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第7話 夢中の感触
しおりを挟むアサの体がころんと音を立てるかのように寝返り、綺麗な顔が俺の目に映り込む。
「アサ、起きたのか?」
うっすらと浮かぶ汗に張り付いた前髪を耳にかけてやると、小さな体が身じろいだ。
悪夢を見たのだろうか、身体が汗ばんでいる。
スルスルとうなじを撫でていくとアサが気持ちよさそうな声をあげた。
「ンンッ……ハァ……」
小さく開くその唇は、どの国で見た果実よりもおいしそうに熟れていて、ゆっくりと人差し指の腹で撫でると、その柔らかさに自分の心が躍るのを感じた。
うなじを撫でていた手で細い背中を撫でると、まだ目を覚ましていないアサの小さな手が俺の胸に置かれた。
「落ち着け」なんて自分に呟いた警告は、今の自分には聞こえぬものだった。
壊さぬように、起こさぬように、ゆっくりと目の前の小さな顔を両手で包む。
「アサ…」
合わせた唇から感じたのは自分より暖かいアサの体温だった。
何て居心地の良い温もりなのだろう。
幾度も幾度もその感触を味わうように口づけし、唇を口に含み甘噛みを繰り返す。夢中なんて言う言葉では落ち着かないほど、俺はアサの小さな唇を楽しんでいた。
「ンッ……ァ……ニー、ル?」
俺の手のひらに包まれたアサの顔は、混乱の色に染まっていた。
「大丈夫だ、アサ」
不思議そうな顔色を浮かべ淡く染まる目元でアサが俺の唇を見つめていた。恐がらせないようにと、とっさに出たのは彼が知っている言葉だった。
「ニール……」
熱のこもった声で呼ばれると自分の理性を抑えていた糸がプツンと途切れ、俺は目の前の美味しそうな唇にかぶりついた。
初めての行為だろうか…
頭に過るのは経験したこともないような独占欲だ。
「ンッ、ンッ……」
可愛い声が耳に届き、薄っすらと目を開くと頬を染め、俺の胸で両手を握り何かに耐えるような、理解もできない快感に悶えるような表情をしたアサが見えた。
「いい子だな、アサ」
固く閉じられた唇をゆっくりと舐め擽るように突くと、頑なに結ばれていた扉が緩んでいった。
スルっと舌を滑り込ませると、経験したこともない感覚に、信じられないといった表情をしたアサが、目を丸く開き体を離そうと身じろいだ。
「…大丈夫」
口を離し、ゆっくりと伝えると、アサは色めいた吐息を吐き瞼を閉じる。それが合図だとでもいうように、俺は小さな頭を両手で包み込み顔を近づけた。
もう一度舌を入れアサの舌を探るようにかき混ぜ、柔らかい感覚を楽しむ。逃げ回っていた舌に触れると、ピリリッと刺激が体中に走った。
――ああ、甘い
俺は憑りつかれたように、何度も何度も夢中になり蠢く舌を追いかけた。
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