運命の乗船

綿天モグ

文字の大きさ
上 下
80 / 125

第80話 アサの一人遊び

しおりを挟む
  身にまとう紺色の洋服はニールに贈られたものだ。
 恐るおそるズボンの隙間から手を入れると独特な湿り気が指に触れる。下穿きの上から触れているだけじゃ満足いく刺激を感じなくて、僕はズボンと下穿きを下ろした。

「ひゃぅ…」

 ぎゅっと握ると目に見えて硬さを増した体の中心がビクンと動く。
 どうしよう、もしニールが何かの拍子に部屋に戻ってきてしまったら…
 
 ドキドキしながら上下に右手を動かすと先端からぷくりと精液が漏れた。ぬめりが手の動きを手伝って、段々と気持ちよさが増していく。

 今座っている寝床には、ニールのにおいがいっぱいで、僕はニールの枕を手繰り寄せると下半身をさらしたまま横に寝転がった。
 横になったことで、枕に顔をうずくめやすくなった。自分とは違う匂いが火照りきった体をさらに熱くする。

「んっ、んっ!!」

 ニールがやってくれるみたいに手を必死に動かしても何かが足りない。この船に乗ってから自分で自分を慰めることがなかった僕は、もしかするとやり方を忘れてしまったのかもしれないな。

「ぁあっ!」

 大きな手が僕のソコを包み、先端を優しくなでる様子を頭に浮かべると、とぷりと精液があふれ出した。
 いつもはどうするんだっけ…えっと、こうやってクルクルって撫でて割れ目に指が入ってきて…

「ゃ、んーーー!」

 今までより一番強い刺激に喉がのけ反った。髪留めで留めていた髪の毛がパラパラと背中に散る。

 すごく気持ちいい。
 この手がニールの手なんだって思いこめば何百倍も気持ちいいんだ。
 
 でも…でも、何かが足りなくて、僕のおなかの奥はじりじりと疼いている。
 うう…どうしよう。自分で奥を慰めることなんてできないよ。僕の指はニールの指より小さいし、それに…自分で指を入れることなんて絶対怖くてできない。

 「んっんっぁぁぁ、ゃっ」

 物足りないけど、僕は目を瞑りニールのことを考えた。
 僕より逞しい体に包まれると、いつでも心が温かくなるんだ。それに、僕を求めているときのニールは少しだけぎゅっと眉間にしわを寄せたり、目つきが変わって男らしさが増す。何とも説明しづらいけど、狼みたいな表情になってカッコいいんだ。

 体の中心を掴んでいた手をさらに速く動かし僕はここにはいない人のことを想った。

 「っあぁんっ!どうしよ、とまらないっ」

 天井を向いて横たわった僕の腰が浮きがくがくと震え出す。

 閉じた瞼の裏が段々と白みを帯びていく。
 頭に浮かべた大好きな人の唇が自分の名前を呼ぶと、僕はきらきらと輝く星が見えたような気がした。

「っっーーーー!!!」

 どろっとした粘液が手を伝い、瞳から涙が流れた。

 この時僕は扉の向こうに誰かが立っていたなんて知らなかったんだ。
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

次男は愛される

那野ユーリ
BL
ゴージャス美形の長男×自称平凡な次男 佐奈が小学三年の時に父親の再婚で出来た二人の兄弟。美しすぎる兄弟に挟まれながらも、佐奈は家族に愛され育つ。そんな佐奈が禁断の恋に悩む。 素敵すぎる表紙は〝fum☆様〟から頂きました♡ 無断転載は厳禁です。 【タイトル横の※印は性描写が入ります。18歳未満の方の閲覧はご遠慮下さい。】 12月末にこちらの作品は非公開といたします。ご了承くださいませ。 近況ボードをご覧下さい。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

壁乳

リリーブルー
BL
俺は後輩に「壁乳」に行こうと誘われた。 (作者の挿絵付きです。)

大学生はバックヤードで

リリーブルー
BL
大学生がクラブのバックヤードにつれこまれ初体験にあえぐ。

塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。 そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。

つまりは相思相愛

nano ひにゃ
BL
ご主人様にイかないように命令された僕はおもちゃの刺激にただ耐えるばかり。 限界まで耐えさせられた後、抱かれるのだが、それもまたしつこく、僕はもう僕でいられない。 とことん甘やかしたいご主人様は目的達成のために僕を追い詰めるだけの短い話です。 最初からR表現です、ご注意ください。

キサラギムツキ
BL
長い間アプローチし続け恋人同士になれたのはよかったが…………… 攻め視点から最後受け視点。 残酷な描写があります。気になる方はお気をつけください。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

処理中です...