の首の出迎え。
千切れ果て、襤褸切れのようになった肉片は獣に喰われて散らされていた。(まともな形も残っちゃいない。)
其の中に息子の顔を見つけ、叫び駆け寄ろうとした女を制した一人の老婆。
強張った顔で躯に近づく。
「…動かせないよ、此の体。動かせば厄が来る。森が怒って、獣が来るよ」
老婆は森の声を聴く。
「此のまま朽ちるに任せれば、今年の秋の幸は期待して良いだろう。森が随分元気になった」
あの子、あの御方を、何処かで見掛けても、手を出しても声を掛けてもいけないよ。最早此方の側じゃない。
数人の村人が復讐を胸に旅立ったのは其れから直ぐの事だった。
_村には時折、届け物が届いた。
復讐を誓って旅立った村人の、苦悶の首。
一つ二つと届いて。届いて、届いて。
恐らく最後の村人の_箱の隅に挟み込まれた手紙が1つ。
多分きっと此の人が、恐らく最後と思います。
そして。_眩く輝く、両の手に余る黄金の塊一つ。
此処まで、育てて下すった御礼です。
※
街で話題の道化の少年。
逆しま言葉、滑稽劇が大の得意で、人を沸かせては御足を頂く。
眼の前の白痴の子を見定めて、男達は唇を醜く捻じ曲げた。
阿呆でも顔が良けりゃ、アッチさえ躾ければ自分の飯代くらいは稼げるだろう。
一人が手を取り乱暴に村の端、森の境界線へ向かう。
数人の男達がニヤニヤと笑いながら2人を追った。
其の場に居た他の住民達は、気まずいようにそっと目を伏せて、見て見ぬ振りをした。
服を破かれ、左右の男に地に磔にされながら、少年は空を見ていた。
はた、と少年の前、
未だ青々とした葉が、 舞って、 舞って、 落ちて
ああ
「ああ、君よ君。思い出した。僕の対」
鼻膨らませて下衣寛げる男は、少年の眼が束の間大きく見開かれるのを見た。
訝しく。しかし、何が起きても此の小僧には何も出来やしないと、自分のモノを取り出して_。
「――――」
聞こえたと、思う前に
_首が落ちた。
夜になっても戻らぬ家族_数人の男達に業を煮やした村人達は、歯切れ悪く語る目撃者の証言を本に、村の外れ迄男らを引き戻しに向かった。
彼らは森の端、
血塗れの池を見た。
ごろりごろりと一列に並べられた、顔に釘刺された苦悶の首の出迎え。
千切れ果て、襤褸切れのようになった肉片は獣に喰われて散らされていた。(まともな形も残っちゃいない。)
其の中に息子の顔を見つけ、叫び駆け寄ろうとした女を制した一人の老婆。
強張った顔で躯に近づく。
「…動かせないよ、此の体。動かせば厄が来る。森が怒って、獣が来るよ」
老婆は森の声を聴く。
「此のまま朽ちるに任せれば、今年の秋の幸は期待して良いだろう。森が随分元気になった」
あの子、あの御方を、何処かで見掛けても、手を出しても声を掛けてもいけないよ。最早此方の側じゃない。
数人の村人が復讐を胸に旅立ったのは其れから直ぐの事だった。
_村には時折、届け物が届いた。
復讐を誓って旅立った村人の、苦悶の首。
一つ二つと届いて。届いて、届いて。
恐らく最後の村人の_箱の隅に挟み込まれた手紙が1つ。
多分きっと此の人が、恐らく最後と思います。
そして。_眩く輝く、両の手に余る黄金の塊一つ。
此処まで、育てて下すった御礼です。
※
街で話題の道化の少年。
逆しま言葉、滑稽劇が大の得意で、人を沸かせては御足を頂く。
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