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第39話 翌朝の話
しおりを挟む「アサ!?」
窓から溢れる日差しに目を開くと、腕の中にいるはずのアサがいない。
情事の後の気だるさに負けそうになりながら、意識のないアサを浴室で洗い(少しばかり肌の感触を堪能させてもらい)、汗に濡れた自分の体を清め、倒れるようにベッドに向かったことは覚えている。
その時はアサを抱えていた。
昨夜のことを思い出しただけで下半身に熱が溜まっていくが、今はそれどころではない。
いつも通り、そう毎晩俺の腕の中が定位置で、目覚めても腕の中にいる俺の宝を見つけないと。
「アサ、どこだ?」
「ニール……」
か細い声が聞こえる方に目を向けると、水色のシーツを纏うアサがベッドのすぐ横にしゃがみ込んでいた。
「どうした?何でそんなとこにいるんだ?」
「ア、ン……ア、シ」
「足?」
「ウン…」
ベッドの端に腰掛けると、俺を見上げるアサが困ったように目尻を下げた。
「ああ…足と…それに腰か」
「ワッ」
掬うように持ち上げると軽すぎる体がビクッと震える。さらりとシーツが落ち、生まれたままの姿となってしまったアサは焦りながら両手で体を隠そうと頑張っている。
「ははっ、アサ。もう昨夜たくさん見たから意味ないな。暴れるな、落ちるぞ」
「ン?ナ、ニ?」
「何でもない。好きだと言ったんだ」
音を立て唇を摘むように口づけをすると、漆黒の瞳が大きく開かれる。
このまま、舌で咥内をかき混ぜ、透き通る肌を撫でまわし、奥の奥まで貫きたいが、今日はやることがある。それにアサの身体の負担を考えて自分が我慢しなくては。
「着替えよう、アサ」
「…ン」
頬を赤く染め、下唇を指の腹で撫でるこの子をベッドに連れ戻さなかった自分に褒美をあげたいほどだ。
幼さを残した体に、乱れた髪、気怠そうな表情を浮かべたアサは、いつも以上に美しい。このままどこかに閉じ込めて自分だけのものにしたいなんて、不思議な感情が生まれていった。
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