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第87話 ケンは心配!
しおりを挟むニールに待ってろだの、出直してこいだの言われたけど、どのくらい待っていればいいのか分からない!ってことで僕たちは一旦ショーンの部屋で時間を潰すことにした。
まだかな、まだかなって1時間くらい待ったところでショーンが「これ以上は無理です!」って勢いよく立ち上がったから、僕も後ろにくっついてニールの部屋の前までやってきたんだ。
「ニール!扉を開けてくださいっ!」
眉間にしわを寄せて、ちょっと乱暴にショーンは扉を叩いた。
「ねえねえ、二人ともお昼寝してるんじゃない?」
「まだ昼間ではありません」
「んーそうだけど、二人とも疲れたから、眠っちゃったんじゃないかなって」
「そうだとしてもニールは当直中です。仕事に戻ってもらわないと、痛い目を見るのは彼ですよ」
「真面目だね、ショーンはっ」
トントンって今度は僕が扉を叩いてみた。
耳を扉にくっつけると、向こうの方からバタバタって音がする。
「起きてるみたいだね?音する」
「音、ですか?」
「うん、バタバタガタガタって。お掃除してるのかなぁ?」
って僕が言い終わった瞬間、ショーンが怒った顔をしてガンガン扉を叩きだしたんだ。そんなに叩いたら扉壊れちゃうのに。どうしたんだろう、なんでそんなに怒ってるんだ?
「おい、お前ら」
勢いよく開いた扉からニールが顔を出した。髪の毛がすごくぼさぼさで、シャツも着崩れてるし、やっぱりお昼寝してたのかな。
「ほら、ニールは寝てたんだって」
「ケン……」
「何のことだ?」
「ケンはあなたたちがお昼寝をしてるに違いないって」
「…っ、ああそういうことにしといてくれ。で、何の用だ?」
「アサと話をしに。それにそろそろ仕事に戻らないと怒られますよ」
「分かってる。長居するつもりはなかったんだ」
「言い訳を私にされても…」
「アサぁぁァ!!!!!!!!!!!」
無理やり扉を開いて中に入ったらアサがベットの上に座ってた。顔が真っ赤で髪の毛もいつもより乱れてる。何だ?泣いてたのかな?目が赤い!
「大丈夫?アサ、ニールのせい?なんか言われたの?僕がやっつける?」
「ン…?ダイジョブ…」
「ほんと?でも、でも泣いてたでしょ?」
大丈夫だって言ってるけど、どう見たってアサは泣いてたし、だるそうだ!
「おい、ケン」
「ニール!何したの!アサ泣いてる!」
「泣かせたがそういうんじゃないっ!」
「意味わかんない!アサが可哀そう!」
「ケン、ケン…ダァメ。ボク、ダイジョブ…!」
「でも、でもぉ!」
アサは僕の大切な友達なんだ。アサを泣かせたら、ニールだって許さない!ふん!ってニールを睨んだら、アサが首をぶんぶん振った。
「ケン、アサは大丈夫ですから、こちらに」
そう言ったショーンに腕を引かれて止められた。
でもだって心配なんだもん!僕が守るんだもん!
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