15 / 125
第15話 アサを奪う者
しおりを挟む
意識が覚醒し、目を開くと見知らぬ景色が映った。ニールの部屋ではない。几帳面に全てが整頓された部屋だ。シミの1つもない寝床に僕は寝そべっていた。
後頭部がヒリヒリと痛み、身体を起こそうと動くと眩暈もする。頭を擦ろうと腕を動かすが、上手くいかない。混乱した頭で手に目をやると、手首が縄でグルグルと巻かれていた。
――え?
僕は急に立ち上がりどこかへと走って行ったケンを待っていたはずなのに、何が起きたんだろう?混乱しながらも、ただ事ではないことが僕の身に起きたということは理解できた。
冷静に自分の手首や壁に目を向けていた僕は、身の上に起きている状況を理解するにつれ、恐怖を感じガタガタと震え始めた。
――どうしよう、ニール
浮かんだ顔は同室者の顔だった。僕が戻ってこなかったら探しに来るかな。叫べば誰かが来てくれるだろうか。
大声を出そうと口を開くと突然、腹部に衝撃が与えられた。ギョッとして自分の体に跨る重さに目をやると図体の大きい男がギラギラとした目でこちらを見つめていた。
船内で見かけたことがある毛深い体が印象的な男だ。
ニールといる僕を見かけるたびにジッと睨んできて不快感を覚えた記憶がある。
異国語でぶつぶつと呟き出した男は、分厚い手を僕の首に当てギュッと抑えてくる。締め付けてくる力を解こうと腕を動かすが、縄で縛ってある手首では大したことはできなかった。
息ができずに頭が朦朧とする。
――怖いよ、助けて
「ンー、ンー」
叫ぼうとした僕の口を空いている手で塞いだ男はニヤリと笑った。首を絞めていた手が緩まり息をしようとするが大きな手が邪魔をする。
「ンー!」
どんどんと下へと降りてくるその手が僕の襟を引っ張る。
――怖い
ニールがくれたこの衣服は胸からお腹にかけていくつも留め具がついていた。この船に乗る異国の人たちと比べて僕はずっと小さい。だから、この衣服も僕が着るとゆったりとしている。
混乱で頭がいっぱいになっている僕を眺め何かを呟いた男は、留め具を一つひとつ上から外していく。何をされているのか、これから何が起きるのか分からない恐怖に涙があふれ出した。
「ンー!ンーーー!」
縛られた腕を動かし抵抗するが、僕より圧倒的に力の強いこの男には何の効果もない。上着の前がすっかり開き肌に空気が触れると頭が真っ白になるほど恐怖に駆られた。僕が泣き悶えていることを楽しむかのように頭上の男は微笑んでいる。
混乱の中、足が動かせることに気づいた僕は腹にまたがる体を蹴ろうと暴れ始めた。
そんなことは意味がない、とでも言うかのようにニヤリとほほ笑んだ男は腰を少し後ろに動かし太ももを押さえつけるように跨り直す。
――助けて
はぁはぁと荒く息をし始めた男はつーっと指を滑らし僕の肌を撫で始めた。怖くて。何が起きるのか分からなくて、触れられるたびにぞくぞくと鳥肌が立ち、頭が真っ白になる。
僕の反応を楽しむかのように唇を舐め何かを異国語でつぶやいた男は、僕の口を塞いでいた手を外し顔を僕の胸に近づけ始めた。
「ニール!!!!!!」
分厚い男の手が外れた口から、僕は声を震わせながら一番大切な人の名前を叫んだ。
後頭部がヒリヒリと痛み、身体を起こそうと動くと眩暈もする。頭を擦ろうと腕を動かすが、上手くいかない。混乱した頭で手に目をやると、手首が縄でグルグルと巻かれていた。
――え?
僕は急に立ち上がりどこかへと走って行ったケンを待っていたはずなのに、何が起きたんだろう?混乱しながらも、ただ事ではないことが僕の身に起きたということは理解できた。
冷静に自分の手首や壁に目を向けていた僕は、身の上に起きている状況を理解するにつれ、恐怖を感じガタガタと震え始めた。
――どうしよう、ニール
浮かんだ顔は同室者の顔だった。僕が戻ってこなかったら探しに来るかな。叫べば誰かが来てくれるだろうか。
大声を出そうと口を開くと突然、腹部に衝撃が与えられた。ギョッとして自分の体に跨る重さに目をやると図体の大きい男がギラギラとした目でこちらを見つめていた。
船内で見かけたことがある毛深い体が印象的な男だ。
ニールといる僕を見かけるたびにジッと睨んできて不快感を覚えた記憶がある。
異国語でぶつぶつと呟き出した男は、分厚い手を僕の首に当てギュッと抑えてくる。締め付けてくる力を解こうと腕を動かすが、縄で縛ってある手首では大したことはできなかった。
息ができずに頭が朦朧とする。
――怖いよ、助けて
「ンー、ンー」
叫ぼうとした僕の口を空いている手で塞いだ男はニヤリと笑った。首を絞めていた手が緩まり息をしようとするが大きな手が邪魔をする。
「ンー!」
どんどんと下へと降りてくるその手が僕の襟を引っ張る。
――怖い
ニールがくれたこの衣服は胸からお腹にかけていくつも留め具がついていた。この船に乗る異国の人たちと比べて僕はずっと小さい。だから、この衣服も僕が着るとゆったりとしている。
混乱で頭がいっぱいになっている僕を眺め何かを呟いた男は、留め具を一つひとつ上から外していく。何をされているのか、これから何が起きるのか分からない恐怖に涙があふれ出した。
「ンー!ンーーー!」
縛られた腕を動かし抵抗するが、僕より圧倒的に力の強いこの男には何の効果もない。上着の前がすっかり開き肌に空気が触れると頭が真っ白になるほど恐怖に駆られた。僕が泣き悶えていることを楽しむかのように頭上の男は微笑んでいる。
混乱の中、足が動かせることに気づいた僕は腹にまたがる体を蹴ろうと暴れ始めた。
そんなことは意味がない、とでも言うかのようにニヤリとほほ笑んだ男は腰を少し後ろに動かし太ももを押さえつけるように跨り直す。
――助けて
はぁはぁと荒く息をし始めた男はつーっと指を滑らし僕の肌を撫で始めた。怖くて。何が起きるのか分からなくて、触れられるたびにぞくぞくと鳥肌が立ち、頭が真っ白になる。
僕の反応を楽しむかのように唇を舐め何かを異国語でつぶやいた男は、僕の口を塞いでいた手を外し顔を僕の胸に近づけ始めた。
「ニール!!!!!!」
分厚い男の手が外れた口から、僕は声を震わせながら一番大切な人の名前を叫んだ。
0
お気に入りに追加
37
あなたにおすすめの小説
次男は愛される
那野ユーリ
BL
ゴージャス美形の長男×自称平凡な次男
佐奈が小学三年の時に父親の再婚で出来た二人の兄弟。美しすぎる兄弟に挟まれながらも、佐奈は家族に愛され育つ。そんな佐奈が禁断の恋に悩む。
素敵すぎる表紙は〝fum☆様〟から頂きました♡
無断転載は厳禁です。
【タイトル横の※印は性描写が入ります。18歳未満の方の閲覧はご遠慮下さい。】
12月末にこちらの作品は非公開といたします。ご了承くださいませ。
近況ボードをご覧下さい。


つまりは相思相愛
nano ひにゃ
BL
ご主人様にイかないように命令された僕はおもちゃの刺激にただ耐えるばかり。
限界まで耐えさせられた後、抱かれるのだが、それもまたしつこく、僕はもう僕でいられない。
とことん甘やかしたいご主人様は目的達成のために僕を追い詰めるだけの短い話です。
最初からR表現です、ご注意ください。

幸せの温度
本郷アキ
BL
※ラブ度高めです。直接的な表現もありますので、苦手な方はご注意ください。
まだ産まれたばかりの葉月を置いて、両親は天国の門を叩いた。
俺がしっかりしなきゃ──そう思っていた兄、睦月《むつき》17歳の前に表れたのは、両親の親友だという浅黄陽《あさぎよう》33歳。
陽は本当の家族のように接してくれるけれど、血の繋がりのない偽物の家族は終わりにしなければならない、だってずっと家族じゃいられないでしょ? そんなのただの言い訳。
俺にあんまり触らないで。
俺の気持ちに気付かないで。
……陽の手で触れられるとおかしくなってしまうから。
俺のこと好きでもないのに、どうしてあんなことをしたの? 少しずつ育っていった恋心は、告白前に失恋決定。
家事に育児に翻弄されながら、少しずつ家族の形が出来上がっていく。
そんな中、睦月をストーキングする男が現れて──!?

被虐趣味のオメガはドSなアルファ様にいじめられたい。
かとらり。
BL
セシリオ・ド・ジューンはこの国で一番尊いとされる公爵家の末っ子だ。
オメガなのもあり、蝶よ花よと育てられ、何不自由なく育ったセシリオには悩みがあった。
それは……重度の被虐趣味だ。
虐げられたい、手ひどく抱かれたい…そう思うのに、自分の身分が高いのといつのまにかついてしまった高潔なイメージのせいで、被虐心を満たすことができない。
だれか、だれか僕を虐げてくれるドSはいないの…?
そう悩んでいたある日、セシリオは学舎の隅で見つけてしまった。
ご主人様と呼ぶべき、最高のドSを…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる