駒鳥は何処へ行く?

湯月@重陽

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駒鳥は何処へ行く?

挿話_昔話

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此処は地母神のお膝元。高い山と、深い森。
此処に住まう夏達は、ころりころりと良く笑う。



夜。
褥の上。
冴えた肌と云うものが在るとするなら、此れが其れ。
月光を帯びた肌。青白い光が内から仄かに輝き、冷たさに備えた手を伸ばせば人肌の暖かさがある。
そうっと開いた花唇は熟れて赤々と膨らんで、立ち上がった芯は恥じらうように手で隠された。
熟れた花唇の内側を辿って指先を遊ばせれば、こぷっと花壺から蜜が膨らみ零れ落ちた。
はふりはふりと息吐く人の眼にちらつく光は、怖気(おじけ)と_その奥に期待。
手で隠された処を蜜に濡れた手で探る。膨れた芽は撫でる指先から逃げる。撫でて、逃げて、撫でて、逃げて。
足が跳ねるのを、そっと手で押さえ込む。
ぬかるみに踏み込めば、細い細い声が上がった。重く垂れる蜜を絡め、指先であやしながら道を付ける。
顰められた眉。噛み締めた唇。此方の首裏に縋り付くように回された腕。
堪らないと、頭を抱え込まれて視線が下がる。胸の谷間に光る汗。舐め取れば、驚いたように体が跳ねる。
目が合って、引かれるように互いに求めた唇。
合わさって離れ、合わさっては離れる。
指先を強く押し込めば、抱き込んだ身体は甘やかな痙攣と共に達した。

「あ、あ、」
細い指が快い処を掻いて思わず声を漏らした。
数本纏めて含まされた指がバラバラに動いて、胎の中、快の蕾が次々に開花する。
秘め処に口付けられて息が詰まった。
気持ち善すぎると目で訴えても赦してくれない。見せつけるように芽を唇で慰められて彼女の顔を、美しい肌を汚した。
啜り泣く処を可愛いと云われ、泣きじゃくる唇を割って舌が絡みついて来る。舌を絡めたまま乳房の先をきつく摘ままれて、とても大きな波が来た。



日が昇ったの感じて彼女は跳び起きた。
今日は彼女が朝食当番。
急いて火を熾し、煮炊きし、膳を整える。

「私の春」

火の加減を見極めていると、起きてきた対が背後から抱き着いてきた。
背中に柔らかな胸が当たる。

「こら、危ない_良く寝れた?」
「充分良く寝れたわ。_昨夜は素敵だった。其れに」
可愛かったと耳元に吹き込まれる。
振り返り、キスを交わす。舌先を甘く吸えば、お互いの瞳の中に、昨夜の欲の熾火を見る。

カタンッ

「陽の母様、月の母様、おはよう。今日の朝ごはん、な~に?」
戸口から幼い頭が覗く。

「おはよう、子ども達。今日の朝は見てからのお楽しみ。さあ、顔を洗っておいで」
「はーい」
素直に頷き、駆けていく上の子。引かれて付いていく下の子。

振り返り、ほんの少し不満げな私の春に口付けする。綺麗な対は見た目に沿わず、欲が強い。
「_今夜ね」
ご機嫌に頷いた彼女は卓の支度へ行った。

_平和な日。今日も変わらぬ幸いの日々。





留まるは夏の者。巡るは冬の者。
地母神の容に準(なぞら)え決められた役割。
夏の者達は里をつくり、冬の者達は群れをつくった。

冬_眠りの季節の訪れ。
方々を巡る冬の者達も、彼らの象たる季節には里に長く身を寄せる。
大寒の間に床入りし、彼らの去った後に芽吹く種。

_お前はの子。私は母の子。母は地母神ははの子。
_何一つとして、変わらぬルール

子は夏冬の区別なく生み親の元で育てられる。
冬は年頃になれば、其の年、其の里に長逗留した群れの一員に迎え入れられ、巡る容になった。

皆、地母神のように対をつくった。
共に生き、共に死に、来世迄の縁を誓った。
夏は夏、冬は冬で対をつくる事が多い_共に居れる時間が長いから。
「お前の子を私の子と呼ばせて」と夏が云う。
「お前と共に地に落ちる」と冬が云う。

其れが幸いと、誰かが笑う。
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