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1章 神様が作った実験場
魂のプログラム 11
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あたしは一人、広い部屋をうろうろと歩き回り、脱出口を脳内で探す。
そうね、弥の話を整理しましょうか。あいつは白糸と白鋏の全てを話していない。でも、いくつかヒントはあった。「エスパーまがい」「空間さえも切ってしまう」
話の端々にそう言っていた。
それってあたしには念動力とか千里眼みたいな能力があるってことよね。どちらもあたしはできない。白糸は物をくっつけるぐらいしかできないし、白鋏も物を切るだけ。
物を切る。空間を切る。もしかして。
ちょっとした発想の転換。本当にそれができるのかさえ怪しい。
障子越しの天鳥を伺う。陰のシルエットとして映る彼女はあたしを気にしていないようだった。本心からあいつらを信じていると勘違いしているみたいね。
奴らからしてみればあたしは一般的な女子高生で、浅はかで未熟だと見下している。
その油断が脱出の好機だった。ほかに思いつく案もない。
あたしは白鋏を握る。
実在しているものを想像したほうがわかりやすいわね。なら、試しにハクを想像してみよう。
繋がって。深呼吸をして祈る。
布を切る感覚で何もない空間を裂く。
肩と同じくらいの高さに白鋏を構えて宙に刃をたてたまま、床まで下げる。
白い刃は通るとまさに空間をさくようにして楕円形の白い物体が浮かんだ。高さはあたしの肩と同じ。幅は1m。厚さは紙よりも薄い。
何に例えるべきかしら。得体の知れないその物体を恐れながらも観察してどう対応すべきなのか考えた。
あたしの考えが正しいのならこの先にハクがいるはず。
思い切って発光する楕円へと飛び込む。
着地は最悪だった。
脚が地に着いたと思ったら、その地は円形になっていて。あたしは謎の円形に体重を乗せたまま転がってバランスを整えられずに床に腰をぶつける。
痛みで唸っているとハクがきょとんとした顔であたしを見ていた。
寝殿でカンダタを探しているハクがあたしの目の前にいる。あたしの思いつきは正しかったみたいね。白鋏はテレポートの能力があった。
「あんたがさっさと戻ってくれば腰をぶつけずに済んだのに」
ハクが悪いわけでもないのに眉と頭を下げる。一応、詫びているようね。
「まぁ、いいわ。ここはどこなの?」
立ち上がって周囲を確認する。あたしが飛び込んだ楕円形の光はなくなっていて、妙な部屋があたしたちを囲む。
あたしが見てきたのは障子やすだれで区切られた部屋なのにハクがいたそこは襖が囲む部屋だった。その一面にはお札が貼られて戸を閉じてある。畳には無数の花瓶が立てられていて、ひと瓶に一輪の彼岸花が生けていた。
あの札は何?やばいものでもいるわけ?
固く閉ざす襖を不気味に想いながらも眺めていると奥からゆっくり小さな泣き声が流れてくる。すずり声、潜り声、様々な音が重なった泣き声だった。4、5人ぐらいかしら、いや、もっといるわね。
彼岸花、襖を閉じる札。背筋に走る悪寒はその先の危険を報せる。
「行こう、ハク」
反対側の襖を開ける。ここは嫌な感じがする。
「ハク、早く」
あたしと違ってハクはお札で閉じた襖が気になるらしい。
「ハク!」
度目の呼びかけでやっと応えてくれた。後悔を残す足取りであたしの後を付いてくる。
天井の電光、床に敷かれた緑の保護シート。間違いない。ここは寝殿の地下ね。
古臭いのはこの気味の悪い部屋だけであとはあたしの時代にあるものばかり。
「それで、カンダタは見つけたの?」
ハクにお願いしていたものだ。するとハクはまた申し訳ないと頭を下げる。
やっぱり、頼るんじゃなかった。
「別にいいわよ。期待していたのはあたしだし。頼んだあたしが悪かったのよ。それにこれがあればなんとかなりそうだし」
白鋏があればこの問題も解決できる。これでカンダタを見つけて、さっさとここから離れよう。
白いハサミ一本で解決できるはずがないとハクは疑いの目をこちらに向ける。
「疑えばいいわ。あたしは先に言ってるから」
さっきと同じように白鋏で空間を裂いて別の場所へと移動する。
今度はカンダタを想像させて。
裂かれた隙間から光が漏れる。また転びたくなかったあたしは慎重に片脚からゆっくりと入れる。足裏の感触を確かめる。
ちゃんとした床みたいね。周囲に物も段差もない。身体を潜らせて移動先へと着く。
ここも地下みたいね。でも、カンダタはいない。
ハクの疑いの目がより一層強くなる。睨みつけるハクの目はあたしに文句を言っている。
「何よ。文句なら聞かないわよ」
そこは神経質な白の廊下が一本続いている所だった。汚れは許さず、窓一枚もつけられない。
真っ白の通路が伸びているだけのそこは案内されてない場所だった。全てを乗り潰すような白い静寂に圧倒されて一歩踏み出すのを恐れる。
震えているようなゆっくりとした足取りで真っ白な床を踏む。
中に入れそうな部屋はいくつもあったけれど、ドアを開ける勇気はなかった。そうして怯えながら宛てもなくカンダタを探しているうちに奥へと迷い込んで、ついには行き止まりになった。
行き止まりといってもドアが1つあって、いつでも中に入る人を待っていた。「子供部屋」と言う文字が白に統一された完全な空間に不釣り合いな気がしてきて不気味だった。
行く場所もなく、あたしはドアノブを回した。
静かにドア開いて、静かに侵入する。家具のように鎮座するそれらに目を見開いた。
肘置きと足拘束ベルトがついた椅子、壁にかけられた鉄製の刑具。店に並ぶのは爪を剥ぐ道具と皮剥ぎ用のナイフ。
純白には似合わない道具ばかり。
私は暴力的な道具たちを見渡しながら棚の隣にある机の引き出しを開ける。
中にはメスやハサミ、見たことのない小道具がきれいな列を作って並んでいる。
医者や拷問官が使えそうなものの中に声を録音するレコーダーがあった。再生ボタン押してみれば幼い少年の叫び声だ純白の拷問部屋に響く。
ハクは肩を震わせて聞きたくないと耳を塞ぐ。
思ったより大きな音声はうるさく、耳障りですぐに停止ボタンを押す。
「別のところを探したほうがよさそうね」
眉を垂らして今にも泣きそうになっているハクに言う。
引き出しをしまって子供部屋から出る。
とにかくカンダタを探さないとね。
そうね、弥の話を整理しましょうか。あいつは白糸と白鋏の全てを話していない。でも、いくつかヒントはあった。「エスパーまがい」「空間さえも切ってしまう」
話の端々にそう言っていた。
それってあたしには念動力とか千里眼みたいな能力があるってことよね。どちらもあたしはできない。白糸は物をくっつけるぐらいしかできないし、白鋏も物を切るだけ。
物を切る。空間を切る。もしかして。
ちょっとした発想の転換。本当にそれができるのかさえ怪しい。
障子越しの天鳥を伺う。陰のシルエットとして映る彼女はあたしを気にしていないようだった。本心からあいつらを信じていると勘違いしているみたいね。
奴らからしてみればあたしは一般的な女子高生で、浅はかで未熟だと見下している。
その油断が脱出の好機だった。ほかに思いつく案もない。
あたしは白鋏を握る。
実在しているものを想像したほうがわかりやすいわね。なら、試しにハクを想像してみよう。
繋がって。深呼吸をして祈る。
布を切る感覚で何もない空間を裂く。
肩と同じくらいの高さに白鋏を構えて宙に刃をたてたまま、床まで下げる。
白い刃は通るとまさに空間をさくようにして楕円形の白い物体が浮かんだ。高さはあたしの肩と同じ。幅は1m。厚さは紙よりも薄い。
何に例えるべきかしら。得体の知れないその物体を恐れながらも観察してどう対応すべきなのか考えた。
あたしの考えが正しいのならこの先にハクがいるはず。
思い切って発光する楕円へと飛び込む。
着地は最悪だった。
脚が地に着いたと思ったら、その地は円形になっていて。あたしは謎の円形に体重を乗せたまま転がってバランスを整えられずに床に腰をぶつける。
痛みで唸っているとハクがきょとんとした顔であたしを見ていた。
寝殿でカンダタを探しているハクがあたしの目の前にいる。あたしの思いつきは正しかったみたいね。白鋏はテレポートの能力があった。
「あんたがさっさと戻ってくれば腰をぶつけずに済んだのに」
ハクが悪いわけでもないのに眉と頭を下げる。一応、詫びているようね。
「まぁ、いいわ。ここはどこなの?」
立ち上がって周囲を確認する。あたしが飛び込んだ楕円形の光はなくなっていて、妙な部屋があたしたちを囲む。
あたしが見てきたのは障子やすだれで区切られた部屋なのにハクがいたそこは襖が囲む部屋だった。その一面にはお札が貼られて戸を閉じてある。畳には無数の花瓶が立てられていて、ひと瓶に一輪の彼岸花が生けていた。
あの札は何?やばいものでもいるわけ?
固く閉ざす襖を不気味に想いながらも眺めていると奥からゆっくり小さな泣き声が流れてくる。すずり声、潜り声、様々な音が重なった泣き声だった。4、5人ぐらいかしら、いや、もっといるわね。
彼岸花、襖を閉じる札。背筋に走る悪寒はその先の危険を報せる。
「行こう、ハク」
反対側の襖を開ける。ここは嫌な感じがする。
「ハク、早く」
あたしと違ってハクはお札で閉じた襖が気になるらしい。
「ハク!」
度目の呼びかけでやっと応えてくれた。後悔を残す足取りであたしの後を付いてくる。
天井の電光、床に敷かれた緑の保護シート。間違いない。ここは寝殿の地下ね。
古臭いのはこの気味の悪い部屋だけであとはあたしの時代にあるものばかり。
「それで、カンダタは見つけたの?」
ハクにお願いしていたものだ。するとハクはまた申し訳ないと頭を下げる。
やっぱり、頼るんじゃなかった。
「別にいいわよ。期待していたのはあたしだし。頼んだあたしが悪かったのよ。それにこれがあればなんとかなりそうだし」
白鋏があればこの問題も解決できる。これでカンダタを見つけて、さっさとここから離れよう。
白いハサミ一本で解決できるはずがないとハクは疑いの目をこちらに向ける。
「疑えばいいわ。あたしは先に言ってるから」
さっきと同じように白鋏で空間を裂いて別の場所へと移動する。
今度はカンダタを想像させて。
裂かれた隙間から光が漏れる。また転びたくなかったあたしは慎重に片脚からゆっくりと入れる。足裏の感触を確かめる。
ちゃんとした床みたいね。周囲に物も段差もない。身体を潜らせて移動先へと着く。
ここも地下みたいね。でも、カンダタはいない。
ハクの疑いの目がより一層強くなる。睨みつけるハクの目はあたしに文句を言っている。
「何よ。文句なら聞かないわよ」
そこは神経質な白の廊下が一本続いている所だった。汚れは許さず、窓一枚もつけられない。
真っ白の通路が伸びているだけのそこは案内されてない場所だった。全てを乗り潰すような白い静寂に圧倒されて一歩踏み出すのを恐れる。
震えているようなゆっくりとした足取りで真っ白な床を踏む。
中に入れそうな部屋はいくつもあったけれど、ドアを開ける勇気はなかった。そうして怯えながら宛てもなくカンダタを探しているうちに奥へと迷い込んで、ついには行き止まりになった。
行き止まりといってもドアが1つあって、いつでも中に入る人を待っていた。「子供部屋」と言う文字が白に統一された完全な空間に不釣り合いな気がしてきて不気味だった。
行く場所もなく、あたしはドアノブを回した。
静かにドア開いて、静かに侵入する。家具のように鎮座するそれらに目を見開いた。
肘置きと足拘束ベルトがついた椅子、壁にかけられた鉄製の刑具。店に並ぶのは爪を剥ぐ道具と皮剥ぎ用のナイフ。
純白には似合わない道具ばかり。
私は暴力的な道具たちを見渡しながら棚の隣にある机の引き出しを開ける。
中にはメスやハサミ、見たことのない小道具がきれいな列を作って並んでいる。
医者や拷問官が使えそうなものの中に声を録音するレコーダーがあった。再生ボタン押してみれば幼い少年の叫び声だ純白の拷問部屋に響く。
ハクは肩を震わせて聞きたくないと耳を塞ぐ。
思ったより大きな音声はうるさく、耳障りですぐに停止ボタンを押す。
「別のところを探したほうがよさそうね」
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引き出しをしまって子供部屋から出る。
とにかくカンダタを探さないとね。
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