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駒鳥は何処へ行く?
合流
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待ち合わせがあると団長が告げたのは、都市への入都手続きを終えて皆が緊張を解いたタイミングだった。
一時団を離れていた数人と、此の都市で合流する手筈となっているらしい。
合流地は宿屋。都市の中心から少し外れてはいるが、治安がそこまで悪い訳ではないと託られていた。
道を行くと、見た事の無い様式の建物に眼を奪われる。
飾り細工で覆われた家々の壁は、実は誰の家かを示す法則があると云う。
其々の家筋で細工の特徴は異なるので、例えば此の家はA家の者が建て、B家に売買された後、C家が譲り受けたという履歴が残る。
家は祖霊の宿る場所。去った後も痕跡が残り、相性悪い家筋の後に入れば些か居心地が悪くなる。
遠い家筋の者が此の都市に居着くならば専門の役人が対応し、相応しい細工の原図を渡す。
余りに多くの人が住んだ家は、公共の物となる事が多いと云う。影響が打ち消し合って、短期であれば如何なる人も住む事が出来るからだ。
人が廻り、其れでいて一定期間は暮らす事を前提とした土地。
問われることは無いが誓いを必要とした土地だった。
辿り着いた宿屋。
古くから同じ家が管理しているのか細工は少なく、しかし少しばかり華やかな造り。
一瞬固まった団長は次の瞬間解凍されて、此処で少し待つように団員達に告げると、一人ずんずんと宿屋(?)に突撃した。
暫し後、団長が首根っこ引っ掴んで引いてきたのは、年若そうな黒髪の男。マホガニーの色をした瞳は茶目っ気たっぷりに輝いている。
何事か団長に訴えていた彼は、リゼを見るなり口を閉じた。
「此れは此れは。成る程、理解した。_でも団長。なら寧ろ、此処が良いぜ。此処なら女の子が一杯居るから、何か問題あっても飛び込めばいい。此の店は女の子達を大事にするから、困った事にもならないぜ」
余り説得されたようでない団長の眉間の皴。黒髪の男はリゼを振り返る。
「何か、問題有るか? お嬢ちゃん」
「いいえ。何も。何なりと」
咄嗟に出た言葉は随分と仰々しく、しかし云い直す事は心が止めた。
満足げに頷いた男は団長を見る。
_団長は少しの沈黙の後、渋々と云った様子で頷いた。
一時団を離れていた数人と、此の都市で合流する手筈となっているらしい。
合流地は宿屋。都市の中心から少し外れてはいるが、治安がそこまで悪い訳ではないと託られていた。
道を行くと、見た事の無い様式の建物に眼を奪われる。
飾り細工で覆われた家々の壁は、実は誰の家かを示す法則があると云う。
其々の家筋で細工の特徴は異なるので、例えば此の家はA家の者が建て、B家に売買された後、C家が譲り受けたという履歴が残る。
家は祖霊の宿る場所。去った後も痕跡が残り、相性悪い家筋の後に入れば些か居心地が悪くなる。
遠い家筋の者が此の都市に居着くならば専門の役人が対応し、相応しい細工の原図を渡す。
余りに多くの人が住んだ家は、公共の物となる事が多いと云う。影響が打ち消し合って、短期であれば如何なる人も住む事が出来るからだ。
人が廻り、其れでいて一定期間は暮らす事を前提とした土地。
問われることは無いが誓いを必要とした土地だった。
辿り着いた宿屋。
古くから同じ家が管理しているのか細工は少なく、しかし少しばかり華やかな造り。
一瞬固まった団長は次の瞬間解凍されて、此処で少し待つように団員達に告げると、一人ずんずんと宿屋(?)に突撃した。
暫し後、団長が首根っこ引っ掴んで引いてきたのは、年若そうな黒髪の男。マホガニーの色をした瞳は茶目っ気たっぷりに輝いている。
何事か団長に訴えていた彼は、リゼを見るなり口を閉じた。
「此れは此れは。成る程、理解した。_でも団長。なら寧ろ、此処が良いぜ。此処なら女の子が一杯居るから、何か問題あっても飛び込めばいい。此の店は女の子達を大事にするから、困った事にもならないぜ」
余り説得されたようでない団長の眉間の皴。黒髪の男はリゼを振り返る。
「何か、問題有るか? お嬢ちゃん」
「いいえ。何も。何なりと」
咄嗟に出た言葉は随分と仰々しく、しかし云い直す事は心が止めた。
満足げに頷いた男は団長を見る。
_団長は少しの沈黙の後、渋々と云った様子で頷いた。
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